2015年7月12日(日)「ターミネーター:新起動/ジェニシス」

TERMINATOR:GENISYS・2015・米・2時間06分

日本語字幕:丸ゴシック体下、樋口武志/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEX、Red、in Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビーATMOSも)

(米PG-13指定)(日本語吹替版、3D上映、3D ドルビーATMOS上映、MX4D上映もあり)

公式サイト
http://www.terminator-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

2029年、ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)の活躍により人類対マシン戦争に勝利した人類だったが、崩壊直前にジョン・コナーの母親を抹殺するためマシン軍団は1体のターミネーターT-800をタイムマシンで過去に送り込む。解析の結果、1984年5月12日のロサンゼルスであることがわかり、戦士の一人カイル・リース(ジェイ・コートニー)が片道切符のタイムトラベルに志願する。
1984年5月12日のロサンゼルス、全裸のT-800が現れ、公園にいたパンクから服を奪おうとすると、年老いたもう1体のT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が「待っていたぞ」と現れ、サラ・コナー(エミリア・クラーク)と組んで破壊してしまう。さらに別な場所にカイルが現れると、警察官に擬態したT-1000(イ・ビョンホン)が現れ、抹殺をはかる。そして、そこにもサラと年老いたT-800が現れ、カイルを救出する。隠れ家にもどると組み立て中のタイムマシンがあり、破壊したT-800のチップを組み込んで完成させ、審判の日を止めるため1997年に行こうとするが、カイルは未来が変わって違う時間軸ができたため、2017年の10月のサンフランシスコへ行くように指示する。ただ、T-800は負傷して内骨格が大幅に露出していたためタイムマシンに入れず、2017年に待ち合わせすることになる。

75点

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 面白かった。誰もが知っている物語の、新しい大冒険続編。3D上映はどうかと思うが、SFX満載で見どころもたっぷり。それは「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(Avengers: Age of Ultron・2015・米)に匹敵するレベル。驚くような仕掛けがあちこちにある。第1作が意表をつく骸骨型ロボット。第2作が液体金属ロボット。そして本作がそれを超えるロボット、と。ただ、ジェームズ・キャメロンのコンセプトとは違う一部のロボットは「スターシップ・トゥルーパーズ」(Starship Troopers・1997・米)の昆虫宇宙生物のようだったが……。

 しかも、ジェームズ・キャメロンが手がけたリスペクトされる第1作と第2作をしっかりと取り込んでいるところも素晴らしい。特に第1作はターミネーターとカイル・リースの到着シーンが、完全に再現されている。炎の中からターミネーターが歩いて出てくるところもあるし。

 第1作はターミネーターとサラ・コナーの戦いの話。第2作はターミネーターとジョン・コナーの親子愛の物語。そして本作はターミネーターとサラの親子を超えた愛の物語、そんな見方もできる。ちょっと感動した。

 ただし、物語としては、やっぱり「ターミネーター」だから、未来からやってきた殺人マシーンのターミネーターと人類の戦いで、同じ話にならざるを得ないらしい。かろうじてシリーズ第4作が未来世界での戦いを描いていて、ストーリー展開としてはユニークでボクは好きだが、IMDbで6.7点と今一つの評価。本作は7.1点ながら、ストーリーとしては、スカイネットを潰したから今度はジェニシスって、それもネットというかOSみたいなソフトで、おんなじ。キリがない。タイムマシンがあれば何回でもやれ直せるわけで、もうネバー・エンディング・ストーリーか。

 T-800はアーノルド・シュワルツェネッガー。なるほどロボットでも内骨格を包んでいる生体部分は歳を取ると(ジェームズ・キャメロンのアイディァらしい)。ただロボットがタイムマシンに入れないのは電子レンジにアルミ箔を入れるようなものなら、逆にアルミ箔は肉などで包めば電子レンジOKなのか? いまさらだけど第1作から気になっていたもので。劇中T-800はサラの呼び方でおじさんと字幕に出るが、役名はGuardian、守護神となっている。原語が気になったが、良く聞き取れなかった。ホブスとかボブスとか言っていたような感じだったが……。シュワルツェネッガーは完全に映画界に復帰したが、すでに「ラストスタンド」(The Last Stand・2013・米)から主演はしていた。ほかにシルヴェスター・スタローンの作品に顔を出して、「サボタージュ」(Sabotage・2014・米)でも主演。本作も主演のような雰囲気だ。ショットガンはレミントンのオートマチックM1100。1973年、ビッグ・ベア湖でまだ少女のサラを助けるとき肩に担いでいるのはカール・グスタフ無反動砲。「オレのサラを守ってくれ」が泣かす。口癖は「古いがポンコツじゃない」

 サラ・コナーはエミリア・クラーク。イギリス生まれの女優さんで、初代のリンダ・ハミルトンのようなワイルドさはないが、どこか上品さがある感じ。見ていないがTVの「ゲーム・オブ・スローンズ」(Game of Thrones・2011〜・米/英)に出ている人らしい。冒頭、カイル・リースを救出するシーンでデザート・イーグルを使っている。その後P226E2(スライド右側にE2のロゴが見える)、FNハイパワー、MP5 PDW、レミントンM870ショットガンなどを使う。トラックに乗せているのはバレット・ライフル。これだけがT-800を倒せる。

