Kamisama no iu touri


2014年11月15日(土)「神さまの言うとおり」

2014・東宝/電通/講談社/OLM/ジェイアール東日本企画/日本出版販売/GyaO!・1時間57分(allcinemaでは118分)

シネスコ・サイズ/ドルビー・デジタル

(日R15+指定)(一部字幕上映もあり)

公式サイト
http://darumasanga.com
(全国の劇場リストもあり)

毎日が退屈でたまらなかった高校生の高畑瞬(福士蒼汰)は、ある日登校すると、世界史の授業中、教師の頭が破裂し、ダルマが現れる。そして生徒たちを相手に、命を懸けた「ダルマさんが転んだ」が始まる。動いているところを見られたものは頭が飛ぶ。ダルマの背中にはボタンがあり、「押したならおわり」と書かれているが、同時に残り時間を表示するタイマーも付いていた。どうにか生き残った高畑は廊下に出ると、同じく生き残った隣の家の同級生、秋元いちか(山崎紘菜)と一緒になる。携帯電話し圏外で、すべての出入り口がロックされ、行けるのは体育館だけだった。そこには同様に生き残った数人の生徒がいて、ネズミの着ぐるみを着ろと命じられたという。そのころ、ニュースでは世界同時多発テロが報じられていた。世界中の高校が白いキューブによって襲われ、自爆テロが行われているようだというのだ。


72点

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 うーん、原作を知らないと楽しめないかもしれない。漫画としては成立するだろうし、とても面白いだろうと想像できるが、映画になるときわめて現実感というかリアルさが出てくるので、このとんでもなさが良い方に出るか、悪い方に出るか。

 たぶん、あえて不条理な感じを強調するために、コントラクンプトとしてコミカルなモンスターの設定なのだろう。そこに思いっきりの残酷描写と、深刻な音楽。この不釣り合い。そして、最低限の説明しかしないと。だから原作を読んでいないと、どうしても分かりにくいし、ノリにくい。しかも、高校が舞台ということで新人俳優が多いからか、どうにもボクにはサタケ役の染谷将太と、天谷武役の神木隆之介は演技がうまくて良かったが、それ以外の役者がどうにも馴染めなかった。学芸会的というか……。それで設定とも相まって、なおノレない感じに。

 さらに、原作を読んでいる人は分かるのだろうが、本作ではほとんどストーリーに関係のない大森南朋演じる引きこもりのオタクのタクミや、ほとんど言葉を発しないリリー・フランキー演じるホームレスの神とかいて、これは続編を作るということなのだろうか。

 主役の高畑瞬は福士蒼汰。「仮面ライダーフォーゼ」で人気が出たらしい。その後NHKの「あまちゃん」でブレイク。つい最近「イン・ザ・ヒーロー」(2014・日)に出ていた。

 相手役の秋元いちかは山崎紘菜。東宝シンデレラで、東宝の劇場の流されている新作ニュースに出ている。映画では三池監督の「悪の教典」(2012・日)に出ていたらしい。

 やはりうまくて存在感があったのは、1時限目のダルマのゲームでいなくなってしまうサタケを演じた染谷将太。2000年代初めから活躍している。話題作にも良く出ていて、「悪の教典」のあと、「ストロベリーナイト」(2013・日)、「脳男」(2013・日)、「リアル〜完全なる首長竜の日〜」(2013・日)、「清須会議」(2013・日)、「永遠のゼロ」(2013・日)などという作品がならぶ。スゴイ活躍ぶり。最新作は「寄生獣」(2014・日)。使いたいという監督が多いのだろう。

 あぶないキレたやつ、天谷武は神木隆之介。この人も子役からやっていてうまい。現在21歳。三池監督の「妖怪大戦争」(2005・日)の時はかなり幼かった。ボク的には行定勲監督の「遠くの空に消えた」(2007・日)が抜群に良かった。本作の前に「るろうに剣心京都大火編」と「伝説の最期編」(2014・日)に出て、本作よりもいい味を出している。

 1時限目のダルマの声はトミーズ雅。2時限の招き猫の声は前田敦子。3時限のコケシの声はダチョウ倶楽部の3人。4時限のシロクマの声は山崎努。5時限目のマトリョーシカの声は水田わさびと小桜エツコ。みなうまかった。コミカルな感じが逆に怖くて、ここはたぶん狙いどおり。

 撃たないけれど銃も出てきて、自衛隊は89式小銃、警察の特殊部隊はMP5を持っていた。また音響も後方から音がしたり良く回っていた。

 原作はコミックの「神さまの言うとおり」(講談社少年マガジンコミックス、原作:金城宗幸、ART:藤村緋二)。2011年から「別冊少年マガジン」で連載がスタートしたらしい。脚本は、TVの「半沢直樹」(2013・日)や「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014・日)を書いた八津弘幸。

 監督は何でも撮れる職人監督、三池崇史。ガンガンとっているので、さすがに素晴らしい出来のものとそうでないものとがある感じ。好きな人にはどれも素晴らしいのだろうけれど。ボク的には「オーディション」(2000・日)、大森南朋が出た「殺し屋1」(2001・日)、コミカル・アクション「ゼブラーマン」(2003・日)、SFアクション「神さまのパズル」(2008・日)、リメイク時代劇「十三人の刺客」(2010・日)あたりかなあ。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードでパソコンから確保。当日は混むかと思ったら、意外と空いている。15分くらい前に開場。若い層から中高年まで幅広い。原作が少年誌の漫画だからか、20〜30代前半くらいまでが半分くらいいた。男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多かった。最終的には287席に4割りほどの入り。遅れてくるヤツが多かった。それにしても、話題作だと思うが、この入りはちょっと少ないのでは。

 シススコ・サイズのまま始まったCM・予告は左右のマスクか、シネスコはさらに上下もマスクした四角い枠付きでの上映。怪しげな一団、7〜8人が場内にいたが、どうも「ぴあ調査団」だったようだ。うーむ。

 半暗になってからの予告で気になったのは……四角の枠付きで、D機関、スパイなどという気になるワードがならぶ「ジョーカー・ゲーム」は、メイン・ビジュアルが現代っぽいが、古そうな設定が気になる。1/31公開。

 左右マスクの「アオハライド」は日本の恋愛モノでボク的にはどうでも良いのだが、主演の本田翼のキラキラと輝くような爽やかさと、はつらつとしたはじけるような若さは、なんなんだろう。すごいなあ。12/13公開。

 終わると話題になっている「NARUTO」の劇場版アニメが公開される。左右マスクで「THE LASTザ・ラストNARUTO THE MOVIE」。残念だろうが、ファンにはたまらないのでは。12/6公開。

 四角い枠の「寄生獣」は新予告に。たいぶ具体的な予告になってきた。なんかTVの「V/ビジター」みたいな雰囲気。原作はコミックのようだけど。11/29公開。


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