2015年7月5日(日)「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」

AVENGERS: AGE OF ULTRON・2015・米・2時間21分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEX、Red、Panavision)/ドルビー・デジタル、ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1も、IMAX版はIMAX- 6-Trackまたは12-Track Digital Sound)

(米PG-13指定)(日本語吹替版、3D上映、3D IMAX上映、3D ドルビーATMOS上映、MX4D上映もあり)

公式サイト
http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers.html
(全国の劇場リストもあり)

ヒドラ党のストラッカー(トーマス・クレッチマン)が、ソコヴィアの研究所で盗み出した「ロキの杖」を使い密かに人体実験を行っていることを察知したアベンジャーズは、全員で研究所を襲撃する。そこでストラッカーは人体実験により誕生した双子の特殊能力者、心を読んで操るワンダ(エリザベス・オルセン)と超高速で動くことができるピエトロ(アーロン・テイラー=ジョンソン)を開放し、アベンジャーズを襲わせる。彼らによってアベンジャーズはそれぞれダメージを負うものの、どうにか施設を制圧し、「ロキの杖」を取り戻すことに成功する。NYにもどって、ソー(クリス・ヘムズワース)が「ロキの杖」をアスガルドへ返すまでの3日間という約束で、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)はブルース・バナー(マーク・ラファロ)と協力して「ロキの杖」を調べる。すると内部に人工知能のようなものがあることがわかり、スタークは長年暖めてきた世界の平和を維持する「ウルトロン計画」を進めるためのヒントになると、自分が開発した人工知能ジャービス(声:ポール・ベタニー)と統合しようと試みるが、バナーは反対する。統合はうまくいかなかったが、アベンジャーズの作戦成功祝賀パーティーを開催している日、突如、統合が成功。誕生したウルトロン(声:ジェームズ・スペイダー)は、ネットなどを検索して学習し、平和を維持するためには進化しない人類を消し去り、地球をリセットするほうがよいという結論に達する。そしてジャービスを破壊すると、ネットで機械を操り、自分のボディを組み立てると、アベンジャーズの前に現れ、人類絶滅を宣言、彼らに攻撃を仕掛ける。

75点

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 IMDbで7.9点の高評価。そこまでとは思わなかったが、ハリウッドらしいスケールの大きな大冒険アクション。たぶんこのスケールの大きさはハリウッドでしか描けない。音響も大迫力で、重低音がものすごい。サラウンドも良く回る。しかも出演者が豪華で、オール・スター状態。アメコミ好きにはたまらない主人公だらけの奇跡の顔合わせ、満漢全席、ドリーム・チーム。141分もありながら、ほぼ全編撮影に手間が掛かるアクション・シーン。その上ほぼ全編SFX、3D-CGによる合成シーン。これは途方もない手間とお金がかかった映画。エンド・クレジットのSFXのスタッフの名前の数が尋常じゃなかった。

 それぞれに見せ場があって、メンバー間の恋愛感情や、家族愛、使命感、チームとしての団結、そういったものがちゃんと折り込まれている。さらに、新しい敵、新しいメンバーまで登場するのだからぜいたくな話。

 ただ、シンプルな話のはずなのだが、ちょっと分かりにくい。これは字幕だとニュアンスなどが出せないとか、字数制限で細かく訳せないせいもあるのだろう。どうにも納得できないというか分かりにくい。そして、かなり会話は練られていて(たぶん専門のセリフを考える人がいて)面白くて笑えるらしい。英語がわかる女子たちがゲラゲラ笑っていた。ソーのハンマーが重くて持ち上がらない。メンバーがみな挑戦するも持ち上げられないという下りなどは笑わせるためのものだろう。くやしい。

 考えてみると、どんな一大事でも、神様キャラ、つまり全能のソーが1人いれば十分じゃないの、とは思う。KGBの女スパイ、ナターシャなんか超人的だが普通の人間だし、ホークアイにしてもそう。それにいくら射っても矢が無くならないなんて。が、そういうことを言ってもしようがない。これは各作品のファンが、ドリーム・チームの結成を見て喜ぶ映画なのだ。そして必ずどこかにスタン・リーが出てきて、「アベンジャーズは帰ってくる」と007映画みたいにラストに出す、2〜3年に1回の風物詩みたいな、国民行事的映画なのだ。ただ、ほとんどCGショー、描いた絵のような印象もぬぐえないが。

 もはやだれが主人公ということもない。それぞれの作品のファンが好きなキャラクターを主人公と思えるように構成しているのだろう。悪役キャラとしての憎まれ役ウルトロンの声はジェームズ・スペクター。最初の登場シーンは、まるで人間の悪役の登場のようで、負傷してびっこを引きながら現れるなんて、笑ってしまった。パターンだよなあ。しかもロボット軍団は「ロボコップ」的イメージ。うむむ……。「ぼくの美しい人だから」(White Palace・1990・米)に出ていた色男の雰囲気はすっかりなくなって、頭髪が薄くなった分、貫録が出てきた感じ。変わったなあと。最近見かけていなかったからかも。「リンカーン」(Lincoln・2012・米/印)にも出ていたが、それほど気にならなかった。TVシリーズの「ブラックリスト」(The Blacklist・2013〜・米)を見ていれば違ったか。

