2015年6月7日(日)「トゥモローランド」

TOMORROWLAND・2015・米/西・2時間10分

日本語字幕:手書き風書体下、栗原とみ子/ビスタ・サイズ(1.85〜2.20〈上映は枠付き2.20、4K〉、デジタル、Sony CineAlta、Dolby Vision)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、DATASATも。IMAX版はIMAX 6-トラック)

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/tomorrowland.html
(全国の劇場リストもあり。ただし吹替版/IMAX版の表記なし)

1964年ニューヨーク、フラッシング・メドウズで開催された万国博覧会会場で「発明コンテスト」が開催された。フランク・ウォーカー少年(トーマス・ロビンソン)は空を飛ぶための“ジェット・パック”を開発して持ち込むが、ちゃんと飛ばないものはダメだと担当官のデヴィッド・ニックス(ヒュー・ローリー)に落とされるが、その場にいた少女アテナ(ラフィ・キャシディ)は「気に入ったわ」と“Tマークのピン・バッチ”をくれる。そし「イッツ・スモール・ワールド」で会いましょうと。フランクがバッチを付けてアトラクションに向かうと、中のレーザー光線がバッチをとらえ、フランクは超未来社会“トゥモローランド”へワープしてしまう。2014年、NASAの技術者を父に持つ少女ケイシー・ニュートン(ブリット・ロバートソン)は、NASAのロケット発射台の解体作業を邪魔するためクレーンなどを動かなくして補導されるが、釈放された時、返された所持品の中に“Tマークのピン・バッチ”を発見する。そしてバッチに素手で触れると超未来社会“トゥモローランド”へワープするが、バッチのカウントダウン・タイマーが切れ、元の世界に戻ってきてしまう。そこでネットでバッチのことを調べると......。

82点

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 IMDbではわずかに6.8点だが、感動した。ディズニーらしい大冒険、ファンタジー・アドベンチャー。何が起こるかわからない展開。映画らしい、冒険に次ぐ冒険。夢と愛と勇気の物語。ビックリした。そしてほっこりと心が温かくなった。ちょっと古いスタイルで、大甘な話かもしれないが、暴力や汚い言葉や絶望だらけのリアルな映画ばかりじゃなく、たまにはこんな話も見てみたい、そういう作品。そばかすの少女に恋してしまった。

 たしかに選ばれた女の子のキャラは、ヒステリックで、最初カンにさわる。大声でわめいてばかり。テロリストのような行動をとるし。この子を受け入れられるかどうかで評価は変わるかもしれない。ボクはギリギリOKだった。

 とにかく不思議な物語。万博での発明コンクール、少年の応募者などはありがちな設定だが、その後の展開が意外。ほどよいコミカルな構成。ふざけすぎず、シリアスになりすぎず、ちょうどいい。リアルとファンタジーのバランスも。

 微笑みは見せるけれど、笑わない少女。でも淡い恋心を抱いた主人公の少年は「いつか君を笑わせる」と心に誓う。笑わない理由はのちにわかるが、少女の口から語られるところが感動的。少女は少年の気持ちに気づいていたというのだ。そしてあえて最も大切な時に言っておきたいと「あなたは面白くないから」と言って笑う。泣きそうになった。

 4K上映で観たが画質も素晴らしい。高画質だしみずみずしい感じ。音質もクリアで聞き取りやすい。立体感があり、ATMOS劇場ではなかったが、音が天井側にも回っていた。低音はものすごい迫力で、身体が揺れる感じ。爆発音は鋭く、怖いくらい。SFXも美しく、リアルで説得力がある。とんでもない予算がかかっているのだろう。そして昔のハリウッド映画で使われていたような古いスタイルの音楽。

 大人のフランク・ウォーカーを演じたのはジョージ・クルーニー。遅咲きの二枚目スター。2000年代から製作と監督にも取り組んでいる。過去にも子供向けのファンタジーは残念な「スパイキッズ」(Spy Kids・2001・米)など出ているが、アカデミー俳優となってからは久しぶり。最近出ていたのはとても怖かった宇宙パニック映画「ゼロ・グラビティ」(・2013・)。お父さん的いい役だった。すでにそんな年齢。遅咲きだけに人間的にも素晴らしい人のようだ。

 フランクの子供時代を演じたのはトーマス・ロビンソン。とてもかわいらしい子で、主にTVで出ていたが、今後は人気が出そう。

 最初カンに障るヒステリー少女という感じのケイシー・ニュートンはブリット・ロバートソン。どうもアメリカで人気のTV「アンダー・ザ・ドーム」(Under the Dome・2013〜・米)で人気が出たらしい。映画はあまりで邸内。今後増えるか。本作の印象が後半は良いもののいまいちで、美人なんだが惜しい感じ。

 逆に役柄も大変よく、印象がいいのがアテナ役のラフィ・キャシディ。そばかす美少女だが、ミステリアスな魅力がある。ジョニー・デップの吸血鬼コメディ「ダーク・シャドウ」(Dark Shadows・2012・米/豪)のエヴァ・グリーン演じるアンジェリークの若き日を演じていた。また「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)でも若き日の白雪姫を演じていた。今後の活躍に期待したい。

 脚本はデイモン・リンデロフとブラッド・バードの2人。デイモン・リンデロフは人気TV「LOST」(Lost・2004-2010・米)とシリーズの企画と製作総指揮・脚本を務めた人で、映画では「カウボーイ&エイリアン」(Cowboys & Aliens・2011・米)やエイリアン最終作「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)、「ワールド・ウォーZ」(World War Z・2013・米/マルタ)、「スタートレック イントゥ・ダークネス」(Star Trek Into Darkness・2013・米)などを書いている。もはやベテランという感じ。

 ブラッド・バードは本作の監督もやっていて、実写の「ニューヨーク東8番街の奇跡」(*batteries not included・1987・米)の脚本や、アニメの感動ロボット・アニメ「アイアン・ジャイアント」(The Iron Giant・1999・塀)、ちょっと残念な「Mr.インクレディブル」(The Incredibles・2004・米)、「レミーのおいしいレストラン」(Ratatouille・2007・米)の監督、トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(Mission: Impossible - Ghost Protocol・2011・米ほか)の監督もやっている。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。どうも同じ時間にスタートする作品が多かったからのようだ。子供の活躍するディズニーのファンタジー作品だが、観客層はほぼ中高年。20人中5〜6人が女性で、若い女性が2人。最終的には、若い男生徒若い女性も少し増えたが、287席に5割くらいの入り。もっと入ってもいい作品だと思うが……。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は……四角の枠付きの「ビッグゲーム」はテロでアメリカ大統領がエアフォースワンから山中に脱出、それを山中にいた少年ハンターが助けるという漫画のような設定。しかし「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・英/米)にも通じるところがあるような。はたして? 8/15公開。

 左右マスクの「グラスホッパー」はほぼ文字だけの予告。原作120万部突破の伊坂幸太郎の小説、監督は「脳男」(2013・日)の瀧本智行、主演・生田斗真。内容不明。11/7公開。

 3D-CGアニメの「リトルプリンス」は「星の王子さま」のその後の物語らしい。面白そうかも。11月公開。

 暗くなって、四角の枠付きで本編へ。ただ、寸前に4K上映と出た。


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