 カイル・リースはジェイ・コートニー。トム・クルーズのアクション「アウトロー」(Jack Reacher・2012・米)や「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(A Good Day to Die Hard・2012・米)に出ていた人。T-800と一緒にマグプルのPMAGにローダーを使わず、手で弾を詰めている。使っていた銃は、未来世界ではAKのタクティカル・カスタム、過去へ行ってから4インチのリボルバー(S&WのM15だったらしい)、グロック、P226E2、マグプル仕様のC-MORE付きM4カービンなど。

 ジョン・コナーはジェイソン・クラーク。つい最近「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(Dawn of the Planet of the Apes・2014・米)で主演していた人。どちらかといえば主人公というより、名脇役、もしくは悪役というイメージだなあ。最新作は「チャイルド44 森に消えた子供たち」(Child 44・2014・英/米ほか)。

 オブライエン刑事はJ.K.シモンズ。たぶんこの役は1、2、3と続いて出ていたアール・ボーエン演じる精神科医のドクター・シルバーマンに相当する役なのだろう。最初に遭遇して信じられず、また再開して驚くという。見た目もスキンヘッドで似ている。J.K.シモンズは、TVの「クローザー」(The Closer・2005〜2012・米)や「LAW & ORDER ロー&オーダー」(Law & Order・1990〜2010・米)のイメージが強いが、映画では前シリーズのサム・ライミ版「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)でいい加減な新聞社の社長を演じていた。「セッション」(Whiplash・2014・米)でアカデミー賞助演男優賞を手にした。そのおかげか、新作が目白押し。

  警察署の武器庫にはステンMk Vがあったような気がした。

 ちなみに、スカイネットの擬人化としてプロジェクターでCGの少年が現れるが、これは「バイオハザード」(Resident Evil・2002・英/独ほか)のレッド・クィーンと同じじゃないか。

 ミリタリー・アドバイザーはジョン・D・ディーバー。TVの「HEROES/ヒーローズ」(Heroes・2006〜2010・米)や「パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット」(Person of Interest・2011〜・米)など、アクションに凝ったもの。映画では最近になって「GODZILLA ゴジラ」(Godzilla・2014・米/日)や「アメリカン・スナイパー」(American Sniper・2014・米)などの話題作に関わっている。それが評価されたらしく新作も目白押し。

 ウェポン・マスターはハリー・ルー。アーマラーもティモシー・ルーとブライアン・ルーで、ファミリー・ビジネスなのだろう。ハリー・ルーは1990年代から活躍している人で、過去には伝説の撃ち合いがあるマイケル・マンの「ヒート」(Heat・1995・米)やシュワルツェネッガーのアクション活劇「イレイザー」(Eraser・1996・米)などを手がけている。比較的最近だと「パブリック・エネミーズ」(Public Enemies・2009・米/日)や「インセプション」(Inception・2010・米/英)、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(Mission: Impossible - Ghost Protocol・2011・米ほか)や「ダークナイトライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)などを手がけている。

 脚本は製作総指揮も兼ねるレータ・カログリディスとパトリック・ルシエの2人。レータ・カログリディス。レータ・カログリディスは「アバター」(Avatar・2009・米/英)の製作総指揮も務め、ロシアンSFファンタジーの「ナイト・ウォッチ/NOCHNOY DOZOR」(Nochnoy dozor・2004・露)や、ダーク・ミステリー「シャッター アイランド」(Shutter Island・2010・米)などを書いている。

 パトリック・ルシエは監督や編集もやる人。新解釈のヴァンパイア映画「ドラキュリア」(Dracula 2000・2000・米)の原案と監督を務めている。本作の前はニコラス・ケイジのB級アクション「ドライブ・アングリー3D」(Drive Angry・2010・米)を監督・脚本・編集。

 監督はアラン・テイラー。TVドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」(Homicide: Life on the Street・1993〜1999・米)シリーズなど監督し、「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」(The Sopranos・1999〜2007・米)シリーズではエミー賞の最優秀監督賞を受賞しているという。その後「MAD MEN マッドメン」(Mad Men・2007〜2015・米)シリーズでもエミー賞にノミネートされ、話題の「ゲーム・オブ・スローンズ」(Game of Thrones・2011〜・米/英)シリーズも手がけている。それらが高く評価されて映画「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(Thor: The Dark World・2013・米)を監督。たしかにSFXはすごかったが……。

 公開2日目の2D上映、初回は8時10分からとモーニング・ショー並なのでバスして2回目、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。当日は11〜12分前に開場。下は小学生くらいから、上は中高年まで幅広く、男女比は半々くらい。若い人が多いような印象。最終的には287席ほぼすべて埋まった。さすが人気シリーズ。

 スクリーンはシネスコで開いていて、ケータイの電源は切りましょうとやっているとき多くの人がケータイをいじっていて、まったく見ていない。たぶん声で言っても聞いていないだろう。もはや入り口で「ケータイの電源を切ってください」と言うとか、没収しないと無理だろう。

 気になった予告編は……四角い枠付きの「日本のいちばん長い日」は新予告に。なかなか面白そう。リメイクではあるものの、「突入せよ!「あさま山荘」事件」(2002・日)の原田眞人監督なら良いものになるのではないだろうか。8/8公開。

 枠付きの「バットマンvsスーパーマン」はベン・アフレックのバットマンか。マスクが分厚い金属っぽいものというのも変な感じだが、ものすごくダークな雰囲気だと思ったら監督がザック・スナイダーだった。はたして……。2016年3月公開。公式サイトうまく表示されなかった。

 枠付きの「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」は新予告に。だんだんわかってきた。面白そう。最後のミッション? 8/7公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、映画泥棒から本編へ。


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