Rurouni Kenshin: Densetsu no Saigo-Hen


2014年9月14日(日)「るろうに剣心 伝説の最期編」

2014・ワーナー・ブラザース/アミューズ/集英社/KDDI/GyaO!・2時間15分

シネスコ・サイズ(たぶんデジタル、Red Epic)/ドルビー・デジタル(たぶん、表記無し)


公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html
(全国の劇場リストもあり)

志々雄真実(ししおまこと、藤原竜也)の甲鉄艦「煉獄」から突き落とされた神谷薫(武井咲)を助けるため、嵐の海に飛び込んで岸に打ち上げられた緋村剣心(佐藤建)は、剣の師匠、比古清十郎(ひこせいじゅうろう、福山雅治)に助けられる。3日後、意識を取り戻した剣心は、志々雄に勝つため、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)の奥義を教えて欲しいと願い出る。一方、志々雄は浦賀沖に「煉獄」を進めて停泊させ、大砲を向けると、抜刀斎を捕えて公開処刑しなければ攻撃を仕掛けるという。新しい内務卿の伊藤博文(小澤征悦)は明治政府サイドが幕末期に抜刀斎と志々雄を暗殺者として使っていた事実を隠すため、要求を受け入れるが、密かに沿岸に砲台を設置し始める。また別の海岸では薫が漁師に助けられて入院、相良佐之助(さがらさのすけ、青木崇高)と明神弥彦(みょうじんやひこ、大八木凱斗)が駆けつける。


74点

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 前半、ややドラマが停滞している気がするが、後半はアクション満載というか、ほぼアクションのみ。まあ、血だるま状態の壮絶な戦いで、しかも名人ばかりの1対4の戦いとか、見たことないような死闘が凄い。

 絵もきれい。解像度が高く、鮮明で、コントラストも強めで色が濃く、力があって色も美しい。しかも水色や草の緑などのパステル系の色もきれい。

 ただ、解決編となるために意外な展開は無く、いかにまとめて見せるかに集中したのか、予定調和的に収まるところへ収まっていくので、わくわくドキドキがほとんど無くなってしまった感じ。明治政府から見放された者たちの悲しさなどの方が大きくなってしまった。そして、たぶんこの内容は2時間などで描けるようなものではないのでは。せっかく志々雄の部下として10人衆(十本刀)とか言って、見た目は濃そうなキャラがいるのに、せいぜい剣豪の瀬田宗次郎(せたそうじろう、神木隆之介)と、格闘技の悠久山安慈(ゆうきゅうざんあんじ、丸山智巳)、どうにか入れて浜で斉藤一(さいとうはじめ、江口洋介)と戦う目を覆った男(役名も役者も不明)がいるくらい。「死亡遊戯」(Game of Death・1978・香)みたいに、次々と戦うかと思ったのに。まあ、実際戦ってたら1日の話じゃすまなくなっちゃうし、リアルな設定だったら体力が続くはずもないか。

 キャストはほとんど前作と同じ。佐藤建はまさにハマり役。これだけのアクロバティックな殺陣をやりながら、セリフを言ってちゃんと感情を載せて行くと言うのは簡単にできることではない。普通はどちらかがおろそかになる。当然カット数も多くなるわけだし、とても大変。それを 佐藤建はちゃんとやっている。ただヒロインである神谷薫の武井咲はほとんど活躍無し。登場シーンも少なめ。

 新キャラクターとしては、剣の師匠、比古清十郎の福山雅治。「そして父になる」(2013・日)が話題になったばかり。本作では、謎の(仙人的な)師匠という設定のためなのかボクの頭が悪くて、剣の道の奥義に限らず、何を言っているのか良くわからなかった。

 部下の佐渡島方治(さどじまほうじ)の滝藤賢一はちょっとだけ活躍。イヤらしさが良く出ていた。エロい駒形由美の高橋メアリージュンも、もう少し活躍するかと思ったら、セリフがちょっと増えたくらい。もったいない。悠久山安慈の丸山智巳は殺陣シーンは凄いが、ほとんどどんな人物なのかわからない。これまた惜しい。

 とにかく志々雄の藤原竜也はすばらしい。特殊メイクで誰かわからない感じだが、ちゃんとキャラクターが出ていたし、藤原竜也だとわかった。依頼主の明治政府から証拠隠滅のため焼き殺されそうになったことで、火傷で汗腺がなくなり体温調節ができず、戦えるのは15分が限度という設定もウルトラマンみたいで(あちらは3分だが)面白い。全身に刺青を入れても体温調節がうまくできなくなるというから、似たようなものかも。剣から炎が出るのも良かった。

 アクション監督は前作から引き続き谷垣健治。すばらしい。日本映画ばなれした力のある絵の撮影は石坂拓郎。「MW-ムウ-」(2009・日)などを撮っているらしい。しかし「MW-ムウ-」ではきれいな絵とは感じなかったというか、むしろ逆。どういうことなんだろうか。監督によるということなのか、撮影の予算が違うのか、撮影機材が違うのか。照明は平野勝利。「黒執事」(2014・日)や「映画 謎解きはディナーのあとで」(2013・日)を手掛けているらしいが、「黒執事」など特に絵がきれいだったという印象はないなあ。違いは何なんだろう。

 銃は前作と同じ。佐渡島方治がコルトのネービー系パーカッション・リボルバーとガトリング・ガンをぶっ放していた。そして警察隊はボルト・アクション・ライフルのようだった。村田銃だろうか。銃器プロップで協力しているのはCAW。大砲の設置は「二百三高地」(1980・日)みたいだった。その発射や艦砲射撃も迫力があったが、砲身が後座していないようだったけれど、それは正しいのか。

 脚本も前作から引き続き藤井清美と大友啓史で、監督は大友啓史。大友監督はこの後どんな作品を撮るのか、興味がわく。

 初日は舞台挨拶があると言うのでパスして、公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。12〜13分前に開場になって場内へ。若い人から中高年まで、観客層は幅広い。したは小学生くらいからいて、若い人が1/3くらいと多かった。男女比は4対6くらいで女性の方が多かったが、これは当然か。最終的には607席がほぼすべて埋まった。「柘榴坂の仇討ち」の予告のビデオ・メッセージで中井貴一が「時代劇不振」とか言っていた(脚本通りだろう)が、この状態にどうコメントするつもりだろう。

 気になった予告編は……上下マスクの「タイムスリップ堀部安兵衛」は普通の劇場映画かと思ったら、WEB映画らしい。ずいぶんお金がかかっている感じ。こういう時代か。しかもそれを劇場で広告すると。

 上下マスクの「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」は学生新聞の取材である人物を訪ね、それがSMの世界に足を踏み入れることになり、ラブ・ストーリーになるというよくわからないストーリー。公式サイトはまだ無い模様。2/13バレンタイン・デイ公開。ただのエロ映画のように見えたが……。

 スクリーンが左右に広がってから、高画質、高音質で「ホビット 決戦のゆくえ」の予告。すごい迫力。いよいよい3部作の完結編。竜が町を焼き払い、大人数の決戦が展開されることになるらしい。12/13公開。

 「インターステラー」も新予告。命を懸けて、父が人類の移住先を探す片道切符の旅に出ると。すでに感動的。ビジュアルも凄いことになるようだ。11/22公開。

 驚いたのは「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が2015年公開の予告。シリーズどおり水とガソリンを求めて争うらしい。第1作を手掛けたジョージ・ミラー監督自身が手掛けるらしいので、ありがちなリメイクとはちょっと違うようだ。荒れ果てた未来社会を描いているが、絵がきれい。メル・ギブソンは出るのだろうか。2015年公開。


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