2015年4月18日(土)「ワイルド・スピード SKY MISSION」

FURIOUS SEVEN・2015・米/日・2時間18分(IMDbでは137分)

日本語字幕:手書き風書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、一部フィルムSuper 35、with OTTO)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)(3D上映、4DX上映、IMAX版、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://wildspeed-official.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

記憶喪失となったレティ(ミシェル・ロドリゲス)を連れて、ドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、かつて自分たちが創設した「レース・ウォーズ」に行く。レースには勝つが何も思い出せないレティはドミニクの元を去る。そのころ、DSSのロサンゼルス支局が、弟の復讐に燃えるショウ兄弟の兄デッカード(ジェイソン・ステイサム)に侵入され、ドミニクらのデータを盗まれる。気づいて戦ったエージェントのホブス(ドウェイン・ジョンソン)は重傷を負って入院。その後、子供が幼稚園に通い出したブライアン(ポール・ウォーカー)とミア(ジョーダナ・ブリュースター)のオコナー家に、東京のハン(サン・カン)から荷物が届くが、たまたま訪れていたドミニクの目の前でそれが爆発、誰も怪我はしなかったが、家は粉々に吹き飛んでしまう。そして病院のホブスからドミニクに呼び出しが掛かり、それがイアン・ショウの仕業であることが知らされる。

77点

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 ビックリ! 冒険に次ぐ冒険の堂々たるエンターテインメント。しかも、思いもよらないスケールの大きな展開で、これぞ映画という痛快アクションを堪能できる。しかも、その展開は、多少、強引かつありえないものだが、納得はできるしアガる(興奮する)ように作られている。世界を股にかけた大活躍。前作で消化不良のままだった悪役の東洋人の格闘家らしい男との決着も着く。

 しかも良いのが、やたらにセリフで語らせないで、映画らしいく行動で語るところが良い。ヴィン・ディーゼルが主役に違いはないけれど、1人のスーパー・ヒーローが八面六臂の活躍をするのではなく、全員アクション、チーム・ワークというところが良い。主役以外にもそれぞれ見せ場が用意されていて、主役を超えることなくバランスも良いのだ。当然、こういう映画の基本である悪役の悪さも光っている。不幸な身の上とかの、お涙頂戴のチープなドラマもない。弟のための復讐と分からせているだけ。主人公側に、愛とか家族のドラマがあるだけ。

 まるで007映画的な展開だが、「ワイルド・スピード」シリーズの基本であるカー・アクションも忘れていない。レースもあるし、スピルバーグ監督のTVムービー「激突!」(Duel・1971・米)的なカー・チェイスもある。その終わりは崖だ。走りながら派手に撃ち合いもする。徐々にエスカレートしていって、マシンガンからミニガン、果ては武装ヘリとミサイルまで登場する。ビルも1つぶっとばす。

 画質も素晴らしく、シズル感があって美しい。音響もクリアで、迫力があり、よく回って立体的。エレベーターの到着したチンという音は後ろ左から聞こえた。カメラ・ワークもユニークで、特にアクション・シーンで被写体とともにカメラも一緒に転がるショットは実に見事だった。CGのレベルもとんでもなく高い。ラストのクレジットを見ると、たくさんのSFXショップ、膨大な数の人が関わっている。お金かかっているんだなあ。少ないセリフも洒落た感じのものが多いようだが、日本語字幕ではそれは無理。しようがない。英語がわかればかなりセリフも楽しめるようだ。

 ラスト近く、亡くなったポール・ウォーカーのシリーズ第1作からの映像が思い出として出る。若かったなあと感慨深かった。もういないなんて......。最後の最後に「ポール・ウォーカーに捧ぐ」と出る。

 ドミニクは製作も兼ねるヴィン・ディーゼル。本シリーズと「ピッチブラック」(Pitch Black・2004・米)に始まる「リディック」シリーズしかない気はする。「トリプルX」(xXx・2002・米)は1作で降りてしまったし。そろそろアクションがきつくなってくるだろうし。大丈夫なのか。余計なお世話だが、他に展開できるかが鍵かも。本シリーズもさすがに中だるみがあったものの、持ち直したところはさすが。使っていた銃は自分でバレルとストックを切り詰めた水平二連ショットガン。

 ブライアンはポール・ウォーカー。車の事故で亡くなったとはなんとも皮肉な話。これからだったのに。本作の前に残念なリュック・ベッソンのリメイク「フルスロットル」(Brick Mansions・2014・仏/加)に出ている。そういう意味では、本作が最後で良かったかも。本作はより多くの観客に、ちゃんと楽しんでもらえる作品だ。使っていた銃はP226、M4カービン、MP5など。

 敵役のイアンはジェイソン・ステイサム。良い人役が多いが、悪役もいける。無言の存在感でなかなか怖い。たまに「SAFE/セイフ」(Safe・2012・米)のような残念なものもあるが、概ねこの人の出ている映画は面白い。この人もアクション・メインだが、「アドレナリン」(Crank・2006・米)のようなコメディ作品があるところに厚みがある。悪役もやるし。使っていた銃はXDmのようなオート、Vz61スコーピオン、AIストックを装着したボルト・アクション・ライフル、

