Getaway


2014年9月20日(土)「ゲッタウェイ スーパースネーク」

GETAWAY・2013・米/ブルガリア・1時間30分

日本語字幕:シャドー付き丸ゴシック体下、種市譲二/シネスコ・サイズ(デジタル、Canon、Red)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://getawaymovie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ブルガリアの首都ソフィア。クリスマスの夜、ブレント・マグナ(イーサン・ホーク)が帰宅すると、部屋が荒らされ、妻のリアン(レベッカ・バディグ)がいなくなっている。その直後に携帯が鳴り、4時30分までに指定の駐車場に行かないと、妻を殺すという。そこにはシェルビー・マスタングGTスーパースネークが止まっており、それを盗めと言う。車には内外にたくさんのカメラが取り付けてあり、監視しているという。指示に従って、猛スピードで公園に向かうと、たくさんのパトカーが追って来る。それを振り切れと言う。そして、地下の工事現場に着くと、銃を持った少女(セレーナ・ゴメス)が乗り込んでくる。話を聞けば、車の持ち主だという。電話の男は人質にしろと指示。さらにそのまま発電所へ行けと指示する。


70点

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 90分ほとんどカー・アクションなのに、なぜか眠くなった。目が回ったのかもしれないが、メリハリに乏しく、とにかく突っ走っている。しかも、車載カメラがあちこちに付いている設定で、その画像を多用しているために、画質が悪い。まるでPOV映画のようなシロート画になってしまっている。これが観客を引かせる。もっと汚い絵を少なくして、ちゃんと高画質のFIXで撮った絵を使えば、もっと集中できたかもしれない。TVドラマの「パーソン・オブ・インタレスト犯罪予知ユニット」(Person of Interest・2011〜・米)でも監視映像はたくさん使われているが、それはちゃんと監視映像として使われていて、物語を語るときにはちゃんときれいに撮った良い画質の絵になる。こうでないと物語に没入できない。監視映像では客観的に見てしまう。いまどきシロートでもGoProで主観的な高画質撮影ができるというのに。

 そして、あまりに人物の描写が少な過ぎ。主人公についても元レーサーというのはわかっても、見終わってもどんな人なのかほとんどわからなかった。また助手席にずっと乗っている女が、カンに触る高い声でずっとわめき散らし、おもわず観客が息の根を止めたくなるキャラというのも失敗の原因だろう。とにかく酷い。感情移入できない。だから応援できない。むしろ早くいなくなればいいのにと思ってしまう。もちろん、どんなヤツなのか、最後までわからない。描写不足。

 また、その女がコンピューターおたくという設定のようなのだが、説明不足で、なぜ反撃出切るのか良くわからない。詳しい説明は不要だが、せめて考え方くらいは説明してくれないと。監視カメラを逆に使って、撮って映像をサーバに上げたり、警察に流したりって、なんなんだよ。何でもできるなら最初からやれ。映像も声も敵に流れているんじゃなかったのか。しゃべって相談したら筒抜けだろ。さっぱりわけがわからない。最低限の説明はしないと。

 何より、車を必要以上に壊し過ぎ。必要もないのに、巻き込まれる車、パトカーと、ガンガン壊していく。度が過ぎると見せるためにわざとやっているようにしか見えなくなってくる。

 まっ、クリスマス・ソングで始まって、クリスマン・ソングで終わると。

 登場した銃は、乗り込んでくる生意気な女が、ブルガリア撮影なのでたぶんCZ100のシルバー・スライド。追手のバイクの男たちはMP5K。グレネード・ランチャーを付けたM4も。パソコンはMacとiPad。アーマラーは撮影国ごとに代わるようで、IMDbでは3人クレジットされている。ボクが気付いたのはドワイト・ベンジャミン・クレールという人。基本小道具担当の人のようで、面白かった「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)や、ウィンチェスターM73が出てきたロバート・デ・ニーロとジョン・トラボルタが共演した「キリングゲーム」(Killing Season・2013・米/ベルギー)などに小道具係で参加している。純粋な武器係としてはマーリン・タコフという人のよう。スタローンの「エクスペンダブルズ2」(The Expendables 2・2012・米)ではブルガリアのアーマラーを担当している。

 脚本はショーン・フィネガンとグレッグ・マクスウェル・パーカーの2人。ショーン・フィネガンは基本プロデューサーのようで(それも2本目)、脚本は本作が初めて。グレッグ・マクスウェル・パーカーは役者として短編とTVに出ていて、やはり脚本は本作が初めて。うむむ。

 監督はカナダ生れのプロデューサーのコートニー・ソロモン。ジョエル・シルバーと組んで、あの残念なジェレミー・アイアンズの「ダンジョン&ドラゴン」(Dungeons & Dragons・2000・米/チェコ)を製作・監督した人。IMDbでは3.6点という信じられない低評価。プロデュース作品もほとんどが日本劇場未公開。監督としては3本だけで、「アメリカン・ホーンティング」(An American Haunting・2005・英/加ほか)というホラーも撮っているらしいが、これまたIMDbで5.0点と低評価。それでなんで本作が撮れたんだろう。多くの作品でジョエル・シルバーと組んでいるようなので、お友達のよしみということか。

 公開初日の2回目、新宿の劇場は全席指定で、金曜に劇場まで行って確保。電車賃を考えると前売りの意味なしか。当日は10分前くらいに開場。ロビーが狭いので、少ない人でもとても混んでいる感じ。意外に若い人から中高年までいたが、最初は20人くらいいて女性は5人ほど。関係者らしい一団が7〜8人。最終的には137席に1/3くらいの入り。こんなものでしょう。これ以上増えるとも思えない。

 気になった予告編は……最後までタイトルが出なくてイライラした上下マスクの「イフ・マイ・ステイ 愛が還る場所」は泣けるラブ・ストーリーらしい。交通事故で家族全員が昏睡状態に。そして主人公は幽体離脱……。クロエ・グレース・モリッツ主演。10/11公開。

 上下マスクの「KANO」は1931年、甲子園野球大会に出場した台湾の代表チームを描いた作品。台湾で大ヒットしたらしい。日本人も永瀬正敏、大沢たかお等が出演。1/24公開。

 上下マスクの「ドラキュラZERO」は新予告に。なるほど、国を守るために悪魔に魂を売ったという設定か。10/31公開。

 上下マスクのブラッド・ピットの新作「フューリー」は、第二次世界大戦のフューリーと名付けられた1両のシャーマン戦車(M4A3E8?)と5人の乗組員の活躍を描いたものらしい。ドイツ軍300人対1両とかの戦いもあるようだ。まったくそっくりに作られたタイガー戦車も登場するよう。銃はもちろんM3グリスガン。敵を撃てない新兵とか、戦車長のブラッド・ピットが1人でも戦うと言い出して「ここが俺の家だ」というところは予告でも感動的だった。見たい。11/28公開。

 チャン・ドンゴン主演の韓国映画「泣く男」は殺し屋の話で、たくさんの人を殺してきた男が、最後の仕事と決めてあがないをすると。アクション・シーンは相当な迫力で、銃撃戦もハリウッドなみ。見たい。10/18公開。

 インドからメジャーリーガーを発掘するという上下マスクの「ミリオンダラー・アーム」は実話の映画化。面白そうだが、劇場サイズと、同じ日に公開される他の作品次第だなあ。10/4公開。

 スカーレット・ヨハンソンのSFホラー「アンダー・ザ・スキン種の捕食」も面白そうだが、なんと前売り券無し。パスだなあ……。10/4公開。


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