Guardians of the Galaxy


2014年9月13日(土)「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」

GUARDIANS OF THE GALAXY・2014・米/英・2時間01分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ/ドルビー・デジタル、ドルビーATMOS(IMDbではDATASATも)

(米PG-13指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://studio.marvel-japan.com/blog/movie/category/gog
(全国の劇場リストもあり)

1988年、地球。ピーター・クイル少年は、母を病で失った日に、巨大な宇宙船がやって来て誘拐されてしまう。20年後、すっかり大人になったピーター・クイル(クリス・プラット)は、スター・ロードというあだ名を持つトレジャー・ハンターになっており、惑星モラブの廃虚で謎の球体「オーブ」を発見する。それを依頼者であるザンダー星のブローカーへ届けようとしたとき、同じくそのオーブを探し求めていた宇宙一残忍なテロリスト、ロナン(リー・ペイス)が送り込んだ暗殺者、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が現れ、奪おうとする。ところが、ちょうど賞金稼ぎのアライグマの姿をしたロケット(声:ブラッドリー・クーパー)と植物人間のグルート(声:ヴィン・ディーゼル)がピーター・クイルを追っていたため、四つ巴の戦いとなり、宇宙警察のノバ軍に逮捕され、全員キルン刑務所に送られる。そこには、ロナンに家族や仲間を殺されたものが多くいて、中でも妻と娘を殺されたドラックス(デイヴ・バウティスタ)は最も強い恨みを持ち、ロナンの部下であるガモーラを殺そうと襲いかかってくる。そこで、ピーターはガモーラを生かしておけば、必ずロナンが現れるからそれまで待てと説得し、ロケットとグルートにはオーブを売れば自分の賞金よりも大金が手に入るともうけ話を持ちかけ、全員で力を合わせて脱獄する計画を立てるのだが……。


76点

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 何か、スンゴイ楽しい。荒唐無稽で、ありえないSFファンタジーだけれど、一生懸命まじめに真っ正面から良い映画を作ろうと取り組んでいる感じが伝わってくる。決してふざけていたり、バカにしたりしていない。ギャグもたくさんちりばめられているが、くだらないダジャレや、悪ふざけ、受け狙い、なんてものがない。それでちゃんと笑わせる。会話の面白さ。そして、冒険に継ぐ冒険。スケールも大きく、SFらしいアクション・シーンも満載で、全く飽きさせない。素晴らしいビジュアル。絵がきれいで、音も大迫力の、いわゆるピカレスク・ロマン。大人がちゃんと楽しめる。

 ただし、ホレたハレたはほとんど無し。逆それがまた良いのかもしれない。あると定番過ぎる。それと、アクション・シーンでカメラを動かし過ぎ。シネスコ・サイズということもあって、何が起きているのか良くわからない。これは3Dで見たら目が回って、酔うかもしれない。

 たくさんのキャラが登場するが、それぞれちゃんと個性が立っていて、おもしろい。特にアライグマのロケットと、植物人間のグルートが魅力的。それぞれに魅力があるから、悪党でも感情移入ができる。さらに、本当の悪党は徹底的に悪く、憎たらしくて良い。こうでないと。ただし、設定が複雑で、いろんな国というか惑星が出てきて、戦争状態になっていたりして、どこがどこで、誰が誰やら、原作コミックのファンでないと、日本人的には分かりにくい。

 おじさん的に何より良いのは音楽。主人公が母からもらったウォークマンで、母の作った70年代ベストのテープをガンガン掛ける。ヒット曲ばかりだから、日本人でもわかるものばかりで、実に良い。楽しくノレる。

 スター・ロードことピーター・クイルはクリス・プラット。TVから「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)などに出ていたようだが、その後「マネーボール」(Moneyball・2011・米)にも出演、「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)のあと、つい最近「her/世界でひとつの彼女」(Her・2013・米)にも出ている。話題作には良く出ているものの、あまり印象に残らない。主役向きではないのかもしれないが、本作ではぐいぐい物語を引っ張っていく。装着しているマスクは押井守監督の「紅い眼鏡」(1987・日)みたいだったなあ。

 女暗殺者のガモーラはゾーイ・サルダナ。「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)や「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)のウフーラ、「アバター」(Avatar・2009・米/英)のネイティリとなど、SFファンタジー系が多い。

