Mindscape


2014年9月28日(日)「記憶探偵と鍵のかかった少女」

MINDSCAPE・2013・米/西/仏・1時間33分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(Arri)/ドルビーATMOS

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://kiokutantei.asmik-ace.co.jp/#
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

近未来、特殊能力を生かして記憶探偵として活躍する腕利きのジョン・ワシントン(マーク・ストロング)は、待望の赤ん坊を生後数ヶ月で亡くしたことにより、妻をも失ってしまい、しばよく仕事から遠ざかっていた。しかし生活のためにお金が必要となり、ボスのセバスチャン(ブライアン・コックス)に申し出て、新しい仕事、亡くなった妻と同じ名のアナ(タイッサ・ファーミガ)という拒食症の少女のトラウマ解明の仕事をもらう。アナの両親は裕福で森の奥の広大なお屋敷に住んでおり、アナが幼い頃からさまざまなトラブルを起こして来たため、施設に入れようと考えていた。メトロノームを掛けながら絵を描き続けているアナと面会したジョンはいくつかの質問の後、記録用のセンサーとPCを接続し、彼女の古い記憶に潜り込んで行くと、衝撃の出来事を目の当たりにする。


72点

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 これはスペイン・ホラーのテイストいっぱいのSFスリラー。タイトルは見事に興味をそそってくれたが、鍵のかかった少女というのはちょっと違う。まっ、ここがうまいわけだ。キー・ワードの1つが「人は都合よく記憶を変える」というもの。あれ、これ最近どこかで聞いたような。TVだったか、映画だったか。

 若干音で脅す傾向はあるが、基本的には正々堂々なので、その点好感が持てる。観客が知らないような真実が後から出てきて意外な展開……ということにはならないので、勘の良い人は結末というかオチは読めると思う。トロいボクでも読めたのだから。ボクが気になったのはナンバー・プレートのない車と無精ヒゲ。劇中では、動かない時計というヒントも出てくる。構成としては「パッセンジャーズ」(Passengers・2008・米/加)に似ている気もする。まあ、このパターンの映画は多いのだけれど。それにしてもシネスコの必要はあったのだろうか。

 ただ、この結末で良いのかとも。バッド・エンディングではないがスッキリもしない。救いはある。ちょっと、シャレたセリフ。ここで終わってないじゃんという気も。このへんがスペインというか、ヨーロッパ・テイストなのかも。それと、冒頭の議員のエピソードは必要だったんだろうか。何か意味があるように見せておいて、結果、まるごとなくてもいいような。

 記憶探偵のジョン・ワシントンはマーク・ストロング。悪役の多い人だが、本作は珍しく良い人。「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米/独)では見事な敵役。アクション快作「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)では怖いギャングのボスだった。最近作はポリス・アクションの「ビトレイヤー」(Welcome to the Punch・2013・英/米)で、やっぱり大物犯罪者役。スキンヘッドに無精ヒゲがトレードマーク。本作ではたびたびタバコを吸っている。

 謎の少女アナはタイッサ・ファーミガ。嘘つきの悪魔のような子なのか、かわいそうないじめられっ子なのか、微妙でわからないところが素晴らしい。ちょっとヨーロッパっぽい雰囲気もしたが、アメリカ生れ。1994年生れの20歳。聞いたような名前だと思ったら、ヴェラ・ファミーガの21歳違いの妹なんだとか。ほぼ娘に近い年の差! デビュー作などは日本劇場未公開。公開されたのはソフィア・コッポラ監督のおしゃれな不良青春犯罪映画「ブリングリング」(The Bling Ring・2013・米/英ほか)くらい。ちょっと作品に恵まれていない感じ。

 記憶探偵社の社長らしいセバスチャンはブライアン・コックス。この人も悪役が多いので、本作でも事件の秘密を隠している悪人のように見える。「ボーン・アイデンティティー」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)のCIAの上司、「X-MEN2」(X2・2003・加/米)の暴走する軍人ストライカーなどが有名。最近は「REDリターンズ」(Red 2・2013・米/仏/加)にロシアのスパイで出ていた。

 脚本はガイ・ホームズ。どうも本作が初めての脚本のよう。ストーリーにも関わっているらしいが、クレジットは無し。

 監督はスペイン生まれのホルヘ・ドラド。第二班の監督や助監督からのたたき上げ。1999年から短編を撮り始め、劇場長編映画は本作が初めて。

 銃は、刑務所のガードがM16を持っていた。A1だったような。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケ・カードで確保。当日は12〜13分前に開場し、場内へ。ほとんど中高年で、男女比は半々くらい。最終的には127席に8.5割りくらいの入り。

 今年も「シッチェス映画祭」をやるらしい。面白そうなスペイン系の映画が上映されるらしいが、劇場がなあ……。

 新作になってもあいかわらず外国人のナレーションで上からのJTのマナーCM、意味不明で絵が汚いQPのCMのあと……気になった予告編は……ブラッド・ピットの戦争映画「フューリー」は「プライベード・ライアン」(Saving Private Ryan・1998・米)のような感動作になりそうな予感。11/28公開。

 上下マスクの「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」はまもなく公開。なかなか面白そう。10/18公開。

 ほかにもたくさん予告編は流れたが、、どうにも興味を惹かれるものはなかった。

 それにしても、ケータイをライト代わりに煌々と光らせて入ってくる女とか、すわって靴を脱ぐオヤジとか(自宅か!)、スタッフ・ロールになるとすぐケータイをチェックするヤツとか、マナーの悪いヤツばっかり。


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