2015年9月12日(土)「カリフォルニア・ダウン」

SAN ANDREAS・2015・米/豪/加・1時間54分

日本語字幕翻訳:手書き風書体下、杉田朋子/シネスコ・サイズ(by Panavision、デジタル、Arri ALEXA)/ドルビー・デジタル(IMDbではDATASAT、ドルビーAtmosも)

(米PG-13指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/californiadown/
(全国の劇場リストもあり)

ロサンゼルス消防局救難ヘリ・チームのチーフ、レイ・ゲインズ(ドウェイン・ジョンソン)のもとに、妻のエマ(カーラ・グギーノ)から離婚届の用紙が送られてくる。彼女は新しい恋人の、大手建築会社社長ダニエル(ヨアン・グリフィズ)と暮らし始めており、娘のブレイク(アレクサンドラ・ダダリオ)も一緒だった。そんなとき、ネバダ州で大地震が発生、レイはただちに出動準備を始めるが、まもなくカリフォルニア州でも巨大地震が発生、ちょうどエマと電話で話していたレイはすぐにエマ救出に向かう。どうにかエマを救出した直後に、巻き込まれて取り残されたブレイクからも助けてと電話が入る。

72点

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 うーむ、これは完全にハリウッド・パターンのパニック映画。そしてきっとアメリカ的な、アメリカ人受けするだろう映画。日本人的には、ちょっと違う気がしてしまう。ボクだけかもしれないが。

 市の消防局で救難ヘリ・チームのチーフを職業としていながら、大震災の際に、本来の職務であるレスキューをやらずに、自分の家族だけを助けるというのは(ちょっと街の人々を助けるシーンも入れてあるが)どうなんだろう。しかもいくら緊急事態とは言え、市の所有物であるヘリコプターまでを多くの人のためではなく、自分の家族を助けるためという個人的なものに使ってしまうというのは……。最悪の事態だが、レスキュー隊はこういう時のために訓練をしているのではないのか。もちろん自分の家族を犠牲にしてもいいなんてことにはならないが、ちょっと違うかなと。一応、本部に許可を求めてはいるが、簡単にOK出してるし。そうなるかなあ。困ったいる人たちがたくさんいるのに。自分がそうできるかどうかは別にして書いているけど。

 やたらにお店や、止まっている車からモノを取り出して使ってしまうのも、緊急事態で許可をとる相手がいないのもわかるが、やっぱり抵抗がある。飛んでるヒコーキを、いくら港に向けたからって、空中で乗り捨てって! どこに落ちるかわからないだろう。責任感はないのか。

 特殊効果というかビジュアル・エフェクトは素晴らしい。どうやって撮ったのかわからない。デジタルしか考えられないが、本当に凄い。音響効果も立体的で臨場感がある。当然ながら、ところどころ東北の3.11や阪神・淡路を参考にしたのではないかと思われるシチュエーションも多く見られた。ちょっとビルが崩れすぎの気はしたが。

 あらためて感じたのは、映画は時間の関係で1日の話で、地震と津波の話になっているが、実際の3.11では地震のあと津波が来て、それから火事が発生して、雪まで降ねなど苦難がずっと連続して起こっている。どれだけ辛かったことか。しかも先がどうなるか全くわからないわけだ。ずっと続くように感じられたはずだ。それを耐えた人々。本作の登場人物たちよりずっと凄い体験をしたんだなあと。

 もちろん「大地震」(Earthquake・1974・米)や「タワーリング・インフェルノ」(The Towering Inferno・1974・米)のパニック(ディザスター)映画と似ている部分は多い。それをははるかに進化した技術でリアルに表現している。一方、内容は群像劇ではなく、ほぼ1つの家族の話に凝縮されていて、時代を反映しているのか、その点ではスケール・ダウンしている気がした。「2012」(2012・2009・米)や「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tomorrow・2004・米)とも似ている。

 これは人柄のよさそうなドウェイン・ジョンソンが主演だったから成立したのかもしれない。つい最近「ワイルド・スピードSKY MISSION」(Furious Seven・2014・米/日)に出ていたばかり。「ヘラクレス」(Hercules・2014・米)も悪くなかった。だいたい、この人のスポーツマン的明るさに救われている感じ。つまりキャラがいい。新作が噂も含め8本ほども進行中らしい。その中に「ワイルド・スピード」の続編も。

