2015年8月16日(日)「ジュラシック・ワールド」

JURASSIC WORLD・2015・米・2時間05分(IMDbでは124分)

日本語字幕:手書き風書体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(シネスコのマスクで上映、IMDbでは2.00:1、デジタルとフィルム、Super 35、Arri ALEXA、with Panavision)/ ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビー・サラウンド7.1も)

(米PG-13指定)(3D上映、4D上映、日本語吹き替え版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.jurassicworld.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

本物の生きている恐竜を見せるコスタリカのテーマ・パーク「ジュラシック・パーク」は経営権がジョン・ハモンドからインド人実業家のマスラニ(イルファン・カーン)に譲渡され、新たに遺伝子操作された新しい恐竜もくわえて「ジュラシック・ワールド」としてオープンし、連日2万人以上が訪れる大人気ぶり。ある日、運営責任者のクレア(ブライス・ダラス・ハワード)の甥の2人、ザック(ニック・ロビンソン)とグレイ(タイ・シンプキンス)がワールドを訪れるが、クレアは忙しくて相手をしていられない。新たに遺伝子操作でウー博士(B・D・ウォン)によって作られた最強の恐竜インドミナス・レックスが大きすぎ塀を乗り越えるかもしれないので、公開に先立って動物行動学の専門家のオーウェン(クリス・プラット)にチェックしてもらえと言う社長命令が下ったのだ。オーウェンが囲いに向かうと、どこにも熱源の反応がなく、壁にはよじ登ったような爪の跡がついていた。

72点

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 やはり続編はパターンということになるのだろうか。まあ失敗できないので保険ということもあるだろうし、期待を裏切れないということもあるからなあ。なので、ほぼ見たことがあるパターンの積み重ね。新しい展開は特になし。ただ遺伝子操作で生まれた新しい恐竜が出てくるというだけで、それとて、恐竜を良く知らない人には新種だろうが、定番のものだろうがわからないし。

 またしても恐竜の「胚」を盗み出そうとするし、何年経とうが警備や安全管理のシステムには大きな穴があるし、恐竜に勝てるという変な自信を持った警備係がいるし、特殊部隊も投入されるがてんで弱いし、ただ生物に詳しい学者肌の男ただ1人が危機感を持っていて、活躍して解決するし。そして若者はいつものようにバカだ。言うことは聞かないし、ずっとケータイを見てるし、立ち入り禁止ゾーンには進んで入っていく。登場人物たちは何も学んでいない。パターンの繰り返し。だから特に教訓もないし、感動もしない。ケータイは都合の良いところでつながったりつながらなかったり。

 反面、視覚効果と音響効果は素晴らしい。もの凄いレベル。実物大のリアルな着ぐるみのようなものがあって、それを撮ったとしか思えないような説得力。CGの合成とは。動きも自然で、全く違和感がない。ラストにたくさんのスタッフのリストが出るが、やはり技術を持った人をたくさん導入した人海戦術的な手数の掛け方のたまものだろうか。圧倒的で、そこには感動に近いものがある。見せ物的で、職人技を見せる映画かあ。

 女性運営責任者のクレアはブライス・ダラス・ハワード。あのM・ナイト・シャマランのミステリー「ヴィレッジ」(The Village・2004・米)で主演していた美女。作品がもっとよければブレイクしていたかも。その後「ターミネーター4」(Terminator Salvation・2009・米/独/英/伊)にも出ていたが、最後に見たのは、上映途中で東日本大震災のため途中で打ち切りとなったイーストウッドの「ヒアアフター」(Hereafter・2010・米)だったろうか。久々に本作で返り咲いた感じ。

 ヒーロー的な動物行動学の専門家オーウェン・グレイディはクリス・プラット。ちょっとハリウッドの型にはまりすぎている「型破りな」ヒーローで、凶暴なラプトルたちを手で「待て」と制するあたりは滑稽でさえあった。犬か。本当にできることなのかもしれないが、説得力がなかった。「マネーボール」(Moneyball・2011・米)などにも出ているが、いちばん印象に残ったのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(Guardians of the Galaxy・2014・米/英)だろう。こょっとコミカルな感じがぴったりはまっていた。

