Dhoom: 3


2014年12月6日(土)「チェイス!」

DHOOM: 3・印・2時間31分(allcinemaでは152分、IMDbでは172分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、藤井美佳/シネスコ・サイズ(レンズ、Panavision)/ドルビーATMOS

(印U/A指定、米R指定)(クレジットではIMAXも)

公式サイト
http://chase-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1990年、アメリカ・シカゴ。インド大サーカスのオーナー、イクバル・カーン(ジャッキー・シュロフ)は経営不振で、シカゴ・ウェスタン銀行からお金を借りるため新しい出し物をプレゼンテーションしたが受け入れてもらえず、興業の打ち切り、設備などは競売にかけるとされてしまう。悲観したイクバルは拳銃自殺。幼い息子サーヒルが残された。現在、大人になったサーヒル(アーミル・カーン)は、シカゴ・ウェスタン銀行に侵入すると、盗み出した札束をビルの上からまき散らしながら、警察の追跡を振り切って逃げ切った。そしてサーヒルはインド大サーカスの建物を手に入れると、内装を新しくし、オーディションを行ってパフォーマーを集めていた。一方、シカゴ市警は金庫室に残されたメッセージがヒンドゥー語であったことから、インド・ムンバイ市警に協力を要請、2人の敏腕刑事ジャイ・ディクシェト(アビシェーク・バッチャン)とアリ(ウダイ・チョープラー)が派遣されてくる。


72点

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 うーん、さすがのインド映画、長い。インド映画のパターンのような、ダンス、カッコつけ、引用をてんこ盛り。これでもかと詰め込み、151分(オリジナル版は172分?)に仕上げたとそんな感じ。とにかく長い! 何回か気を失いかけた。眠い! インドでは上映で休憩をするのだろうか。昔は日本でも3時間を越えるような作品には休憩、インターミッションがあったけど。たとえば207分の「七人の侍」(1954・日)とか。

 その長さもあってか、前半と後半で違う物語のような雰囲気。前半は映画のパターンを寄せ集めたようなサーカス一家ドラマ。ほとんど展開は読めるというか、予想通りの展開。予定調和。ところが後半からアクション主体のSFファンタジー映画的になり、展開が読めなくなってくる。めちゃくちゃという感じもあるかもしれない。そして最後にはしっかりと感動させ、MTVのようなダンスで締める。観客を楽しませようという意気込みは良く伝わってくる。

 銀行は悪者、という昔の使い古されたパターンから始まって、子供が父の無念を晴らすという復讐劇パターン。オーディションで落とされていた美女をボスがひと目で才能を見抜いて採用するパターン、中国の京劇や日本の歌舞伎のような見えを切るようなキメポーズ、美女にだけ福爽やかな風、ここぞというところでスローになる演出。カッコつけ過ぎ。しかしあまりにスローを多用していて、うっとうしいほど。前半は眠くてしようがなかった。

 ビルの壁面を垂直に走り降りるのは「バイオハザードIIアポカリプス」(Resident Evil: Apocalypse・2004・独/仏ほか)だし、バイク同士の決闘は「MI:2」(Mission: Impossible II・2000・米/独)だし、コンピューターのモニターを直接手で操作するのは「マイノリティ・リポート」(Minority Report・2002・米)だし、変形バイクはどう見ても「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)だし、双子マジック・ショーは「プレステージ」(The Prestige・2006・米/英)的で、ワイヤーでビルからビルへ移るのは「Mr.&Mrs. スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)に見えてしようがなかった。ヘリの縄ばしごにぶら下がって銃を撃つなんて、ジャン・ポール・ベルモンドかっ。鏡の間はブルー・スリーかっ。……ほとんどがこのパターン。

 サーヒルはアーミル・カーン。1970年代から子役で映画に出演していて、1980年代末あたりから本格的に活躍し始めているが、日本公開された作品は少ない。「きっと、うまくいく」(3 Idiots・2009・印)で主演していたらしいが見ていない。それでも2役やっていたようだが、本作もみごとな2役。見た目を変えるのでは無く、演技でちょっとキザな復讐に燃える男と、少々トロい陰で生きる男とを見事に演じ分けている。これはスゴイ。インドでは国民的スターらしい。社会貢献活動も積極的に行っているらしい。筋肉質で見事に鍛えられたボディ。必要もないのに頻繁に裸になっていた。

