2015年7月4日(土)「チャイルド44 森に消えた子供たち」

CHILD 44・2015・米/英/チェコ/ルーマニア・2時間17分

日本語字幕:丸ゴシック体下、太田直子/シネスコ・サイズ(レンズ、Hawk Scope)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://child44.gaga.ne.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1933年、ソ連のウクライナでホロモドールの虐殺により2,500万人が亡くなり、多数の孤児が生まれることになった。その1人の少年はあるとき孤児院を抜け出し、軍隊に紛れ込む。そこである兵士に拾われ、レオという名前をもらう。1945年、第二次世界大戦でソ連軍はドイツのベルリンを陥落させ、赤旗を立てる写真を撮ろうとするが、赤旗を持っていた男が、戦死者からはぎ取った腕時計をたくさん巻いていたことから、近くにいたレオ(トム・ハーディ)が代わりに赤旗を立て、それが新聞に載りヒーローとなる。1953年、レオはモスクワで国家保安省(MGB)の将校となり、一目ぼれした女性ライーサ(ノオミ・ラパス)と結婚。そして上官のクズミン少佐(ヴァンサン・カッセル)の命令により、反逆者の容疑が掛けられたブロツキー(ジェイソン・クラーク)を追うことになる。そして農家で発見し逮捕するが、部下のワシーリー(ジョエル・キナマン)がかくまった農家の夫婦を勝手に見せしめのため銃殺し、2人の少女が孤児となってしまう。そんなとき、戦争でも一緒に戦いMGBで共に働く親友のアレクセイ(ファレス・ファレス)の幼い息子が、鉄道の路線近くで惨殺体で発見される。全裸で、内臓が抜かれており、明らかに他殺だったが、クズミン少佐はスターリンの言葉どおり「共産主義の楽園に殺人はない」のだから、事故死として処理するように命じる。

76点

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 IMDbでは6.4点の低評価。しかしなかなか凄い物語。良くできている。

 ただ、確かにミステリーよりソ連時代の共産主義の恐ろしさの方が勝ってしまっている。その中で生き抜くための理不尽と困難、それがビシビシと伝わってくる。まるで地獄のような状況。たとえ取り締まる側にいたとしても、いつひっくり返るかわからない社会って、なんだか革命が起きた国の危うさをそのまま反映しているわけで、ソ連に限らずどこでも起こりうると。それが強烈に迫ってくる。そのため、せっかくの少年連続誘拐猟奇殺人事件がかすんでしまった感はある。

 それでも、最悪の状況でもあきらめず、真実を追い求める主人公の姿は感動的だ。そして、自分と同じ身の上にしてしまった少女たちに謝罪し、救おうとする姿も涙を誘う。とはいえ、これが自由社会だったらという感じは残る。このまま暮らしたとしても、いつまた政変や失脚、粛正が起こって状況が変わるかわからない。なんだか近くのどこかの国と同じような…… たからより恐ろしい。

 ミステリーとして評価するか、時代を描いたドラマとして評価するか、それで評価は分かれると思う。残念ながらミステリーとしては、あまり力が入っていない気がする。工場でたくさんの従業員の中から、ひとめで犯人を見つけるとかリアリティがない。犯人を追いつめていく感じも希薄。ミステリーらしい展開になっていない。

 さらに気になるのは、ドラマ部分はちゃんとカメラをフィックスして撮っているのに、アクション・シーンになると突然カメラが手持ち撮りになって動きまくり、シネスコの横長画面では何が写っているのかわからなくなること。ほかは重厚でベテランの撮り方なのに、なぜアクション・シーンだけシロートのようになるのか。これは監督が……。

 レオはトム・ハーディ。注目されたのは「インセプション」(Inception・2010・米/英)あたりからか。「ダークナイトライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)の悪役ベインは強烈だった。続く禁酒法時代を描いた「欲望のバージニア」(Lawless・2012・米)も強烈で、つい最近、超話題作「マッドマックス怒りのデス・ロード」(Mad Max: Fury Road・2015・豪/米)にも出ている。

 レオの妻となるライーサはノオミ・ラパス。この人も強烈な役が多い。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(Man som hatar kvinnor・2009・スウェーデンほか)で世界に知られるようになり、「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」(Sherlock Holmes: A Game of Shadows・2011・米)でハリウッド・デビュー。そしてリドリー・スコット監督作品「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)に主演し、B級作


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 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、前日にムビチケカードで確保。当日は20分前くらいに開場。多くの人が入り口で待っていた。ほぼ中高年で、高齢者が多い感じ。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。女性の方が若め。最終的には183席がほぼすべて埋まった。凄いなあ、驚いた。細長い劇場でスクリーンも小さいのに。

 スクリーンはビスタで開いており、気になった予告編は…… 上下マスクの「ピクセル」は、「パックマン」の開発者といわれる日本人の岩谷徹教授が登場する新予告に。9/12公開。

 上下マスクの「007 スペクター」はアストンマーチンが出てくる新パターン。期待しちゃうけど、どうなんだろう。12/4公開。

 「ブリッジ・オブ・スパイ」は動画はなく、写真のみの構成。スピルバーグ監督とトム・ハンクスに、コーエン兄弟? 2016年公開。

 「シー・オブ・ツリー」はマシュー・マコノヒーと渡辺謙が共演。富士の樹海でのサバイバル映画らしい。監督はガス・ヴァン・サント。2016年公開。

 上下マスク「S最後の警官」は新予告に。銃を使わない主人公で、あれほど語ってたのに、かなり銃が出てくるアクションらしい。でもなあ……。8/29公開。

 まだM・ナイト・シャマランは映画を作るらしい。「ヴィジット」は普通のホラーらしいが、どうなんだろう。10/23公開。

 上下マスクの「キングスマン」は スパイをリクルートする話のようで、マジなのかコメディなのか、よくわからなかった。でも面白そう。有名なスパイはみなイニシャルがJBだそうで、ジャック・バウアー、ジェイソン・ボーン、なかなか007のジェームズ・ボンドが出てこないところが笑わせる。9/11公開。

 上下マスクの「わたしに会うまでの1600キロ」は、なんだか重そうな文学作品といった感じ。ベストセラー小説の映画化らしい。8/28公開。

 上下マスクの「パージ」と「パージ・アナーキー」は12時間だけすべての犯罪が許される世界を描く超B級映画らしい。しかもマイケル・ベイだから期待してはいけないのでは。7/18と8/1公開。

 上下マスクの「踊るアイラブユー」は酷いタイトルだが、ハッピー・ミュージカルだとか。予告の感じでは「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・米/英/独)のままという感じだが……。曲は楽しい。7/10公開。

 マスクのカーテンが左右に広がって本編へ。


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