2015年5月23日(土)「リピーテッド」

BEFOR I GO TO SLEEP・2014・英/米/仏/スウェーデン・1時間32分

日本語字幕:丸ゴシック体下、加藤リツ子/シネスコ・サイズ(Arri)/ドルビー・デジタル

(英15指定、米R指定)

公式サイト
http://repeated-movie.com
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

クリスティーン(ニコール・キッドマン)が目覚めると、ベッドの隣に知らない男。男(コリン・ファース)は、「自分は君の夫のベンで、君は40歳だが、事故のため記憶障害があって記憶が1日しか持たず、朝起きると20代の頃に戻ってしまう」という。壁にはベンとの写真やメモの書かれた付箋などがあちこちに貼られていて、ベンの言うことを裏付けていた。しかし、ベンが仕事に出かけた後、ナッシュ医師(マーク・ストロング)と名乗る男から電話があり「君の担当医で、毎朝、前日に録画したビデオをチェックするように電話している。このことはベンは知らない」という。たしかにカメラにビデオが録画されており、クリスティーンはナッシュ医師と会うことにする。すると治療の一環として、10年前に倒れていたいう場所へ連れて行かれる。さらにさまざまな写真を見せられる中、クレアという女性(アンヌ=マリー・ダフ)の写真に反応したと知らされる。ベンに話すと、クレアは友人で、事故のあと引っ越したと説明されるが......。

72点

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 ヒッチコック的ミステリー。なかなか良くできていると思うが、ちょっとサンペンス的宙ぶらりん状態(サスペンド)が長すぎてパランスが良くない。中盤くらいである程度の解決を与えるか、別の方向に行ってくれないと、飽きてくる。1つの謎だけで最後までって。

 それに、冒頭の「状態がわからず目覚める」というシチュエーションは、サスペンスやミステリーの定番すぎて、先が読める。登場人物が2人の場合、ミステリーだと、ほとんどはAの人が嘘をついているか、Bの人が嘘をついているかしかない(この場合、ナレーションやどちらが主人公かは関係ない)。見た目通りの展開ということもあるが、これは普通のドラマ、人間ドラマとか絆のドラマとかいう場合。ミステリーではまれに、全員が嘘をついているというパターンもあるが......。

 ヒッチコック的な展開では、最初は全く関係ないような始まりから入ることが多い。これだと展開は読めない。そこが弱かったかも。あとは怪しげな人ばかりで、だれが悪いのかわからないようになっている。ただ主人公は記憶喪失ということでしようがないのだが、それがなん度も繰り返されることで、うっとうしい、面倒くさい女の感じがにじみ出てきてしまっている。かわいそうというより、ヒステリックで、ダメな感じに。ここも失敗では。そしてイギリスの話で、曇っていることが多く、そのイメージのまま暗い物語。

 邦題もどうかなあ。ミスガイドを狙ったのか、これだと、同じ毎日を繰り返す「恋はデジャ・ブ」(Groundhog Day・1993・米)とか、ジェームズ・ベルーシのB級SF「リバース」(Retroactive・1997・米)、SF「ミッション:8ミニッツ」(Sorce Code・2011・米/仏)そして最近だと「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(Edge of Tomorrow・2014・米/豪)なんかを想像させる。だいたいどれも面白かったが、そういう話ではない。ニコラス・ケイジの「NEXT -ネクスト-」(Next・2007・米)と正反対の設定。一晩寝ると記憶を失っている女性の話だ。だから原題は「私が眠りにつく前に」なのだ。いいタイトルなのに。もっというと内容的には「浮気の代償」的話だ。自業自得の部分もある。

 主役のクリスティーンはニコール・キッドマン。いまだにその美しさは失われていないものの、さすがに歳をとったなあという感じ。明るい役は残念な「奥様は魔女」(Bewitched・2005・米)くらいでほとんどない印象。怖いホラー「アザーズ」(The Others・2001・米/西/仏/伊)や、怖いサスペンス「バースデイ・ガール」(Birthday Girl・2001・英/米)、傑作ミュージカル「ムーランルージュ」(Moulin Rouge!・2001・米/豪)、素晴らしいロード・ムービー的西部劇「コールドマウンテン」(Cold Mountain・2003・米/英ほか)など面白い作品に出ていたが、オーストラリア的西部劇「オーストラリア」(Australia・2008・豪/米/英)くらいを最後に、ちょっと振るわない。つい最近出た「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」(Grace of Monaco・2014・仏/米ほか)も残念なものだった。あまり文芸路線的なものばかり選ばないほうがいいような気がするが。