 相手役の美女アーリアはカトリーナ・カイフ。モデル出身で、映画は2003年からでているらしいが、日本で劇場公開されたのは「命ある限り」(Jab Tak Hai Jaan・2012・印)と「タイガー〜伝説のスパイ〜」(Ek Tha Tiger・2012・印)などらしいが見ていない。インド的なカッコつけ過ぎ演出で、ちょっと日本人的には印象が良くない。

 インドからやって来る腕利き刑事ジャイ・ティクシェトはアビシェーク・バッチャン。まったくそんなふうには見えず、てっきり相棒と同じコメディ・キャラで、弥次喜多的存在、狂言回しかと思ったら違った。たぶん日本では劇場初登場。ラジニーント主演のSFアクション「ロボット」(Enthiran・2010・印)のヒロインを演じたアイシュワリヤー・ラーイの夫なんだとか。

 相棒の刑事アリはウダイ・チョープラー。お笑いキャラだが、プロデューサーとしても活躍していて、驚いたことに「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」(Grace of Monaco・2014・仏/米ほか)では製作を担当している。

 監督・脚本はヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ。シリーズ第1作目の「Dhoom(未)」(2004・印)で脚本家デビュー。監督は「Tashan(未)」(2008・印)に続いて本作が2本目。作詞家でもあり、本作の劇中歌を作詞しているらしい。本作の演出はパターン過ぎてボクにはピンと来なかった。

 銃は、冒頭父が使うのがフランスのマニューランっぽい6インチのリボルバー。アメリカの警官はM92。インドの刑事はグロックを使用。ラスト、SWATらしい警官たちの銃は、SMGかカービンかもわからず、正体を見極められなかった。撃たないし。

 バイクはBMWのSR1000だとセリフでは言っていたが、公式サイトではK1300Rの改造となっている。PCはMacBook。カー・チェイスは「ラッシュアワー3」(・2007・)や「リーサル・ウェポン4」(・1998・)を手掛けたハリウッドのチームが協力しているそうで、ダンス・シーンの振り付けは、タップをメインにしているなあと思ったら、TAP DOGSが担当しているという。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。当日は劇場の受け付け器でチケットを出して待つと、20分前くらいに開場。ほぼ中高年で、男女比は半々くらい。最終的には183席にたぶん7割りくらいの入り。遅れてくるヤツが多い。そして縦長な劇場なので、後ろに座ったらスクリーンが遠くて小さい。うむむ……。やっぱり新しい劇場の方がスクリーンが大きくて良い。

 気になった予告編は…… 東宝のシネマ・チャンネルによると、絵はなかったが「ドラゴンボールZ」が4/18に公開されるらしい。アニメ版だ。

 アメリカのベストセラー小説の映画化という「きっと、星のせいじゃない。」はインタビュー映像による予告。2/20公開。内容は良くわからない。ババアがケータイを使っていて、じゃま。

 上下マスクの「風に立つライオン」は、さだまさしが原作で、大沢たかおがアフリカで活動する医師を演じるらしい。3/14公開。

 「ムーミン」はもちろんアニメで、2/13公開。

 上下マスクの「ミルカ」はインド代表となったランナーの波乱の半生を描くものらしい。日本で公開されるインド映画では珍しく、歌や踊りのない普通のドラマらしい。しかし上映時間はやっぱり長く2時間半くらいとか。1/30公開。

 上下マスクの「96時間レクイエム」はシリーズ第3作。3部作ということか。1はとても良かったのに2は酷かった。3は……ついに妻が殺されるらしい。キャッチ・コピーが「ついに、父の暴走が終りを遂げる」だが、暴走しているのはリュック・ベッソンじゃないかなあ。1/9公開。

 上下マスクの「トラッシュ」はブラジルのゴミの山で生活する少年たちの話らしい。サッカーのワールド・カップが開催され、オリンピックも開催されるブラジルのイメージとのギャップがスゴイ。でも、劇場がなあ……。1/9公開。

 「サンバ」はブラジルの映画かと思ったら、「最強のふたり」(Intouchables・2011・仏)の監督と主演コンビによるフランス映画らしい。気になるが劇場が……。12/26公開。

 上下マスクの「王の涙」は韓国の歴史もの。宮廷内の派閥争いを描くらしい。12/26公開。

 そして「アイ・ラブ・スヌーピー」は3D-CGで描くアニメらしい。2015年12月公開。1年先かい!?


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