 インド人実業家のマスラニはイルファン・カーン。「スラムドッグ$ミリオネア」(Slumdog Millionaire・2008・英/米)や「アメイジング・スパイダーマン」(The Amazing Spider-Man・2012・米)、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」(Life of Pi・2012・米/台/英)では成人した主人公を演じていた人。

 インジェン社の警備担当らしい、悪役の元軍人ホスキンスはヴィンセント・ドノフリオ。「メン・イン・ブラック」(Men in Black・1997・米)のバグような滑稽な役から、「セル」(The Cell・2000・米/独)のようなサイコ的な恐ろしい役まで、何でもこなせる人。つい最近「ラン・オールナイト」(Run All Night・2015・米)に刑事役で出ていた。

 脚本はリック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、デレク・コノリー、そして監督でもあるコリン・トレヴォローの4人。リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァーは原案も兼ねている。

 リック・ジャッファはホラーの「レリック」(The Relic・1997・米/独ほか)、リメイク版の「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(Rise of the Planet of the Apes・2011・米)と「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(Dawn of the Planet of the Apes・2014・米)を書いている人。

 アマンダ・シルヴァーはスリラーの「ゆりかごを揺らす手」(The Hand That Rocks the Cradle・1992・米)の脚本を書いて、リック・ジャッファが製作総指揮を手がけた関係でその後、一緒に仕事をしているらしい。ほぼ同じ作品を手がけている。

 デレク・コノリーは、コリン・トレヴォローが監督を務めた日本劇場未公開のインディペンデント映画「彼女はパートタイムトラベラー(未)」(Safety Not Guaranteed・2012・米)の脚本で、サンダンス映画祭脚本賞、インディペンデント・スピリット賞新人脚本賞受賞などを受賞した人。劇場映画としては本作が2本目になるらしい。

 脚本も手がけ・監督もしたコリン・トレヴォローは、劇場映画は「彼女はパートタイムトラベラー(未)」がデビュー作で、本作が2本目。本作のアメリカにおけるヒットで新作の「スター・ウォーズ」の監督も務めることになるらしい。うーん、どうなんだろう。

 銃は、スナイパー・ライフルのような捕獲用の麻酔銃に、ヘリに装着して撃つミニガンM134、S&Wの.500マグナムM500の4インチ、クリス・プラットはスコープを装着したマーリンのシルバーのレバー・アクション・ライフル、インジェン社の特殊部隊がM14のEBR、M16A2かA3かA4。しまいにはAT4対戦車ミサイルランチャーまで登場する。

 車は、ジープからトラックまで、すべてメルセデス・ベンツだったようだ。

 公開12日目の2D上映の2回目(それでも10:40スタートという人気ぶり)、新宿の劇場は全席指定で、土曜の夜にムビチケで確保。当日は15分前くらいの開場。観客層は、下は小学生低学年からいたが、日本のレイティングはGながら残酷シーンもあって多少気になるところ。メインはほぼ中高年。外人さんもちらほら。上映ぎりぎりになって若い人もちょっと増えた。男女比は6対4くらいで男性が多かった。最終的に301席がほぼ満席。

 スクリーンはシネスコで開いており、気になった予告編は…… 原作・伊坂幸太郎の左右マスク「グラスホッパー」は新予告に。逃げる男、生田斗真を、自殺屋の浅野忠信、殺し屋の山田涼介が追うようだが、やはり豪華キャストで群像劇のような印象。はたしてどんな映画になるのか。11/7公開。

 四角の枠付き「テッド2」も新予告に。どうも日本語吹き替え版の方に力を入れているようで、内容は前作のようには行かないのかも。8/28公開。

 映写機のマスクが、左右の他にやや上下にも狭まって、ちいさな四角の枠付きで本編へ。IMDbでは2.00:1の縦横比率。70mm的な扱いか。高価だがIMAX版はいいかも。


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