Deliver Us from Evil


2014年9月21日(日)「NY心霊捜査官」

DELIVER US FROM EVIL・2014・米・1時間58分

日本語字幕:丸ゴシック体下、伊原奈津子/シネスコ・サイズ(デジタル、Sony)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R18+指定)

公式サイト
http://www.invocamus.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

2013年ニューヨーク、ブロンクス。NYPDで変わった事件を担当する特別班の巡査部長ラルフ・サーキ(エリック・バナ)は、相棒のバトラー(ジョエル・マクヘイル)と共に、イラク帰りの兵士が起こしたDV事件を担当することになり、その家に向かうと家は汚れ放題になっており、妻は痣だらけで夫が逃げたため拘束する。すると男の爪は何かを引っかいたようにすり切れていることに気付く。さらに通報があり、閉園間近の動物園で女が娘を猛獣の檻に投げ込んで姿を消したという。ドラッグ絡みと思い女を捕えると、女の爪も何かを引っかいたようにすり切れている。そしてドアーズの曲を口ずさんでいる。さらに近くに怪しい黒いフードの男がいたため尋問しようとすると、男はライオンに檻に逃げ込み消えてしまう。


72点

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 タイトルにやられた。てっきり幽霊系のミステリー話かと思ったら、幽霊全く関係なし。悪魔の話だった。それもエクソシストの話。実際に警官の話にインスピレーションを得て作られたらしい。アメリカというか、キリスト教圏では幽霊より悪魔の方が怖いらしい。これで心霊捜査官と言えるのだろうか。本編では勘のいい刑事、レーダーが働く刑事ということになっている。あえていえば霊感があるというところか。

 実話ベースとはいえ、話はどんどんエスカレートしていって、とんでもない事態に至る。その過程が面白い。徐々に敵の正体がわかってくる。そして最後は対決だから期待どおり。悪魔を追い払えるのか。ドアーズの曲が1つのカギになっていて、何曲か使われているようだ。

 ただ日本の指定がR18+というのは、どうも解せない。たしかに酷いことになった死体がストレートに表現されていたりするが、特に残酷な感じはせず、おどろおどろしいこともない。過激なセックス描写やヌードがあるわけでもない。暴力表現も普通だと思う。基準が良くわからない。

 やはり音で脅す傾向はあって、音がまた1つのキーになっているのだが、怖さは、日本人的にはいまひとつ。悪魔の怖さが良くわからない。ほぼ「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)に似たことになるのだが、怖さでは比較にならないほど。まだ「ザ・ライト -エクソシストの真実-」(The Rite・2011・米/ハンガリー/伊)の方が怖い。

 サージこと巡査部長のラルフ・サーキはエリック・バナ。本編では出演者はサーチと発音していた。サージ・サーチだ。「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米/英)で特殊部隊員、「ミュンヘン」(Munich・2005・米/加/仏)でモサドの殺し屋を演じ、あまりにハマっていたのでそんなイメージに。一転、「きみがぼくを見つけた日」(The Time Traveler's Wife・2009・米)ではラブ・ストーリーだったが、たしかに明るいキャラクターのイメージではない。つい最近「ローン・サバイバー」(Lone Survivor・2013・米)で主人公たちの上官を演じていた。ソニーの映画なので、使っている携帯はソニー製。銃はP226のようだった。NYPDではグロック、S&W M5946、P226の9mmのみ使用が認められているらしい。

 型破りの神父メンドーサはエドガー・ラミレス。ベネズエラ出身で、怪しげな雰囲気がすごい。設定もベネズエラでエクソシストをやったことになっている。「バンテージ・ポイント」(Vantage Point・2008・米)では特殊部隊員の恐ろしい男を演じていた。「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)や「悪の法則」(The Counselor・2013・米/英)にも出ている。その風貌からテロリスト役が多いか。

 相棒の刑事バトラーはジョエル・マクヘイル。全体に暗いムードの中、唯一明るいキャラ。それもそのはずでイタリア出身。最近では「テッド」(Ted・2012・米)に出ている。

 ものすごい迫力でとりつかれた男を演じたのはショーン・ハリス。その不気味な感じからか「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)に出ていた。

 銃はP226のほかにポンプ・ショットガン、特殊部隊がM4カービンを使っている。冒頭のイラクの戦場シーンでは、アメリカ軍はM4で、イオテックやトリジコンかメプロライトの光学サイトを搭載。

 原作はラルフ・サーキとリサ・コリアー・クールの「エクソシスト・コップ NY心霊事件ファイル」(講談社刊、英語タイトルは映画と同じ)。これを脚本にしたのは、監督のスコット・デリクソンとポール・ハリス・ボードマンの2人。ポール・ハリス・ボードマンは、やはり実話のホラー「エミリー・ローズ」(The Exorcism of Emily Rose・2005・米)を書き、残念なリメイクSF「地球が静止する日」(The Day the Earth Stood Still・2008・米/加)をプロデュースした人。基本的に書くのはホラー系のようだ。

 監督はスコット・デリクソン。脚本も書く人で、ほぼポール・ハリス・ボードマンと同じ作品に関わっている。つまり残念な「地球が静止する日」を監督したのはこの人。「エミリー・ローズ」は良かったし、「フッテージ」(Sinister・2012・米/英)は見ていないが見たいと思った作品。劇場が酷くてパスした。たぶんホラー系なら手腕を発揮する人なのだろう。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケ・カードで確保。当日は12〜13分前くらいに開場。R18+のはずだが、下は中学3年くらいの子がいた。メインは中高年。25人くらいで、女性は2〜3人。まあ、そうだろうなあ。最終的には157席に40人くらいになっただろうか。

 気になった予告編は……上下マスクの「パワー・ゲーム」はビジネス・サスペンスだそうで、FBIや特殊部隊までからんでくるらしい。ゲイリー・オールドマンに、なんとハリソン・フォードはスキンヘッド! 11/15公開。

 ドウェイン・ジョンソン版の上下マスク「ヘラクレス」は、でかいイノシシやライオン、ドラゴンなどと戦い、何やらゾンビのような軍団とも戦うらしい。10/24公開。レニー・ハーリン版の「ザ・ヘラクレス」も見て比べたかったのだが……。

 上下マスクの「ジャージー・ボーイズ」は新予告に。オジサン世代には懐かしい曲がいっぱい。でも、メンバーの確執などを描くそうで、あまり重くならなければいいが。イーストウッドということでか、銃も出てくる模様。9/27公開。

 上下マスクの「アニー」はウィル・スミスのプロデュース、ジェイミー・フォックス出演していうことで、黒人の女の子が主人公。いままで白人の女の子のイメージだったので、違和感がある。すでにヒットした名作があるのに、今わざわざ黒人の設定にしてリメイクする必要があるのだろうか。1/24公開。


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