 新しいキャラクターの1人、心を操ることができるワンダはエリザベス・オルセン。「レッド・ライト」(Red Lights・2012・西/米)で女子大生、感覚映画のハリウッド・リメイク「オールド・ボーイ」(Oldboy・2013・米)でかなり過激な娘、「GODZILLAゴジラ」(Godzilla・2014・米/日)と「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(Captain America: The Winter Soldier・2014・米)ですでにアーロン・テイラー=ジョンソンとともに出演してた。

 そのピエトロはアーロン・テイラー=ジョンソン。コミカル・アクションの傑作「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)でたよりないオタッキーな高校生のキック・アスを演じていた人。本作は髪を金髪のようにしているので、まったく印象が違う。強烈アクション「野蛮なやつら/SAVAGES」(Savages・2012・米)や、見ていないが文芸作の「アンナ・カレーニナ」(Anna Karenina・2012・英)にも出ている。

 ペッパー・ポッツのグウィネス・パルトローは出てこない。社長業が忙しいという一言のみ。前作で登場した新しいキャラ、ファルコンもほんのちょっと翼なしで、普通人として歩いているだけ。

 スタークが新たに作る人工知能はF.R.I.D.A.Y. というらしいが、これはまさかTVドラマの「宇宙家族ロビンソン」(Lost in Space・1965〜1968・米)のロボットの日本だけの名前のフライデーに関係ないようなあ……。声は女性だったけど。ということは「ヒズ・ガール・フライデー」(His Girl Friday・1940・米)から?

 監督・脚本はジョス・ウェドン。最初の映画版「バッフィ/ザ・バンパイア・キラー」(Buffy the Vampire Slayer・1992・米)の脚本を書いた人。大ヒット3D-CGアニメ「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)の脚本、シリーズ第4作、ジヤン=ピエール・ジュネ版「エイリアン4」(Alien: Resurrection・1997・米)も書いていて、その後TVシリーズの脚本も手がけ、監督もやっている。その後血まみれとんでも映画「キャビン」(The Cabin in the Woods・2011・米)の製作と脚本を手がけ、前作「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)の原案・脚本・監督をやることになる。

 銃は、冒頭のヒドラ(ハイドラ)のソコヴィア研究所の戦闘シーンで、ヒドラ軍がデュシーカ重機関銃、狙撃用のバレット・ライフルも登場する。ウルトロンが初めてアベンジャーズの前に現れるシーンではPPKが出てくる。アフリカのM2ブローニング、ベレッタM92、グロック、マカロフなど。イスラエル版AKのガリル(imfdbではヴェクターとしている)、M4カービンも出ていて、アベンジャーズ・ジェットに搭載されているのはM134ミニガン。

 ウェアーは、もうどこへ行ってもこればかりというアンダーアーマー。

 とにかくデジタル関係のスタッフの数は多い。ほとんど電子紙芝居という感じだもんなあ。そしてスタントマンの数も多い。またロケ地ごとに武器係りがいたようだが、アーマラー・スーパーバイザーはジョン・ベイカー。ヒュー・ジャックマンの「レ・ミゼラブル」(Les Miserables・2012・米/英)や「ビトレイヤー」(Welcome to the Punch・2013・英/米)を手がけている。

 ラストのエンドクレジットで出て行く人もいたが、真ん中くらいに最後の映像があり。「私の出番だ」と青い顔の男が……。そして最後の最後に「アベンジャーズは帰ってくる」と。

 公開2日目の2D初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は12〜13分前に開場。若い人が多く、下は小学生くらいから。上はもちろん中高年。男女比は8 対2くらいで、圧倒的に男性の方が多かった。ま、そういう映画だ。最終的に287席に9.5割くらいの入り。3Dの方はどうだったんだろうか。MX4D上映もあったようだが。ボクは純粋に映画を楽しむなら2Dがいいと思うが。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、気になった予告編は…… 四角の枠付き「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」は新予告に。どうもスーパーマンがパワーにおごって悪役になるような雰囲気。それをバットマンが止めると。2016年3月公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、「アントマン」は新予告。さえない男が仕事をクビになって、離婚されて、最後のチャンスでアントマンになると。9/19公開。

 「スター・ウォーズ フォースの覚醒」は、J.J.エイブラムスのビデオ・メッセージ付き新予告に。やっぱり興奮するなあ。ラスト、ハン・ソロの「チューイ、帰って来たぞ」で締めくくる。たまりません。12/18公開。


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