2015年1月17日(土)「96時間 レクイエム」

TAKEN 3・2014・仏・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク/レンズ、Hawk Scope/Super 35、Arricam)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビーAtmos、ドルビーサラウンド7.1も)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/96hours/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

元CIAの工作員で、現在はセキュリティ・コンサルタント会社を友人たちとやっているブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン)は、男と同棲している大学生の娘キム(マギー・グレイズ)と、元妻のレノーア(ファムケ・ヤンセン)、そしてレノーアの現在の夫スチュアート・セント・ジョン(ダグレイ・スコット)の相談を受けながら平穏に暮らしていた。しかし、ある日、レノーアがブライアンの部屋のベッドの上で惨殺され、それをブライアンが外出先から帰って発見したときに警官が入って来て逮捕されそうになる。反射的に警官を倒して逃亡したブライアンは、LAPDの腕利き刑事ドッツラー(フォレスト・ウィティカー)の追跡を受けることに。それをかわしながら友人の協力を得ながら捜査を進めると、怪しい男たちの姿が浮かび上がってくる。

71点

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 やっぱりリュック・ベッソン映画。悪くはないが良くもない。前作よりは持ち直したものの、第1作には遠く及ばない。とにかく設定に無理があり過ぎ。CIAにいた腕利きの工作員が、まったく逃げる必要のない状況で、とっさに体が反応して警官に暴行を働いて逃げるとは。こんなこと、ある? 現役のPMCオペレーターで、プロなのに。ちょっと調べれば無実はすぐにハッキリするはずなのに。しかも、家に戻って血の付いたナイフが落ちていて、ためらわずに拾う? 警官の銃まで盗むし。 腕利きのプロに見えない。ハリウッドのパターンじゃん。バカなのか? まさにキャッチのとおり、父の暴走。

 ラストでは、刑事が最初からわかっていたとのたまうし。だったら、主人公を追いつめるのではなく、やりようがあったはずだろ。刑事もバカなのか?

 アクションをメインで構成しようとしたのだろうが、ドラマがおろそかになって、まるで後からとってつけたような結果に。あまりにしょぼいドラマ。薄っぺら。どんでん返しもあるが、予想できる。しかも、肝心のアクションが…… シネスコ・サイズなのにアップ過ぎて何が映っているかわからないし、カットを細かく割り過ぎていて、編集で速く動いているように見せているだけと思わせてしまう。よくある、アクションに慣れていない女優のアクション・シーンのようになってしまっている。つまりプロっぽい動きなのかどうかわからないし、伝わってこない。

 ブライアン・ミルズはリーアム・ニーソン。第1作は面白かったが……。最近では「フライト・ゲーム」(Non-Stop・2014・英/仏/米)が良かったが、ほかにもラジー賞にノミネートされた残念なウェスタン「荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜」(A Million Ways to Die in the West・2014・米)に出ている。見ないで良かった。リーアム・ニーソンのウェスタンで良かったのはピアース・プロスナンと共演した「セラフィム・フォールズ(未)」(Seraphim Falls・2006・米)かなあ。

 LAPDの刑事ドッツラーはフォレスト・ウィティカー。本作では中途半端なキャラクターだが、さすがに存在感がある。刑事役から、危険な犯罪者までなんでも演じる人。本作の前は「ファーナス訣別の朝」(Out of the Furnace・2013・米/英)で警察官を演じていた。

 レノーアの現在の夫スチュアートはダグレイ・スコット。トム・クルーズの「M:I-2」(Mission: Impossible II・2000・米/独)で敵役をやっていた人。最近は出演作が日本で公開されていないようで、「マリリン7日間の恋」(My Week with Marily・2011・英/米)にも出ていたようだが、ボクが最後に見たのは「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)あたり。いい味のある人なんだけどなあ。

 脚本は製作も務めるリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメンの2人。リュック・ベッソンは映画を作りまくりで、本当に内容が薄い。本作の前はハリウッド・リメイクの「フルスロットル」(Brick Mansions・2014・仏/加)で、これも相当残念なものだった。シリーズ前作がひどかったのに、第3作目が作られるなんて、自身がプロデューサーならでは。たまに当たりが出ることもあるので目が離せないのだが。

 ロバート・マーク・ケイメンはリュック・ベッソンと長年一緒に仕事をしているライター。良いものもあるが、やはりリュック・ベッソンの影響か薄くなって当たり外れが大きくなってきた感じ。「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/英)や「96時間」(Taken・2008・仏/米/英)など最初のオリジナル版はいいのだが……。

 監督はオリヴィエ・メガトン。リュック・ベッソンによって監督デビューさせてもらったようなので、そうなのかと。残念なシリーズ前作を監督した人で、1作目は監督していない。1作目が良かったのに。同じ脚本の2人と3人で作った「コロンビアーナ」(Colombiana・2011・仏)も残念だった。

 銃は、警官がグロック。チンピラ達がM92やP226R、P226、1911オートのカスタム、AK、 Vz61、SG550、M4、SCAR、ベネリM4ショットガン、1911オートなど、など。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケ・カードで確保。当日は12〜13分前に開場。メインは20代から中年層。男女比は6対4くらいで男性の方が多い。最終的には127席がほぼ埋まった。2週目にしてはすごい。なぜなんだろう。リュック・ベッソンのネーム・バリューか、リーアム・ニーソンか。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、気になった予告編は......左右マスクの実話らしいレスリング選手の殺人ミステリー「フォックスキャッチャー」は、スポ根もののような雰囲気で、これがミステリーになるのかという感じ。しかし面白そう。アカデミー賞5部門ノミネート。2/14公開。

 左右マスクの「I LOVEスヌーピー」は新予告に。今度は動く絵あり。それでもまだ1年近く先だ。12月公開。

 枠付きの「エクソダス 神と王」も新予告。絵が、美術が、衣装が素晴らしい。なかなかのスペクタクルのようだが、やはり1対1の対決になるのではないか。1/30公開。3D上映もあるらしい。

 レンズが変わった感じがあって、本編へ。

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