2015年4月25日(土)「寄生獣 完結編」

2015・東宝/日本テレビ放送網/講談社/電通/ROBOT/日本出版販売/GyaO!/Yahoo! JAPAN/KDDI・1時間58分

シネスコ・サイズ(デジタル、RED EPIC)/ドルビー・デジタル

(日PG12指定)(一部字幕付き上映もあり)

公式サイト
http://kiseiju.com
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

対パラサイト特殊部隊の本部に連続猟奇殺人犯の浦上(うらがみ、新井浩文)が連行されてくる。彼は寄生獣に乗っ取られ人間ではなくなったパラサイトを見分けることができるのだ。右手だけミギー(声:阿部サダヲ)に乗っ取られた高校生の泉新一(いずみしんいち、染谷将太)も判定にかけられるが、一瞬引っかかったものの、違うと判定される。そんな新一はミギーと協力して、親の仇でもあるパラサイトたちを逐一、人知れず殺していた。そして、その新一を追う影があった。それは子供の出産のため教師を辞めた田宮良子(たみやりょうこ、深津絵里)の依頼で密かに新一を尾行・監視していた記者の倉森(くらもり、大森南朋)だった。田宮は人間との共存を考えていたが、新市長となった仲間の広川(ひろかわ、北村一輝)らのグループは新一の抹殺を進めようとしていた。

72点

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 うーむ、さすがに去年の11月の映画の続編となると忘れてしまってテンションが続かない。公開前日にTVで特別版をやっていたものの、TV版は残酷表現の規制もありテンションが異なる。やはり流れの中で一気に見ないと、前編の設定とかが生きてこない気がする。まして5カ月も経っていると、なおさらだ。しかも、たいてい「起」のパートは面白く作れるもので、「結」は難しい。面白さとしては、説明的になってしまう分、前編に劣るもの。本作も、ちゃんとそれぞれのエピソードにオチをつけて見せるのは見事ながら、その罠にはまっている。「ALWAYS三丁目の夕日」(2005・日)シリーズの山崎監督をもってしてもだ。

 とは言いながら感動の物語ではある。彼ら寄生獣が出てきた理由と、人間が他の命を思いやれる心を持っていることは、思いの外、グッとくる。さすがの構成と演出。しかも音もかなり立体的にデザインされていてクリアだし、CGはリアルで作った感がない。さらに山崎監督らしからぬ(?)PG12指定という残酷なバイオレンス表現と、必要ないように思える濡れ場まであって劇場映画的。

 ただ、RED EPICを使っている割には色が浅く、やや青味が強い日本映画によくある色調で、むしろモノトーンに近い感じ。室内になると割と色が濃いが、ロケ部分は特に薄いような。そして、ラストが長い。ラスボスとの対決のあとでカメラは神の視点である俯瞰になり、登場人物たちを見下ろし上がっていく。そのあと、部屋に戻ってこれで終わりかと思うと、そこからもう1つ事件が起きて、新たな展開へ。まるで後日談。それを解決して、もう一度カメラは神の視点になって上に遠ざかっていく。2度やるかなあ。

 ラスボスとの対決には「ターミネーター」(The Terminator・1984・英/米)的な感じと、「遊星からの物体X」(The Thing・1982・米)的な感じもあった。当然のことだろうけれど、雰囲気は山崎監督自身の「ジュブナイル」(2000・日)とか「Returnersリターナー」(2002・日)をハードにしたような感じもあった。

 完結編で良かったのは、連続猟奇殺人犯の浦上を演じた新井浩文。危ない感じが実に不気味で良かった。ロト6&7のCMでもいい味を出している。「アウトレイジビヨンド」(2012・日)でも本作に通じるような危ない男だった。すごいというか。怖いほど。

 そして倉森役の大森南朋もすごかった。最初は普通の感じなのだが、娘が死んでからのキレっぷりが見事。目を見ないで話すあたりが危なさをよく出していた。うまい。「ALWAYS 三丁目の夕日'64」(2011・日)で山崎監督と仕事をしている。ボク的には「殺し屋1」(2001・日)が特に良かった。そのとき浅野忠信、國村隼と共演している。

 原作は岩明均の同名漫画(講談社)。ほぼ同時期にテレビ・アニメ化もされている。累計部数は2014年の時点で1300万部とか。ものすごい数字だ。しかも完作品の結後20年ほど立っているというのだから驚かされる。英語版、フランス語版、イタリア語版など外国版も出ている。

 監督、脚本、VFXの山崎貴。奥さんは映画監督の佐藤嗣麻子。監督になる前、面白かった佐藤嗣麻子監督作品のシリーズ第1作「エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS」(1995・日)と第2作「エコエコアザラク II BIRTH OF THE WIZARD」(1996・日)で特殊効果を担当している。考えてみれば、奥さんも英語と日本語ちゃんぽんのタイトルだなあ。「ALWAYS三丁目の夕日」のようなファンタジーから、「永遠の0」(2013・日)のような戦争物、本作のようなホラー系まで撮るんだからすごい。中には残念な物もあるけど。

 銃器関係はビッグショット。警官のS&Wチーフ系のリボルバー、そして特殊部隊のベネリM3Tショーティ。ただボクなんかはこのショットガンだと実銃よりも東京マルイのポンプ・コッキングのイメージの方が強くて......。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は12〜13分前に開場。観客層はしたは小学生から、中学生、若者層に中高年まで、幅広かった。若い人たちの方がちょっと多めで、メインは若者層。男女比は8対2くらいで圧倒的に男性が多かった。まあ、やっぱり原作漫画のファンということだろうか。

 すぐ入ったのに、すでに明るいままで予告が始まっていた。スクリーンはシネスコで開いていて、四角い枠付きで「ミッション:シンポッシブル ローグ・ネイション」は新予告。まあ、とにかくすごい。危険中毒になったのかトム・クルーズは実際に飛んでいる輸送機のドアの外側に取り付いている。8/7公開。楽しみ。

 枠付きの「ターミネーター:新起動ジェニシス」は同じ予告だが、やっぱり面白そう。ついつい気が惹かれる。7/11公開。

 枠付きの「ラン・オールナイト」は現代アクションなのにリボルバーというのが奇妙な感じだが、大丈夫なんだろうか。まう予告なので、どの場面で使われるのかわからないが。5/16公開。

 左右マスクの「フォーカス」は、予告が進むにつれ、ヤバそうな雰囲気が露わになる感じ。面白いか、ダメ映画か。ウィル・スミスは最近ダメ映画ばかり作っているし、先日ウィキリークスがソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの子会社の流出文書を公開したが、その中に重役が「ウィル・スミスを映画に近づけるな」と言っていたものが含まれていたというから、やっぱり......。5/1公開。

 ほぼ暗くなってからの予告では、枠付きの「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」はものすごいビジュアル。でも、やっぱり3Dか。7/4公開。

 枠付きの「予告犯」はまたまた漫画が原作らしい。内容がよくわからないが、面白そうな感じはする。6/6公開。

 マスクが左右に広がって「進撃の巨人」の新予告。なかなか凄そうな感じ。ナレーションは“綾波”(?)。「隠し砦の三悪人THE LAST PRINCESS」(2008・日)みたいにならなければいいが。前篇8/1公開、後編9/19公開。

 映画泥棒の後、暗くなって本編へ。驚いたのは、遅れて入ってきて、暗いものだからいきなりケータイを点けて照明代わりにして席に着く若いやつ。信じられ。眩しくて周囲の邪魔。


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