 遺伝子操作でアライグマにされってしまったらしい(逆か)ロケットの声はブラッドリー・クーパー。「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(The Hangover・2009・米/独)で注目されるようになったらしい。その後「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(The A-Team・2010・米)や製作総指揮も担当した「世界にひとつのプレイブック」(Silver Linings Playbook・2012・米)に出て、これまた製作総指揮も担当した「アメリカン・ハッスル」(American Hustle・2013・米)はアカデミー賞10部門でノミネートされた。本作は、声だけだが、キャラクターが良く出ていた気がする。

 セリフは「アイ・アム・グルート」のみで、すべてを表現する植物人間のグルートの声は、なんとヴィン・ディーゼル。肉体派なのに声のみとは。それもうまかった。本作の前に「リディック:ギャラクシー・バトル」(Riddick・2013・米/英)に出ていた。

 大男のドラックスはデイヴ・バウティスタ。元WWFのプロレスラーで、「リディック:ギャラクシー・バトル」に出ていた。その前はRZAが作った残念なカンフー映画「アイアン・フィスト」(The Man with the Iron Fists・2012・米/香)。

 悪党のロナンはリー・ペイス。「グッド・シェパード」(The Good Shepherd・2006・米)や「落下の王国」(The Fall・2006・米/印)に出ていた人で、むしろ優しそうな印象の人。最近は「ホビット 竜に奪われた王国」(The Hobbit: The Desolation of Smaug・2013・米/ニュージーランド)に出ていた。

 ほかにノバ軍の司令官に、最近映画よりTVの「ダメージ」(Damages・2007-2012・米)のイメージが強いグレン・クローズ。奇人風のコレクターに「野蛮なやつら/SAVAGES」(Savages・2012・米)のベニチオ・デル・トロ。ジャイモン・フンスーやジョン・C・ライリーも出ている。またジョシュ・ブローリンも出ていたらしい。

 原作はダン・アブネットとアンディ・ラニングのコミック。脚本は監督のジェームズ・ガンとニコール・パールマンの2人。ニコール・パールマンは「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)の脚本に関わっていたようだが、脚本を関わるのは本作が初めてらしい。

 監督はジェームズ・ガン。「スクービー・ドゥー」(Scooby-Doo・2002・米/豪)や「ドーン・オブ・ザ・デッド」(Dawn of the Dead・2004・米/加ほか)の脚本から、「スリザー」(Slither・2006・加/米)は脚本と監督も担当。ファンタジー・コメディ系が得意な人らしい。残念な作品が多かったが、ついに本作で花開いた感じ。今後にも期待できそう。

 冒頭に「最後に映像があるので、すぐ席を立たないで」とかなんとか、字幕が出る。でも、「ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀」(Howard the Duck・1986・米)って……。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。何か話題作の公開日と重なったのが、劇場は多くの人で大混乱。本作の観客層は小学生連れのファミリー、中学生くらいのグループ、そして若い層から中高年まで、実に幅広い。男女比は女性が1/3ほど。最終的には157席(!)がほぼ満席。これからもクチコミで増えるのではないだろうか。もう少し大きい小屋で掛けられれば。

 気になった予告編は……なんとアニメ「宇宙戦艦ヤマト」は2作品が続けて公開されるらしい。すごい人気なんだなあ。「宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海」10/11公開と、「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」12/6公開。

 上下マスクの「エクスペンダブルズ3」は新予告に。どうやらメル・ギブソンが悪のボスらしい。ハリソン・フォードにアーノルド・シュワルツェネッガー。ジェイソン・ステイサムはもちろんとして、今回はアントニオ。バンデラスにウェズリー・スナイプスまで11/1公開。

 上下マスクの「イコライザー」も新予告に。デンゼル・ワシントン、超カッコいい。10/25公開。

 上下マスク「ファーナス/訣別の朝」も新予告。ウンザリするようなつらい日常が描かれるドラマかと思ったら、予告を見る限りはアクションも結構あるよう。はたして……9/27公開。

 上下マスクのディズニーCGアニメ「ベイマックス」はロボットと日本人の少年の物語のよう。日本人の主人公で良いのだろうかと、気になってしまうが……しかも日本語予告。12/20公開。

 スクリーンの上が下がってシネスコになって、本編へ。


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