 夫のベンはコリン・ファース。つい最近ニコール・キッドマンと「レイルウェイ運命の旅路」(The Railway Man・2013・豪/英/スイス)で共演している。コミカルな役からシリアスな役まで、なんでも演じられる人。「ブリジット・ジョーンズの日記」(Bridget Jones's Diary・2001・米/英ほか)も良かったし、「英国王のスピーチ」(The King's Speech・2010・英/米/豪)のジョージ6世も良かった。ミュージカル「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・米/英/独)では歌も披露している。最近の「マジック・イン・ムーンライト」(Magic in the Moonlight・2014・米/英)はちょっと残念だった。

 ナッシュ医師はマーク・ストロング。悪役が多い人で、十分怪しい。「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米/独)の悪役が良かったし、コミカル・アクションの「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)でも十分怖かった。最近SFミステリーの「記憶探偵と鍵のかかった少女」(Mindscape・2013・米/西/仏)と、傑作歴史秘話「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(The Imitation Game・2014・英/米)に出ている。

 主要キャストは以上の3人。まるで舞台劇のような構成。あまり外にも出ない。

 原作は英国推理作家協会最優秀新人賞を受賞したSJ・ワトソンの「わたしが眠りにつく前に」(ヴィレッジブックス刊)。なんで「リピーテッド」なんて英語の邦題をつけたんだろう。原作本が翻訳されているならそれでいいではないか。原作のほうが面白そうな気はする。

 監督・脚本はローワン・ジョフィ。2000年から脚本を書いていて、監督は劇場映画は本作で2本目。脚本は続編になる残念な「28週後...」(28 Weeks Later・2007・英/西)を監督のファン・カルロス・フレスナディージョとともに書いている。その後ジョージ・クルーニーのアート系公開クライム・サイペンス「ラスト・ターゲット」(The American・2010・米/英)の脚本を書き、その次の作品は日本劇場未公開。どうなんだろう。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に劇場まで行って前売り券で確保。ムビチケカードが使えないので不便。当日は12〜13分前に開場し、場内へ。ほぼ中高年で最初25人くらいいたうち、女性は1/3くらい。若いカップルが1組ほど。最終的には226席に4.5割くらいの入り。ほとんど宣伝していないからしようがないか。

 気になった予告編は...... 日本映画「おかあさんの木」は第二次世界大戦で息子たちを戦場に送った母の話らしい。「プライベート・ライアン」と違って、日本は兄弟7人全員を戦場に送り、そのたびに1本ずつ木を植えていったと。もう予告だけでボクは辛くて見ていられない。6/6公開。

 3D-CGアニメの「GAMBAガンバと仲間たち」は白組の新作らしい。まったくのティーザーで海と空が映っているだけ。3D上映もあるとか。10/10公開。

 「クーデター」はアジアの某国でクヘーデターが起こって、外国人は全員標的にされる。そこから脱出できるかという物語らしい。オーウェン・ウィルソンとピアース・ブロスナンの顔合わせ。9/5公開。面白そう。

 上下マスクの「レフト・ビハインド」はニコラス・ケイジ主演のミステリーか。ニコラス・ケイジはパイロットで、飛行中に地上で何か大きな事件が起こって、人々が消えてしまうらしい。そして飛行機も他の飛行機と接触し、緊急着陸する事態に。ニコラス・ケイジは今やB級の帝王みたいになっているが、なんだか面白そう。6/27公開。

 上下マスクの「マッドマックス 怒りのデス・ロード」はたぶんちょっと新しい場面が入った新予告。いよいよ凄そう。グロックを使うのか。早く見たい。6/20公開。

 上下マスクの「ハイネケン誘拐の代償」は実話の映画化。有名な経営者とシロートの幼なじみ5人組の犯人。誘拐したはずが逆に操られてしまうらしいが...... 6/13公開。

 上下マスクの「誘拐の掟」はリーアム・ニーソン主演。かつて任務で失敗した刑事が、あらたに依頼されて誘拐犯に挑むらしい。法律なんか関係なく、連続猟奇誘拐殺人犯に挑むようだ。「96時間」風に凄そう。5/30公開。

 スクリーンが左右に広がって本編へ。関係者が7〜8人。多いって。2人くらいで来て、報告書を出せばいいでしょ。とても気になる。


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