 ジェイソン・ステイサムに対するにはドウェイン・ジョンソンでないと無理だろう。筋肉モリモリ。現代アクションから歴史物もそしてSFファンタジーの子供向けのアクションもやっている。日本劇場未公開も数本あるものの、本作の前の「ヘラクレス」(Hercules・2014・米)では「ヘラクレス」対決を制し、まもなくディザスター・パニック映画「カリフォルニア・ダウン」(San Andreas・2015・米)も公開される。使っていた銃はS&W M629カスタム、そしてミニガンM134を腰だめ撃ち。

 テロリストはジャイモン・フンスー。かなり悪い役だが、「ブラッド・ダイヤモンド」(Blood Diamond・2006・独/米)で巨大ダイヤを発見した現地人を演じていた人。最近では「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(Guardians of the Galaxy・2014・米/英)に出ていた。使っていた銃はMP5。

 CIAのミスター・ノーボディはカート・ラッセル。「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・英/米)や「遊星からの物体X」(The Thing・1982・米)に主演したアクション俳優だ。最近はリメイクの「ポセンドン」(Poseidon・2006・米)とか「デス・プルーフ in グラインドハウス」(Death Proof・2007・米)で残念なものばかりだった。本作は良い感じ。使っていた銃は、スクリーン初登場かもしれない両サイド・マガジンのポンプ・ショットガンUTAS UTS-15。そして着用していたボディ・アーマーはドラゴンスキン。

 セリフなしの東洋人の格闘家はトニー・ジャー。ポール・ウォーカー相手に大活躍する。「マッハ!」(Ong-bak・2003・タイ)でブレイクした本物の武闘家だ。さすがに格闘シーンはうまい。

 ミシェル・ロドリゲスとアブダビで格闘を演じる強い女は、世界柔道で銀、北京オリンピックで銅メダル、UFCの女子バンタム級現役王者のロンダ・ラムジー。タイト・ドレスとヒールでよくやるなあ。さすがにうまい。「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」(The Expendables 3・2014・米/仏)の紅一点、クラブの用心棒をやっていた人。

 ほかに銃はグロック、M4カービン、MP5、AMMS、G36、FN MAG、M2重機、モスバーグ500など。不確かだが、XDmとかグレネード・ランチャー付きベレッタARX160もあったような。キー・アーマラーはデヴッド・フェンクル。デンゼル・ワシントンの「マイ・ボディガード」(Man on Fire・2004・米/英)などを手がけた人で、キャスリン・ビゲロー監督の「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)も前作から引き続き手がけている。最近だと同じデンゼル・ワシントンの「イコライザー」(The Equalizer・2014・米)をやっている。

 タワー・ビルから飛び出すスーパー・カーは、映画の中でも言っているが、最高速度390キロのライカン・ハイパー・スポーツ。世界で7台しかないそうで、価格は340万ドル(約4億6百万円)。それをスタントに使っている。

 脚本は製作総指揮も務めるクリス・モーガン。本シリーズには3作めの「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(The Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)から関わっていて、他には、ジェイソン・ステイサムが悪役の面白かった「セルラー」(Cellular・2004・米/独)、アンジェリーナ・ジョリーの弾丸をカーブさせるアクション「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)、非常に残念な「47 RONIN」(47 Ronin・2013・米)などを書いている。アクションが多い人で、当たり外れが大きいということか。本作も荒唐無稽な所はあるが、当たりだった。

 監督はマレーシア出身のジェームズ・ワン。あの恐ろしくてミステリアスな傑作「ソウ」(Saw・2004・米/豪)のオリジナル監督だ。その後、あまり面白いものがなかったが、「死霊館」(The Conjuring・2013・米)は久々おもしろかった。その続編?「アナベル死霊館の人形」(Annabelle・2014・米)は残念だったが製作のみ。本当の続編はこれから作られるらしい。本作は「ソウ」並みの白眉の出来ではないだろうか。ひょっとすると、この人はホラー系よりアクション系に向いているような気も。まあ、ホラーがちゃんと撮れる監督は、なんでも撮れるというボクの理論からすると当然ではあるのだが。今後にも大いに期待したい。

 公開2日めの初回、新宿の劇場は2D上映字幕版が8時30分というモーニング・ショーのような開演時間。全席指定で、ムビチケカードで金曜に確保。当日は15分前くらいに開場。若い人から中高年まで割と幅広かったが、やはりメインは中高年。男女比は、男性40〜50人に、女性5〜6人という感じ。最終的に、さすがに朝早いため、301席の3割ほどしか埋まらなかった。でも、もっと入ってもいい映画。入場プレゼントでFFの小さなステッカーをもらった。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告は...... まるで戦争映画のようだったのは枠付きの「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」。ボク的には前作は残念なものだったので、あまり期待していないのだが、予告は面白そう。AIロボットの反乱? 7/4公開。

 枠付きの「ピクセル」は日本のゲームがテーマ。パックマンとかドンキー・コングとか、それが現実の世界に現れて侵略してくると。おもしろい発想だが、主演がアダム・サンドラーというのが不安材料。お得意のトロい大人のおふざけモードか、真剣モードか。9/19公開。

 枠付きの「マッドマックス」はとにかく美しくて、すごい絵に圧倒される。トレードマークのオードオフ・ショットガンにウインチェスターM73、グロックも使われているような。徐々に細かな絵が公開されている。それなのに邦題のサブ・タイトルが悲しい。「怒りのデス・ロード」って......。6/20公開。

 マスクが左右に広がって本編へ。映画泥棒の後やっと暗くなって......ケータイ点けるな!!


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