 妻のエマはカーラ・グギーノ。「スパイキッズ」(Spy Kids・2001・米)や「ナイトミュージアム」(Night at the Museum・2006・米/英)などファンタジー系が多い印象で、最近見たのは「エンジェルウォーズ」(Sucker Punch・2011・米/加)のドクター役か。ゴム・ボートに毛の生えたようなやつで高層ビルの窓に突っ込めるものなんだろうか。

 娘のブレイクはアレクサンドラ・ダダリオ。人気TV「ホワイトカラー」(White Collar・2009〜2014・米)の主人公の失踪する恋人役、映画では「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief・2010・加/米/英)シリーズで主人公が一目ぼれする、戦いの女神アテナのデミゴッド、アナベスを演じていた。

 カリフォルニア工科大学の地震学者ローレンス教授はポール・ジアマッティ。コメディからシリアスまで、何でも演じるバイプレーヤー。最近は「アメイジング・スパイダーマン2」(The Amazing Spider-Man 2・2014・米)で変人のような悪役を演じていた。

 妻の恋人のダニエルはヨアン・グリフィズ。絵に描いたようなダメ男。観客の安直な予想通りに行動し、予想通りのラストを迎える。最近はもっぱらTVにでているようで、最後に見たのは残念なSFファンタジー「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」(4: Rise of the Silver Surfer・2007・米/独/英)あたり。

 ほかにオーストラリア出身の歌姫、カイリー・ミノーグが出ていたようだが、レストランで食事しながらエマに意見しようとしていた女性か? 過去にも傑作ミュージカル「ムーラン・ルージュ」(Moulin Rouge!・2001・米/豪)に緑の妖精役で出ていたらしい。

 脚本はカールトン・キューズ。ライターでプロデューサーで、人気TVドラマ「刑事ナッシュ・ブリッジス」(Nash Bridges・1996〜2001・米)や「LOST」(Lost・2004〜2010・米)の製作総指揮を手がけた人。なるほど。残念ながら脚本を担当したものはあまり知られていない感じ。

 監督はブラッド・ペイトン。「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」(Cats & Dogs: The Revenge of Kitty Galore・2010・米/豪)と「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」(Journey 2: The Mysterious Island・2012・米)を監督した人だ。コメディとSFアドベンチャーの人で、こういうシリアスなものには向いていないのでは。関係ないけどタイトル長いし。「センター……」でドウェイン・ジョンソンと仕事をしている。

 出てきた銃は、ショッピング・モールの駐車場でドウェイン・ジョンソンが突きつけられるのがM1911A1のミリタリー。

 サラウンドはなかなか良く回っていた。

 公開延期の仕切り直しの上映、初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、12〜13分前に開場。観客層中高年というか、高が多め。30人中3〜4人が女性。両親に連れられた小学生くらいの女の子もいた。早朝に東京で地震があったわりには、最終的に左右マスクの「」は232席に4割りくらいの入り。まあまあではないだろうか。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は…… 左右マスクの「テラフォーマーズ」はタイトルからハリウッド作品かと思ったが(しかもWBマークから始まるし)、れっきとした邦画。日本が単独で火星に行くとは思えないが、出演者の名前だけのティーザーだが、期待させる何かがある。2016年GW公開。

 四角い枠付きの「コードネームU.N.C.L.E.アンクル」は新予告に。CIAのソロとロシアのスパイのイリヤが組むと。しかも最初はきわめて仲が悪い感じ。うむむ、ガイ・リッチーか。ただ60年代テイスト満載。そこが興味深い。11/14公開。

 枠付き「PANネバーランド、夢のはじまり」も新予告に。とにかく絵がきれい。ヒュー・ジャックマンがあり得ないほど悪党面。10/31公開。ただ3D上映があるということは……。

 左右マスクの「マイ・インターン」は、普通のドラマでたいして事件も起きなそうで地味な印象だが、なによりロバート・デ・ニーロが出ている。どうしよう。10/10公開。ポイントかなあ。

 映写機のマスクが左右に広がって、本編へ。


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