2015年1月31日(土)「ジョーカー・ゲーム」

2014・日本テレビ放送網/東宝/ジェイ・ストーム/読売テレビ放送/バップ/博報堂DYメディアパートナーズ/KADOKAWA/日本出版販売/シネバザール/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS・1時間48分

日本語字幕:手書き風書体下/シネスコ・サイズ(マスク?、表記なし)/表記なし(ドルビー・デジタル?)
(一部字幕上映もあり)


公式サイト
http://www.jokergame-movie.com/index.html
(全国の劇場リストもあり)

第二次世界大戦までまもなくの1930年代の日本。ある士官候補生(亀梨和也)が日本帝国陸軍士官学校で、無体な命令を下す教官ともめ、誤って殺してしまう。裁判の結果、死刑になるが、執行直前に謎の男、結城(伊勢谷友介)が現れ、D機関へ連れて行く。そこは、表向きは貿易会社だが、陸軍に所属する特別なスパイ機関で、いきなり試験を受けさせられる。あっさりと合格した候補生は、様々な訓練を受けるダントツで優秀な成績を見せつける。そんなとき、陸軍参謀の大野大佐(嶋田久作)より、ドイツから盗み出された新型爆弾の設計図を収めた通称「ブラック・ノート」と呼ばれる機密文書を奪取するよう、D機関が依頼される。結城は候補生を「嘉藤次郎」として、機密文書を手に入れたと思われる国際都市「魔の都」のアメリカ大使に接近させる。猶予は大使が本国へ帰国するまでの2週間。はたして……。

70点

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 「マンガか、これは!」これが最初の感想。そして、これでなんどもツッコミを入れてしまった。劇場を出るとき若い女の子2人連れは「カッコ良かった!」。中高年の2人連れは「面白かったら、終わったらすぐ言うよ。何も言わないってことは……」。

 ウソ臭く、リアルさがない。原作は読んでいないが、展開も納得がいかない。臭いセリフ。演技がどうこうの前に、まるでセリフといった言葉。セリフ専門のダイアログ・ライターをやとったら良かったのかもしれない。しかも被らないように順番にしゃべる。学芸会じゃあるまいし。まあ、設定もトンデモだけど。学校の同級生なんて怒鳴る以外は、とにかく大声で笑いまくるというエキセントリックな奴らばかり。みんな病気なのかと思った。

 たぶん、これは主演の亀梨和也をカッコよく見せるための映画なんだろう。とにかく主人公はなんでもできる。天才というか、超人だ。一瞬で書類を記憶し、難なく何カ国語も話し、逆さ言葉もこなし、物の配置をフォトグラフィック・メモリーのように記憶し、銃も、剣も、空手も、縄抜けも錠前開けも一流で、訓練でも全く苦労しない。ウソくさ。007を超えるなあ(深田恭子は峰不二子を超える)。007はそれを信じさせるような説得力があるけれど、本作はなあ。

 天才的というか超人的士官候補生は亀梨和也。アイドル・グループKAT-TUNのメンバーで、俳優デビューはTVの「3年B組金八先生」(1999〜2000・日)。同じくTVの「妖怪人間ベム」(2011・日)ではベムを演じた。つい最近、映画「バンクーバーの朝日」(2014・日)に出ていたばかり。

 ヒロインは「ルパン三世」の峰不二子のような設定のリンで、深田恭子。美人で存在感はあるが、キス・シーンが酷かった。まるで感情が伝わってこない。仕事だから無感情で唇を押し付けているだけにしか見えない。もちろんこれは相手役の亀梨和也のせいでもあるだろう。いわば日本映画らしいというか。あまりに感情ギラギラでも困るが、これじゃあなあ。ホリプロ・タレント・スカウト・キャラバンでグランプリを受賞しデビュー。「下妻物語」(2004・日)や「ヤッターマン」(2008・日)などで良い味を出している。つい最近見たのは「超高速!参覲交代」(2014・日)。

 D機関の結城は伊勢谷友介。やはり設定が漫画的なので、いくら伊勢谷友介でも説得力を出すのは無理か。ボク的には「伝染歌」(2007・日)や「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007・日)が良かったし、フェルナンド・メイレレス監督の「ブラインドネス」(Blindness・2008・加/ブラジル/日)も良かった。そして最近では「るろうに剣心 京都大火編」(2014・日)も実に良かった。東京芸大から長身を生かしてモデルに、そして映画へと進んでいる。

 原作は柳広司の同名小説。脚本にしたのは渡辺雄介。残念な「20世紀少年」(2008・日)シリーズや、1は面白かった「GANTZ」(2010・日)シリーズ、ものすごく残念な「ガッチャマン」(2013・日)、そして残念な「MONSTERZ モンスターズ」(2014・日)と、どちらかというと残念な方が多いか。ただ深夜のTVシリーズ「霊能者小田霧響子の嘘」(2010・日)はめちゃくちゃ面白かった。シリアスものよりそちらの方が合っているのではないだろうか。残念ながら本作はシリアスだ。そして製作中の実写版「進撃の巨人」(2015・日)はシリアスだろう……。

 監督は入江悠。見ていないが「SR サイタマノラッパー」(2008・日)で注目されたらしい。最新作は「日々ロック」(2014・日)だが、それも見ていない。でもたぶんシリアスではなく音楽コメディ系が向いているのではないだろうか。なぜ本作に? フロデューサーの問題か。

 銃は、海外ロケ部分ではコルトM1917リボルバー、FN M1900、実銃ベース・プロップガンが登場。とはいえ塗装が剥がれてボロボロになっているのが悲しい。ほかにもガバメントやPPKが出ていた。日本国内の銃器はあまり目立っていないが、ビッグショットが担当。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。当日は15分前に開場。観客層は若い人から中高年まで割と幅広かった。特に若い女性が多い。亀梨和也狙いか。テーマは中高年向きなんだが。男女比はなんと2対8くらいで女性が圧倒的に多かった。下は小学生くらいの5人連れ。最終的には287席に7.5割くらいの入り。朝一にしては見事な入り。ただ、関係者らしい一団が5〜6人も。多いって。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は……四角い枠付きの「予告犯」は、生田斗真主演のミステリーらしい。シンブンシ男とサイバー警察の戦いを描くのだとか。予告はちょっと「脳男」(2013・日)の雰囲気もあるような感じだったが。6/6公開。

 四角い枠の「寄生獣 完結編」は続編のほう。なんだか寄生獣に子供が生まれるようで、しかも染谷将太の腕にくっついた阿部サダヲが取れてしまうような映像が! そういう展開か! 4/25公開。

 左右マスクの「エイプリルフールズ」は嘘つきエンタテインメントだそう。まあ豪華なキャストで、それだけで予算を使い果たしたのではないかと思うほど。残念か面白いかどっちかという感じ。4/1公開。

 四角の枠の「殺人教室」はアニメ化もされた漫画の映画化。監督は「海猿」(2004・日)シリーズの羽住英一郎(残念な「ワイルド7」(2011・日)も撮ってるけど)。これも外すか当たるかのどちらかのような。3/21公開。

 左右マスクの「ストロボ・エッジ」は少女漫画原作で、主演が福士蒼汰で雰囲気はまるで「好きっていいなよ。」(2014・日)。相手役が有村架純に変わっただけのような。3/14公開。

 マスクが左右に広がって、本編へ。

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