The Expendables 3


2014年11月1日(土)「エクスペンダブルズ3ワールドミッション」

THE EXPENDABLES 3・2014・米・2時間06分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク上映、レンズ、in Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルEX)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://expendables-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

バーニー(シルヴェスター・スタローン)率いる傭兵軍団「エクスペンダブルズ」は、デンザリ刑務所へ向かう受刑者移送列車から、かつての仲間ドクター・デス(ウェズリー・スナイプス)を救出すると、そのままソマリアのモガデシュヘ飛び、CIAのマックス・ドラマー(ハリソン・フォード)から依頼された武器商人ミンズの取引を阻止する任務に向かう。ところが、あらわれた武器商のボスは、かつてバーニーと一緒にエスクペンダブルズを作り、裏切って死んだはずのストーンバンクス(メル・ギブソン)だった。エクスペンダブルズのやり方を知っているストーンバンクスによりエクスペンダブルズは追い払われ作戦は失敗、仲間のシーザー(テリー・クルーズ)は瀕死の重傷を負ってしまう。復讐を誓うバーニーは、新たに若いメンバーを集め、ストーンバンクスを生け捕りにする作戦を決行する。


73点

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 いやあ、正統派痛快活劇という感じ。設定は荒唐無稽で、アクションも超人的だが、リアルに作ろうとしていて、なおかつ残酷になり過ぎないよう、笑いも交えながらアクション・ゲーム的にまとめられている。何も考えず、ただ皆のスーパー・ヒーローぶりを楽しめる。当然、敵となる悪党は徹底的に悪い。良心のかけらもない。主人公たちは傭兵なのに、金だけでは動かない信念の持ち主で正義の味方。

 そしてハリウッド大作らしい派手さ。戦車もヘリも登場するし、ドカンドカン爆発して、ビルも吹っ飛ぶ。もちろん銃もぶっ放しまくり。ほとんどがアクション・シーン、戦争だ。すごいなあ。これで飽きさせず、126分、最後まで一気に見せる。

 終わって劇場を出るとき、2人で来たらしい女性たちが「面白かったでしょう」「うん、面白かった」「私、絶対ビデオ買う」なんて会話をしていた。男性なら良くあるが、女性にもこう思わせるところがこの映画のスゴイところ。

 主役のバーニーは脚本も手掛けるシルベスター・スタローン。映画を作りまくっているが、さすがに本作はヒット・シリーズだけあって、ツボは外さない。ほかは微妙。本作シリーズで共演し意気投合したらしいジェイソン・ステイサムのために脚本を書いてプロデューサーもやった「バトルフロント」(Homefront・2013・米)は、パターン的だがなかなか面白かった。今後もガンガン映画を作っていくらしい。精力的な68歳。使っていた銃はキンバーのゴールド・コンバットIにの2挺拳銃に、背中に隠したSAA。メインは色々持ち替えていて、M4、G36K、Hの416など。確かコーナーショットを付けたM4も使っていたような。腕時計はRichard Mille RM 032 Automatic Chronograph Dive Watch、$125,000(約14,470,000円なり)らしい。たびたびトリガーに指が掛かっていたなあ。

 もちろん相棒のリー・クリスマスはジェイソン・ステイサム。大きなナイフを持っているクリスマスにドクが「ナイフ・ビフォー・クリスマスだな」といったり、スタローンが飛行機を操縦中に、副操縦士席に座っていたガルゴに「クリスマスが来るから席を空けてくれ」というとガルゴが「6月に?」というギャグも笑わせてくれた。この人が出ている作品は最近作だと「SAFE/セイフ」(Safe・2012・米)以外はだいたいどれも面白かった。すでに2015年公開予定のものが3本もある。プライマリーはHK416、セカンダリーはP226。

 今回の敵役ストーンバンクスはメル・ギブソン。まあとにかくイヤらしいというか憎たらしい。さすがのうまさ。巨悪に挑む刑事を描いた「復讐捜査線」(Edge of Darkness・2010・英/米)も面白かったし、刑務所アクション「キック・オーバー」(Get the Gringo・2012・米)も面白かった。やっぱりこの人はアクションの方が生きる気がする。ラストの1対1の決闘は定番だが、もう少し強くても良かったかも。拳銃はS&W500、長物はスコープ付きG36Cを使っていた。

 前2作でCIAの依頼者、ブルース・ウィルス演じるチャーチの代わりにCIAの依頼者として登場するドラマーはハリソン・フォード。坊主頭で意外な登場。やっぱり歳を取ったなあ。72歳だし。野球映画「42-世界を変えた男-」(42・2013・米)はちょっと役が中途半端な感じで、「エンダーのゲーム」(Ender's Game・2013・米)は残念なSF。本作も大事な役ではあるものの、ちょっと中途半端な感じが。はたして近日公開の「パワー・ゲーム」(Paranoia・2013・米/仏)はどうか。2015年には「スター・ウォーズ」の新作が公開され、ハン・ソロ役で出ているらしい。

 民間軍事会社を経営するチャーチは第1作からずっとアーノルド・シュワルツェネッガーが演じている。ただねやはりこれだけのスターが出る映画だと中途半端な感じになっている。それでも主演した最新作「サボタージュ」(Sabotage・2014・米)は、IMDbでの評価は低いが、面白かった。使っていた銃はドラム・マガジンを付けたAA-12ショットガン。

