2015年9月20日(日)「ピクセル」

PIXELS・2015・米/中/加・1時間45分(IMDbでは106分)

日本語字幕翻訳:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA、with Panavision)/ドルビーAtmos、Auro11.1(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、SDDSもあり)

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版、MX4D上映、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.pixel-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1982年、夏。サム・ブレナー少年(アンソニー・イポリット)の街にもゲーム・センターができ、ついに第1回のビデオ・ゲーム世界大会が開催される。ブレナーは決勝まで進むも、「パックマン」チャンピオンのエディ・プラント(ピーター・ディンクレイジ)との「ドンキーコング」対決で破れ2位となる。その模様はNASAのビデオに収められ、ほかの生命体とのコンタクトを期待して打ち上げられた宇宙船に搭載される。そして現在、ブレナー(アダム・サンドラー)は家電店「オタク社」のサービスマン。ただ、友人のウィル・クーパー(ケヴィン・ジェームズ)がアメリカの大統領になったことから、ときどき相談に乗ったりしていた。そんなある日、NASAのビデオを見た宇宙人が、それが宣戦布告と判断し、先手を打って地球を侵略にやって来る。攻撃はすべて当時のビデオ・ゲームで、彼らはそれで対決しようというのだった。全3戦。大統領は全米から各ゲームのチャンピオンを集め、アーケーダーズとして戦いに挑ませる。

70点

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 「天空の蜂」(2015・日)などとは対局にある映画。何も内容なし。ほとんどの会話というかセリフも空疎で意味がない。もちろん見終わっても何も残らない。IMDbでは5.6点の低評価。

 ただ薬にもならない代わり、毒にもならない。下ネタやオタクねたを無責任に笑い飛ばして、80年代のゲーム全盛期のゲームを取り込んだ絵作りの面白さ、きれいさを楽しむ映画。デートなんかにはぴったりかも。

 腹が立つほどではなく、そこそこは楽しめるので、たぶんこういう映画も必要なのだと思う。おつまみというか、間食的な、もっというと暇つぶし的な映画。知っていて見るのならまったく問題なし。腹も立たない。とにかく絵は凄い。音も良い。ただ、本格的なSF映画などを期待して見に行くと、とても失望することにはなるだろう。

 主人公の家電店のお宅軍団って設定は、そのまんま「CHUCK/チャック」(Chuck・2007〜2012・米)ではないか。この設定からして安直。いかんなあ。しかもオリジナルはシーズン1以降、どんどん酷くなって行ったのに。もっと良いやつから頂けよ。

 主演は日本ではほとんど受けないアダム・サンドラー。たぶん最近で日本でも受けたのは「ベッドタイム・ストーリー」(Bedtime Stories・2008・米)が最後だったのでは。「再会の街で」(Reign Over Me・2007・米)も良かったらしいが、アート系での公開で見ていない。1990年代からずっと、まもなく50歳となるのにいまだに同じおバカキャラを演じているというのは、それはそれで凄いことなんだろうけど。本作では製作も担当。

 ヒロインのヴァイオレットはミシェル・モナハン。「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)のヒロインを演じた人。そのひとがまじめにこんなくだらない役をやっているのが不思議な感じ。そこからおかしさを狙ったのか、コメディをやりたかったのか。

 ほかにも、1982年のゲーム世界大会の司会が「ゴーストバスターズ」(Ghost Busters・1984・米)のダン・エイクロイドだったり、特殊部隊の将校が「007/ゴールデンアイ」(GoldenEye・1995・英/米)のショーン・ビーンだったり、海軍提督が「ボーン・アイデンティティ」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)のブライアン・コックスだったりして、ちょっとこの作品にはもったいない感じ。さらに本人役でミュージシャンのダリル・ホール&ジョン・オーツや、テニス選手のセリーナ・ウィリアムズ、カリスマ主婦のマーサ・スチュワートらがでている。しかし、はたして意味はあったのかどうか。まあ全体に意味のない映画ではあるが。

 ひとつ収穫は、しわしわの首のことを「ターキー・ネック」っていうんだなあ。

 銃は、アメリカ軍の軍曹がベレッタM9を撃つ。特殊部隊のシールズも出てくるが、撃つのはSF光線銃。

 原作があるとは驚きだが、NYが8ビットのクリーチャーに襲われるというパトリック・ジーンの2分の短編映画「Pixels(未)」(2010・仏)なんだとか。これが大変評価が高く、こんなことになってしまったらしい。脚本はティム・ハーリヒーとティモシー・ダウリングの2人。ティム・ハーリヒーは原案も担当しており、国防省秘書官役で出演もしているらしい。アダム・サンドラー作品を多く書いていて、最近は製作総指揮のことが多い。「ベッドタイム・ストーリー」も書いているが、最近のものはほとんど日本劇場未公開となっている。ティモシー・ダウリングはTVか日本劇場未公開作品が多く、劇場公開されたものだと、残念なスパイ・アクション・ラブ・コメディ「Black & White/ブラック & ホワイト」(This Means War・2012・米)を書いている。本作にはシールズ役として出ているらしい。しかし、このコンビで良かったのか。

 監督は製作も兼ねるクリス・コロンバス。製作が最も多いが、脚本家としては「グレムリン」(Gremlins・1984・米)や「グーニーズ」(The Goonies・1985・米)を書いていて、監督としては大ヒット・コメディ「ホーム・アローン」(Home Alone・1990・米)や、泣ける感動SF「アンドリューNDR114」(Bicentennial Man・1999・米/独)、大ヒット・シリーズの第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Sorcerer's Stone・2001・英/米)を監督しているが、最近監督したのはちょっと残念なファンタジー「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief・2010・英/加/米)。もっと良い脚本だったらと悔やまれるが、製作もやっているんだからなあ。

 公開9日目の2D字幕版初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。当時のゲームに夢中になった人が多いかと思いきや、若い人が多く、以外に中高年は少ない。この内容を予想していたか。下は小学生くらいから。老若比は4対6くらいで若い人が多い感じ。男女比は7対3くらいで男性が多く、女性はほぼ若い人のみ。最終的には232席に8割くらいの入り。これはビックリ。ただ、今後増えるだろうか。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、CMのあと予告編無しで映写機のマスクが左右に広がって、映画泥棒から暗くなって本編へ。


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