2015年2月15日(日)「ミュータント・タートルズ」

TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES・2014・米・1時間41分

日本語字幕:黒フチ丸ゴシック体下、樋口武志/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビーATMOS、 DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルも)

(米PG-13指定)(日本語吹き替え版、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.turtles-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ニューヨークのチャンネル6のエクササイズ・リポーターのエイプリル・オニール(ミーガン・フォックス)は、ジャーナリストになるため特ダネをモノにしようと狙っていた。ある日、地下鉄で発生した発砲事件に現場に潜入、犯人たちに捕らえられてしまう。しかし突然現れた4人組の自警団(ヴィジランティ)らしきグループに助けられ、後を追って彼らがティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズであることを知る。しかし撮影したデータを破棄され、誰も彼女の言うことを信じてくれない。そこでエイプリルは、その話を信じてくれそうな大金持ちの実業家エリック・サックス(ウィリアム・フィクトナー)に話す。彼はかつて亡くなった父と研究をしていて、彼女をよく知っていたし、ニューヨークの治安維持のためNYPDへの支援を申し出ていたからだった。しかし、その直後、タートルズと一緒にいるところを悪党グループのフット軍団とそのボス、シュレッダー(トオル・マサムネ)に襲われる。

68点

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 子供向け作品。CGはすごい。音響効果も大迫力で立体的。ほかに見所があるかというと、ない。芽の出ない新人記者などというパターンにはまった設定、パターンにはまった展開、パターン通りの結末。中途半端に取り入れた「日本」。日本ではファミリーのことを「家門」というらしい。間違っちゃいないが、現代人でそんなことを言う人はいない。父であり、師匠であるネズミなどはほとんど中国人だ。大人には向かないと思う。眠かった。

 そしてところどころ日本語を織り込んでくるくせにキャラクターの名前はイタリア系というか、イタリアの有名画家の名前って...... どうも、亀の名付け親は研究していた父の娘で、その亀たちが下水道で育つときに、たまたま流れてきた忍者の本を参考にしたからということになっていた。筋は通るか。でもなんかみな黒人っぽい感じだったけど。

 すごいCGだが、亀はリアルすぎて両生類的な気持ち悪さが出ている。ヌルヌル感というか、シズル感というか。ネズミなんか汚らしさまでリアルで、ちょっと気持ち悪い。そして、だいたい皆おバカキャラ。いい方も悪役も、バカなのか。しかもカメラを動かしすぎ。シネスコの横長画面ではカメラを動かすな! シロートか! 3Dで見たら目まいどころか、酔うかもしれない。さすがマイケル・ベイ映画。「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)シリーズそっくりのド派手なCGショーだ。

 本作はマイケル・ベイお得意のリメイクということになるわけだが、オリジナル版「ミュータント・タートルズ」(Teenage Mutant Ninja Turtles・1990・米/香)では略号のTMNTなんて宣伝していた気がする。本作の場合、英語タイトルの大きい文字はニンジャ・タートルズの部分。邦題は1コ飛ばしでミュータント・タートルズにした。

 映画界で不思議なのは、マイケル・ベイとM・ナイト・シャマランとドイツのウーヴェ・ボルといった人たちがなぜ作品を作り続けられるのか。ボクには理解しがたい。リュック・ベッソンはまだどうにか理解できるけど……。結局のところマイケル・ベイ作品は評価は低いのに、興行成績を見ると上位に入っているんだなあ、なぜか。話題作りが上手いのか、広告がうまいのか、とにかく劇場で見たい気にさせてしまうということだ。

 それにしても、ウーピー・ゴールドバーグはどうしちゃったの。巨大化してしまって、別人一歩手前。驚きというか、悲しいというか。「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」(Jumpin' Jack Flash・1986・米)や「ゴースト/ニューヨークの幻」(Ghost・1990・米)、「天使にラブ・ソングを」(Sister Act・1992・米)の面影は全くなかった。