 新キャラのドクはウェズリー・スナイプス。スティーブン・セガールのようなB級アクションの帝王のようになり、民間軍事会社のようなものを作ったり、脱税で逮捕されたりと何かとお騒がせの問題児。逮捕前に出た「クロッシング」(・2009・)はなかなか良かった。見ていないが「ゲーム・オブ・デス」(・2010・)が最後の作品か。本作を見ていると、やっぱりこの人はうまいんだと思う。まともにがんばって欲しい。メインの銃はシュタイアAUG。MP5Kも使う。

 新しいコミカル・キャラのガルゴはアントニオ・バンデラス。早口のマシンガン・トークは見事だった。「暗殺者」(Assassins・1995・米/仏)でスタローンと共演している。最近は作品に恵まれていないようで、「マチェーテ・キルズ」(Machete Kills・2013・露/米)にちらりと出ていた他は「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・米/アイルランド)くらいか。この人もがんばって欲しい。AKのほかに使っていたピストルはフルオートだった気がする。

 クラブの用心棒をやっていた紅一点のルナはロンダ・ラウジー。アクションがサマになっていた。と思ったら、公式サイトによると世界柔道で銀、北京オリンピックで銅メダルのアスリートなんだとか。UFCの女子バンタム級現役王者だそうだ。どうりで。演技派経験を積めばうまくなるだろう。「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・米/アイルランド)の総合格闘家のジーナ・カラーノよりは笑顔がステキで愛想がある分、成功しそうな気がする。本作が映画初出演で、次は最新作の「ワイルド・スピード」に出るらしい。銃はM4、P90、ハンドガンはスライド・シルバーのP226。

 射撃のプロの新人マーズはヴィクター・オルティス。ソフト・モヒカンで、劇中エドワーズ空軍基地で実際に開発中である空中炸裂弾を発射できるスマート・グレネード・ランチャーH&KのXM25を試射して見せる。imfdbによると使っているのは外見を似せたモックアップらしい。元WBC世界ウェルター級チャンピオンのボクサー。本作が映画初出演。当然、俳優のような演技は期待できないが、こんな役ならいけるのではないだろうか。メインの銃はM4。

 ストリート・ファイトで負けて見せるジョン・スマイリーはケラン・ラッツ。1作以降は酷かった「トライライト-初恋-」(Twilight・2008・米)サーガに出ていた人で、つい最近レニー・ハーリン版の「ザ・ヘラクレス」(The Legend of Hercules・2014・米)に主演していたらしい。なかなかの二枚目。作品に恵まれていない感じだが、これをきっかけにがんばってほしい。この人もM4。

 脚本はシルベスター・スタローン、クレイトン・ローゼンバーガー、カトリン・ベネディクトの3人。クレイトン・ローゼンバーガーは「エンド・オブ・ホワイトハウス」(Olympus Has Fallen・2013・米)をパートナーのカトリン・ベネディクトと共に書いた人。それがデビュー作で、本作は2作目。2人ですでにこれから公開される2本を書いている。はたして出来はどうか。

 監督はパトリック・ヒューズ。オーストラリア出身のようで、短編を何本か手掛けた後、日本劇場未公開の低予算映画アクション「レッド・ヒル」(Red Hill・2010・豪)を製作・監督・脚本。それをスタローンが認めて、本作で監督することになったらしい。次作はインドネシア映画の「ザ・レイド」(The Raid・2011・インドネシア)のハリウッド・リメイク版になるらしい。

 銃は他にミニガン、MP5、ミニミ・パラトルーパー、FN MAG、SCAR、グレネード・ランチャー付きAKなど。定番のRPGや、「コマンドー」(Commando・1985・米)でシュワちゃんが使っていたM202ロケット・ランチャーも登場。戦車はT72のようだった(3両?)。砲身が後退していたので、実弾を撃っていたのかもしれない。ヘリはブルガリア海軍のユーロコプターAS565パンサーあたり。冒頭の刑務所襲撃ヘリはユーロコプターのBO-105あたりだろうか。たぶんこれらを使うためのブルガリア・ロケだろう。プロップ・ガンの発砲も夜8時以降はダメとかいう規制はないらしい。カメラはキヤノンの高価なEOS 5D。

 それにしても、なぜ邦題では原題にない「ワールドミッション」を勝手に加えたのだろうか。すでに有名で「3」というだけでわかるのに。それに「1」も「2」も何も付いていないではないか。意味不明。

 公開初日の2回目、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。映画の日なので大混乱。下は小学生くらいをつれたファミリーから、20代、中高年まで幅広い。女性は1/3ほど。アクションばかりだが、意外と女性の支持もあるよう。最終的には301席がほぼすべて埋まった。さすが。

 気になった予告編は…… 「シェアハウス・ウィズ・バンパイア」はホラー・コメディらしい。トロントやシッチェスなど多くの映画祭で観客賞を受賞しているんだとか。面白そう。1/24公開。

 「THE NEXT GENERATION −パトレイバー−」はついに劇場長編版がGW公開される模様。予告は凄い迫力。実物大のパトレイバーが本当に出ているようなリアルさ。

 スクリーンが左右に広がって本編へ。良かった、本物のシネスコ・サイズだ。


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