2015年8月30日(日)「テッド2」

TED 2・2015・米・1時間55分

日本語字幕翻訳:手書き風書体下、種市譲二/日本語字幕監修:町山智浩/シネスコ・サイズ(in Panavision、IMDbではデジタル、Sony)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米R指定、日R15+指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://ted-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アメリカでは何でもアリ。ぬいぐるみのデッド(声:セス・マクファーレン)は同僚のレジ係の美女タミ・リン(ジェシカ・バース)と結婚する。1年後、ふたりは家計も苦しく喧嘩してばかり。そこで同僚のアドバイスに従い、子供を持つことにする。テッドは子作りができないため、「雷兄弟」の親友ジョン(マーク・ウォールバーグ)とともに精子ドナーを探すが、結局タミ・リンが妊娠できないことが発覚。養子をとることに変更。ところが、バックグラウンド・チェックでテッドは税金も払っておらず、人間ではなく、単なる所有物だと判断され、基本的人権が認められなくなる。そしてレジ係りまでもクビとなってしまう。デッドは裁判で戦うことを決心するのだが……。

71点

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 うーむ、酷い。お下劣、悪ふざけ、いじめ、違法薬物、下ネタ満載。この映画を見て何か得るところがあるかというと、たぶん全くない。まあ、娯楽映画はそれで良いとしても、むしろ見たことによるマイナス効果の方が多いような気がする。毒気にやられて、気分が悪くなる。ほとんどやってることは犯罪じゃないか。それを笑いでごまかそうとしている。実際はいじめなのに、ふざけて笑っていただけだという言い訳に似ている。しかもたいして面白くなく、笑えない。だから気分が悪くなる。

 最初に「アメリカでは何でもアリ」と宣言してスタート。だからぬいぐるみに魂が宿るし、ぬいぐるみが結婚もできると。映画なんだから、全く問題なし。そういうルールなんだねと見ることができる。ただ、こんな内容でどうなんだろう。前作が大きく評価されて、監督に大きな裁量権が与えられてタガが外れた。そういうよくあるパターンのような気がする。特に脚本も書いている人は。大ヒット作のあとの続編、もしくは第2作がとても大事。成功しているのはごくわずかの監督というかクリエーターで、たとえばジェームズ・キャメロンくらいだろう。この監督の場合、監督第2作がコメディ西部劇で低評価(それでもIMDbでは6.1点)。間を置かずに作ったヒット作の第2弾で第3作は当然の結果と。でもIMDbでは6.6点と割と高評価のようで、このように感じているのはボクだけかも。

 デッドの声は歯止めが効かなくなったセス・マクファーレン。製作・監督・脚本も担当している。もう誰にも止められない。役者・声優としての活躍がいちばん多く、次いで脚本で、劇場長編監督作品は第1作「テッド」(Ted・2012・米)が初めてで、本作で3本目。残念なことになったらしいコメディ西部劇「荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜」(A Million Ways to Die in the West・2014・米)が手綱が外れた2本目。絵に描いたような流れか。「荒野は……」にアマンダ・セイフライド、リーアム・ニーソンも出ている。

 前作からのマーク・ウォールバーグは、「トランスフォーマー/ロストエイジ」(Transformers: Age of Extinction・2014・米/中)とどっこどっこいか。この人はアクションの方が光る気がする。「ローン・サバイバー」(Lone Survivor・2013・米)は良かったなあ。

 前作から引き続き、悪党役はシリアスな「ハード・ラッシュ」(Contraband・2012・米/英/仏)でもマーク・ウォールバーグと共演しているジョヴァンニ・リビシ。テッドと結婚するおつむの弱い美女タミ・リンは前作で注目されたジェシカ・バース。

 新たな恋人役となる女性弁護士のサマンサは「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・米/英/独)のアマンダ・セイフライド。有能な弁護士には唯一まともな役のモーガン・フリーマン。「LUCY/ルーシー」(Lucy・2014・仏)は残念だったが。

 公開2日目の字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にポイントで確保。この日もアニメの新作の影響で、劇場は大混雑。だいたい10分前くらいに開場。本作の観客は若い人が多い。たぶん2/3くらい。中高年は珍しく1/3ほど。男女比は4対6くらいで女性の方が多い感じ。下ネタ満載なのに、かわいいぬいぐるみをオブラートのように使えばOKなのか。最終的には580席の8割くらいが埋まったのは驚き。そんなに評判が良いのか。これからの伸び方次第か。ボクには伸びるように思えない。

 スクリーンはシネスコで開いており、予告の前に、明るいまま流れたアリシア・キーズの「リーバイスのCM」が、クォリティが高くて驚いた。絵もきれいだし、映画のように作り込まれているし、カッコいい。ヘタな映画はかなわない。

 気になった予告編は…… 四角の枠付きの「カリフォルニア・ダウン」は上映が延期になったいわく付きの作品。「地震や津波のシーンがあります」という注書きが出てからの上映。娘を救おうとする父親ドゥエイン・ジョンソンの話らしい。9/12公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、暗くなって本編へ。


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