 そしてヒロインのエイプリル・オニールはミーガン・フォックス。「トランスフォーマー」で懲りて他に行こうとしたものの、うまくいかずまたマイケル・米の元に戻ったという感じだろうか。ギリギリ日本劇場公開された学園ホラー「ジェニファーズ・ボディ」(Jennifer's Body・2009・米)や西部劇の「ジョナ・ヘックス(未)」(・2010・Jonah Hex)も、評価は低かった。公開される劇場数も、出演料も違うんだろうなあ...失礼!!。当然本作もおバカキャラ。

 実業家エリック・サックスはウィリアム・フィクトナー。名優だと思うが、本作のような作品に出れば普通の俳優と変わらない。まったく輝いていない。古くはマイケル・ベイの非SFアクション「アルマゲドン」(Arumagedon・1998・米)や「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米/英)に出ていたが、いまやTVドラマの「プリズン・ブレイク〈シーズンII〉」(Prison Break・2006〜2007・米)シリーズの方が有名かもしれない。

 パターンだらけのバカっぽい脚本はジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック、エヴァン・ドーハティの3人。ジョシュ・アッペルバウムとアンドレ・ネメックはTVの脚本から、トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(Mission: Impossible - Ghost Protocol・2011・米/アラブ首長国連邦/チェコ)の脚本と共同制作を担当しており、そこから本作につながるらしい。

 エヴァン・ドーハティは、長編の第1作が残念な「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)で、ロバート・デ・ニーロとジョン・トラヴォルタが共演した「キリングゲーム」(Killing Season・2013・米/ベルギー/ブルガリア)は面白かったが、そのあともっと残念な「ダイバージェント」(Divergent・2014・米)を書いている。どうして書かせちゃったんだろう。「キリングゲーム」で判断されたのか。

 監督は南ア出身のジョナサン・リーベスマン。ホラーの「黒の怨」(Darkness Falls・2003・米/豪)を評価したマイケル・ベイが、お得意の残念なリメイク・ホラー「テキサス・チェーンソー ビギニング」(The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning・2006・米)に抜擢。その後B級ホラーを1本撮って低評価で、「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(Battle Los Angeles・2011・米)でジャンルをSFアクションに変更したかと思ったら、1本目から残念だったものの続編「タイタンの逆襲」(Wrath of the Titans・2012・米/西)でさらに評価を落とした。カメラを動かすわけだ。それでまたリメイクって、マイケル・ベイは一体.......。

 登場した銃は、フット軍団がM4カービン、ミナエ・ノジ演じる女リーダーがP226、エリック社長がM92。しまいにはRPGも使う。NYPDのSWATも出てくるのに、装備を全く覚えていない。印象に残らなかった。一部、黄色とかのポップな色がついたストクックやハンドガードのM4も混じっていたが、どういう意味があったんだろう。スイスのアーミー・ナイフというか、レザーマンのツール・ナイフみたいな鎧装束、全身武器のトランスフォーマー的シュレッダーも滑稽だった。電気ショックのスタンガンも使っていた。

 字幕の翻訳もちょっと気になった。「オレ様」っていつの時代だよ。こんなセリフ吐くやついるか? 文語以外に見かけない気がする。老人が「......じゃ」としゃべるのとつながる気がする。文字で読む場合は必要かもしれないが、映画は絵があるんだからよけいな演出なんじゃないかなあ。そして冒頭、どこかアフレコのような違和感のある音声。音と動きがズレているわけではないのに、どうにもしっくりこなかった。何なんだろう。不思議。一部、日本語のセリフに英字字幕が載り、しかもそれが吹き替えられているような感じで、どうなっているんだと。

 公開9日目の2D上映初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで劇場で確保。公開1週たったら3D上映が遅い方の回になってよかった。3Dの価値が理解できない。こんなに動きまくりのシネスコ画面じゃ、逆効果だろう。

 10〜11分前に開場。スクリーンはシネスコで開いていた。観客層は若から中高年まで幅広く、どちらかと言えば若い人が多い感じ。男女比は男性15〜16人に対して女性2〜3人。下は父に連れられた小6くらいの男の子。最終的に一番大きな607席に50人くらい。これはビックリ。さすがマイケル・ベイ。監督じゃないけど。リメイク作りまくりだもんなあ。どんなに評価が低くても。

 CMのみで予告編無しのいきなり本編へ。えっ!?


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