Brick Mansions


2014年9月6日(土)「フルスロットル」

BRICK MANSIONS・2014・仏/加・1時間31分(IMDbでは90分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(デジタル、Red Epic)/ドルビー、DATASAT、dts(IMDbではトルビー・デジタル)

(仏U指定、加PG指定)

公式サイト
http://0-g.asmik-ace.co.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アメリカ、デトロイトの「ブリック・マンション」と呼ばれる地域は、廃ビルが建ち並び、犯罪者の巣窟となっていた。そしてこれがあるため一帯は再開発が遅れていた。市長は高い塀で囲って出入りを厳しく制限。ところがある日、政府の輸送車が襲われ、「ブリック・マンション」を根城とするギャングの一団に最新鋭の中性子爆弾を搭載したミサイルを奪われる。市長は腕利きの潜入捜査官ダミアン(ポール・ウォーカー)を呼ぶと、「ブリック・マンション」の住人でミシガン刑務所に収監中のリノ(ダヴィッド・ベル)と組んで、爆弾の解除を命じる。ダミアンは過去に父をギャングのボス、トレメイン(RZA)に殺されており、リノは恋人のローラを収監直前にトレメインに誘拐されていたため、協力して「ブリック・マンション」に潜入する。


68点

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 まったく「アルティメット」(Banlieue 13・2001・仏)と同じ物語。つまり、ハリウッド俳優を使っての、フランスによる10年目のまさかの英語版リメイク。ただ舞台がアメリカのデトロイトになっただけで、ほとんど同じだ。どこも進化していないし、変えられたところもない。まったく同じに作って意味があるんだろうか。それだけ、ヨーロッパのネタ切れなんだろうか。なので、もしまだ見ていない人がいたら、出来のよい「アルティメット」の方がオススメ。

 見どころはズバリ、ポール・ウォーカー。交通事故で亡くなってしまったため、本作が遺作になるらしい。エンド・クレジットで「ポール・ウォーカーに捧ぐ」と出る。こんなに明るい雰囲気で、良い人そうなのに、人の運命とはわからないものだ。とても残念。もうこの人の新作が見られないなんて。

 それ以外は、オリジナル版の「アルティメット」の方が出来が良い。本作は無理に英語にしたためなのか、フランス人の英語発音が悪い人が多かったのか、どうもほとんど吹替のようで、口がちゃんと合わず、感情が伝わって来にくかった。しかも、どこか不自然なセリフのように感じて、余計に入ってこなかった。わざとらしいというか。大げさというか、何か違和感。眠かった。

 潜入捜査官ダミアンはポール・ウォーカー。惜しくも2013年11月30日に友人が運転する車のスピードの出し過ぎによる事故で亡くなった。現在、人気シリーズ「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米/独)の最新作「7」がポスト・プロダクションに入っていて、2015年公開らしい。正確にはそれが遺作になるらしい。車の映画で人気を獲得したのに、何という皮肉だろう。

 相棒のリノはダヴィッド・ベル。オリジナル版の「アルティメット」でも役名は違うが同じ役をやっていた人。スタント・コーディネーター、パルクールの振付師でもあるので、書かせなかったのかもしれない。セリフの吹替が一番多かった気がする。英語に問題があったのかも。「トランスポーター2」(Transporter 2・2005・仏/米)や「コロンビアーナ」(Colombiana・2011・仏)などリュック・ベッソン製作の作品に多く関わっている。

 ギャングのボス、トレメインはRZA。ヒップホップ界のカリスマとかで、トンデモ映画「アイアン・フィスト」(The Man with the Iron Fists・2012・米/香)では趣味が高じて、監督・脚本・音楽までやっている。残念ながら本作ではハマっておらず、むしろ浮いていた。いかにもB級の雰囲気。残念。

 リノの恋人ローラを演じた美女はカタリーナ・ドゥニ。リュック・ベッソン作品、どんどん残念になっていった「TAXi4」(Taxi 4・2007・仏)でデビューした人。まさか? リュック・ベッソン作品ではない、なかなか面白かった「ゴー・ファースト 潜入捜査官」(Go Fast・2008・仏)でヒロインを演じて、その後は日本未公開が続き、TVへ。本作は久々の劇場作品。

 脚本はオリジナル版を書いているリュック・ベッソン。

 監督はカミーユ・ドゥラマーレ。リュック・ベッソン作品でずっと編集を担当してきた人。「トランスポーター3 アンリミテッド」(Transporter 3・2008・仏/英/米)、「バレッツ」(L'immortel・2010・仏)、「コロンビアーナ」、「ロックアウト」(Lockout・2012・仏)、「96時間/リベンジ」(Taken 2・2012・仏)などがそれだ。本作でついに監督デビュー。本作は、アクション・シーンに速いシャッター・スピードを採用しているようで、コマ送りのような映像になって、見ていて疲れた。しかもアクションでカメラを動かし過ぎ。何が起きているのか良くわからない。この後「トランスポター」シリーズの最新作を手掛けるらしい。これで期待できるのだろうか。

 銃はK2がデザート・イーグル、トレメインが金めっきのシリーズ70ガバの大きい刻印タイプとマイクロ・ウージー、スプリングフィールドXDのスライド・シルバー、SWATはM4、刑事はグロック、ギャングはAK、ノリンコ97式、ウージー、ポンプ・ショットガン、軍はM16A2。ほかにもS&WのM59系オート、シルバーのM686、レイジングブル、マドセンのようなSMG、SIG SG551、レミントンMSRスナイパー・ライフル、P232、M92など、とにかくいろんなものが出てくる。ウェポン担当はクリスチャン・ラブリエとかなんとか。読み取れなかった。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。10分前くらいに開場になって場内へ。観客層は中高年のほか、若い人もチラホラ。女性は1/3ほど。アンケートとかで関係者がたくさんいた。遅れてくるヤツが多く、最初は3割りくらいの入りだったが、最終的には127席に4.5割りくらいまで増えた。でも初日でこれは少ないのでは。今後増えるとも思えない。

 気になった予告編は……「柘榴坂の仇討ち」は阿部寛と中井貴一のビデオ・メッセージ付きだったのだが、その中で「時代劇不振の中」と言っていた。脚本にあったセリフなのだろうが、果たしてそうなのか。三谷幸喜の「清須会議」(2013・日)はどうなのか。そして「るろうに剣心」シリーズはどうだ。若い人もたくさん入っていた。ハッキリ言って、つまらない時代劇には人は入らないということではないだろうか。それって、当たり前でしょ。面白い時代劇を作れない方の責任。「時代劇不振」はつまらない映画を作る方が言っているのでは? 誰が言わせたのだろう。9/20公開。

 上下マスクの「NY心霊捜査官」はなかなか怖そう。R18+指定というのも久しぶり。どんだけスゴイんだよ。9/20公開。

 上下マスクの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は3Dだし、だんだん残念な予感がしてきたが、とにかく絵はすごそう。ほかに売りがないと3D上映だもんなあ。3日間限定で、高校生以下は500円になるらしい。すごい。ただ、混むじゃねえか!! 公開1週間後くらいにやれ。それとも、早い内でないとならない理由でもあるのか。うむむ。9/13公開。

 上下マスク「記憶探偵と鍵のかかった少女」はすでにタイトルで勝ったような感じ。実に見たくなる。かなりのミステリーのようだし。予告や広告であおりすぎてハードルをあげないで欲しい。悲惨なことになる。9/27公開。

 スクリーンの上が下がってきてシネスコ・サイズになって本編へ。


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