Hundraaringen som klev ut genom fonstret och forsvann


2014年11月8日(土)「100歳の華麗なる冒険」

THE 100-YEAR-OLD MAN WHO CLIMBED OUT THE WINDOW AND DISAPPEARED・2013・スウェーデン・1時間55分(IMDbでは114分)

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA )/ドルビー・デジタル

(スウェーデン11指定、日PG12指定)

公式サイト
http://www.100sai-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

自分の飼い猫とニワトリをキツネに殺された100歳の老人、アラン・カールソン(ロバート・グスタフソン)は、昔から爆破が好きだったことから、爆薬を仕掛けて侵入して来たキツネを殺し、養老院に入れられてしまう。しかし誕生日に窓から抜け出し、バスに乗って行けるところまで行こうと駅で待っていると、トイレに入ろうとしたチンピラからこれを持っていろと大きなスーツ・ケースを押し付けられる。ところが、ちょうどバスが来たため、スーツ・ケースを持って乗り込んでしまう。実は、その中にはギャングの金、5,000万クローネが入っていたのだった。アランは警察とギャングの両方から追われることになる。


74点

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 ヨーロッパらしい作りの映画。基本はコメディなのだが、1人の人生を描いた壮大な一代記。なんだか大作を見たような気分。暗い話ではないが、意外とずっしり重い。それでもラストには、映画の中で語られるように「人生なるようにしかならない」のかもしれないと思えるようになる。

 たぶんハリウッド映画なら、コメディはコメディらしい形式で作る。たとえば暴力も、表現はマンガ的で、血も出なければアザもできなかったり、すぐに回復する。ところが、ヨーロッパ映画では概してすべてがリアル。銃撃は、銃声も暴力的で大きいし、血のりが飛ぶ。爆破で体も粉々になって吹き飛ぶ。ヤクザもリアルに怖い。だから笑っていいのか迷うところもある。ただ笑える状況もリアルなので、おかしさがじわーっと込み上げてくるのだが。

 もちろん生まれてから100歳の現在までの波乱万丈の人生も描かれており、苦にも変わり、時代も変わるので、お金がかかったのではないだろうか。描写がリアルだから、ロシア人が出てくればロシア訛りの英語ではなくロシア語で話すし、スペイン人もスペイン語で話す。アメリカになれば英語だ。

 話の展開はほとんどおとぎ話のようで、主人公のホラ話のような感じ。いわば「ほら吹き男爵の冒険」のような感じか。あるいは「ドン・キホーテ」。それをリアルに描き、現在と過去が入り交じり、同時進行する。信じるか信じないかはあなた次第と。

 銃は、ロシア革命のシーンやスペイン内戦、第二次世界大戦などてそれぞれ軍用ライフル銃がでる。主人公はスペイン内戦でモーゼルC96を使い、フランコ将軍からコルト・ネービーのような豪華なプレゼンテーション銃をもらう。第二次世界大戦のロシアでアインシュタインの弟と脱走をたくらんでいる時には、PPSh41らしいサブマシンガンも出てくる。シープに似た車両はGAZか。KGBとCIAのスパイ時代にはスナイパーがレミントンっぽいライフルに二脚を付けて使っている。現代のギャングが使うのは2.5インチくらいのシルバーのリボルバー。S&WのM19か66あたりか。ほかにガバメントっぽいオートマチックも出てきたが、わからなかった。誤って象のケツを撃ったりしている。サウンド・サプレッサーも出てくる。途中で加わる女は水平二連ショットガンをぶっ放す。

 アラン・カールソンを演じたのはロバート・グスタフソン。1964年生れというから、本当は50歳。青年期から100歳まで、特殊メイクも使っているとは言え、1人で演じているのだからスゴイ。スウェーデンの国民的コメディアンだそうで、プロデューサー、脚本家、監督としても活躍しているらしい。残念ながら日本で劇場公開された作品は本作のみ。

 原作はヨナス・ヨナソンの「窓から逃げた100歳老人」(西村書店)だそうで、スウェーデンで100万部、全世界40カ国で800万部を超えるベストセラーだそうだ。脚本は監督で製作のフェリックス・ハーングレンと、ハンス・インゲマンソンという人が書いている。どちらも日本初登場。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に劇場に行って確保。当日は20分前くらいに開場。ほぼ中高年で、しかも高寄り。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。最終的に232席に8割りほどの入り。これはなかなか。ただ関係者らしい7〜8人の一団が……。多過ぎるって! 2人で充分だろう。

 なぜかスクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、四角のマスクで小さく囲んでCM・予告。四角の枠の「チャーリー・モルデカイ」はジョニー・デップ主演。おふざけもののようだが、どうなんだろう。まだティーザーで内容は良くわからないが、嫌な予感も。2月公開。

 イーストウッド監督の新作は現代戦の狙撃手を描く、四角枠の「アメリカン・スナイパー」。市街戦で、一般市民なのか、爆弾テロリストなのか分からない状況。上からはお前の判断でと言われる。その女が味方のいるところに近づいていく。撃つべきか、止めるべきか。これは誰にも判断できない。スゴイ映画になりそう。2/21公開。

 左右マスクの「ジミー、野を駆ける伝説」はケン・ローチ監督の新作。アイルランドでジミーという男が閉鎖された集会所を再開させようとする話らしいが……カンヌのコンペティション作品なので、どうだろう。1/17公開。

 直前にくらくなって、そのままシネスコで本編へ。良かった。それにしても、なぜMovieWakerでは今週公開の映画にリストされていないのだろう。作品紹介はあるのに。「ケープタウン」(Zulu・2013・仏/南ア)もそうだった。単館公開じゃないのに。困るなあ。リストしない基準は何なんだろう。


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