2015年3月22日(日)「映画暗殺教室」

2015・フジテレビジョン/集英社/ジェイ・ストーム/東宝/ROBOT・1時間49分

シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、ALEXA)/ドルビー・デジタル(たぶん。表記なし)

(字幕版もあり)

公式サイト
http://www.ansatsu-movie.com/index.html
(全国の劇場リストもあり)

ある日、月が破壊され、次に地球も破壊すると脅迫するタコ型の謎の特殊生命体が現れる。その生命体にとって地球の破壊は簡単すぎるので、1年後と期限を切って、それまでに自分を暗殺できたら地球の破壊を諦めると、日本の超有名進学校「椚ヶ丘(くぬぎがおか)中学」の中でも、落ちこぼればかりを集めた3年E組を指定する。世界各国が生命体の抹殺に失敗し、ついには日本ごと消滅させようとしていることから、日本政府は3年E組に地球の運命を託し、唯一その生命体を倒せる武器である特殊樹脂製のナイフと、特殊樹脂製のBB弾を自衛隊から支給する。ルールはシンプル。生命体は先生として3年E組に赴任し、生徒はいつ攻撃を仕掛けても良く、仕返しはしない。ただし生命体はマッハ20で移動でき、触手などを落としてもまた再生してしまう。期限は1年後の3月の卒業まで。生徒たちは生命体に「殺(ころ)せんせー」と名付け、授業が始まる。

73点

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 まさかの「to be continued(続く)」(なぜ英語?)。これって反則じゃね? 前売りにも書いてないし、タイトルにも入ってないし。話、終わらないのかよ。フジテレビかあ。

 とにかく合成技術、SFXが素晴らしい。そして、ちょっと感動した。超進学校の落ちこぼれたちをやる気にさせるという、教訓的話。道徳の時間というか、カリカチュアというか。ただ、ギャグはほとんどダダすべり。全体で1〜2回、「クスり」があったくらい。そこが残念。まあタイトルの漢字にルビ(ふりがな)が付いていたから、製作者サイドとしては子供向けだったのかも。チラシや前売りにはルビ入っていないのに。

 たぶん原作の狙いでもあるのだろうが、エイリアンがいい先生に思えてくる。落ちこぼれと正面から本気で向き合ってくれる先生。この辺は正統派の学園ドラマ。昔のTVであった「飛び出せ!青春」とか「われら青春」のような熱血先生の感じ(どちらも製作は東宝)。それをSF設定とサバゲ的味付けで現代風の料理にしたと。

 主人公らしい潮田渚(しおたなぎさ)は山田涼介。Hey! Say! JUMPのメンバー。たぶん有名なのはTVの「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件」(2012・日)シリーズ。本作はクラスでも目立たない存在という設定なので、確かに目立たない。耳にピアスの穴がアイスていたが、設定的にはどうなのか。役者はその辺も考えてピアスの穴あけないと。これが時代劇だったら興ざめだった。最近はデジタルで高画質なので、特にスクリーンの大きな映画だとピアスの穴はバレバレ注意してほしい。

 いい味を出していたのは、途中から登場する停学中だった赤羽業(あかばねカルマ)の菅田将暉。デビューはTVの「仮面ライダーW」(2009・日)。最近は仮面ライダーをやると売れるようだ。映画では「共食い」(2013・日)などに出ている。尖った感じがよく出ていて、暗い雰囲気も良かったが、実際には結構明るいようだ。いじめっ子のような奴らに自爆テロをさせられるところがリアルで怖かった。

 金髪の殺し屋にして外国語の教師イリーナ・イェラビッチは知英(じよん)。KARAのメンバーでTVにも女優として出ていたが、映画は本作が初デビュー。原作では3年E組に殺し屋として送り込まれ、殺せんせーと壮絶な銃撃戦を繰り広げるも暗殺に失敗し、なぜかその後、外国語教師になったということになっているらしいが、本作ではそれは描かれていない。美人だよなあ。

 美人といえば、群像劇なのでこれまたちょっとしか活躍しないが、自立思考固定砲台のAIロボットは橋本環奈。モニターでしか登場さしないが、かわいい。自立思考固定砲台を略して「律」と呼ばれているところが、ナイス・ネーミング。マシンガン4挺、ミニガン4挺という重武装。発砲すると薬莢がボロボロ飛び出ていたが、BB弾なんだから必要ないんじゃないかなあ。

 そして、目立たないのに美人で可愛くて良かったのは茅野カエデ(かやのかえで)の山本舞香。2011年の三井のリハウスガールらしい。TVには2011年から出ていて、映画はこれからという感じらしい。どんどん活躍してほしい。

 さすがに悪役でハマっていてうまかったのは、防衛庁空挺部隊出身の体育教師、鷹岡明(たかおかあきら)の高嶋政伸。TVの「HOTEL」(1990〜1998・日)シリーズで、すっかりいい人キャラが定着したのが嫌だったのか、それ以来一転してどぎつい悪キャラを突っ走っている。「探偵はBARにいる」(2010・日)とか、エキセントリックで強烈だった。本作もその流れにある。エキセントリックで強烈。

 殺せんせーの声は二宮和也。思った以上にピッタリはまっている感じ。素だとちょっと気だるいような喋り方だが、さすがに役に入ると全く印象が変わる。うまいなあ。特に「ぬるふふふふ」という笑いが良かった。やはり二宮和也といえば「GANZ」(2010・日)もあるが、イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」(Letters from Iwo Jima・2006・米)がベストの気がする。

 原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載中の同名の大ヒット漫画。作者は松井優征。コミックスは累計1,000万部超。アニメ化もされているという。知らないのはボクくらいか。脚本は金沢達也。主にTVが活躍していて、映画は「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」(2010・日)で脚本に協力している。

 監督は羽住英一郎。「海猿ウミザル」(2004・日)シリーズの監督だ。「ワイルド7」(2011・日)はかなり残念だったが、TVの「MOZU」(2014・日)はなかなか良かった気がする。そして本作で、いい流れにある感じ。

 自衛隊が生徒に支給するBBガンは、東京マルイ製らしいハイキャパとM4カービンなど。そしてゴムのナイフにBB弾グレネード。体育教師、鷹岡が持ち出してくる本物のナイフはガーバー。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで金曜に確保。当日はアナウンスより先に15分前くらいに開場。観客層は小学校低学年連れのファミリーから中高年まで幅広いが、子供が多めだ。春休みということもあるのか。男女比は最初ほぼ半々くらいだったのが、女子がちょっと増えて4.5対5.5くらいに。最終的には607席の3.5割くらいが埋まった。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は...... 四角の枠付きで「ソロモンの偽証」は後編なのにほとんど前編と同じ予告って。前編からあまり間を置かないのはいい。4/11公開。

 一方、四角の枠付きの後編「寄生獣」はもうほとんど内容を忘れてしまった。ただ、寄生した手が取れて、赤ちゃんが生まれて、戦って......という感じ。まさかTVで前編はやらないよなあ。4/25公開。

 左右マスクの「バケモノの子」7/11公開と「名探偵コナン業火の向日葵」4/18公開はどちらもアニメ。しかし業火の向日葵って子供は読めるのか。大人向けなのか。

 マスクが左右に広がって、なかなかタイトルが出ずイライラした「予告犯」は画質が悪かった。あえて古い感じを出そうとしたのか。目出し紙袋ねえ。でも面白そう。6/6公開。


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