2015年10月17日(土)「アデライン、100年目の恋」

THE AGE OF ADALINE・2015・米・1時間53分(IMDbでは112分)

日本語字幕翻訳:丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA)/ドルビーATOMS、Auro11.1、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルも)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://adaline100.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

2014年12月31日、今はジェニファー・ラーソンと名乗っているアデライン・ボウマン(ブレイク・ライヴリー)は、勤務先のサンフランシスコ資料館に出勤する。実はアデラインは1908年1月1日0時1分生まれで、21歳で結婚し娘のフレミングをもうけるが、1937年に夫がなくなり、その年の冬、ソノマ郡に変な雪が降った日、運転していた車がスリップしてガード・レールを突き破り川に転落。無酸素状態となり心臓が止まった8時55分、車に落雷したことにより再び心臓が動き出し一命をとりとめる。しかしその時からアデラインは歳を取らない体になってしまったのだった。やがて見た目で娘の方が年上になり、人々も怪しみだし、交通違反で警察官から免許証の提示を求められ、生年月日がおかしいと書まで出頭するように言われ、ついにはFBIまでもが捜査を始め、アデラインは娘とも別居し名前を変えて一人で暮らすことにしたのだった。そして声を掛けてくる男性とも距離を置いて付き合っていたが、大晦日のその日、声を掛けてきたエリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)は、資料館へ貴重な本の寄贈を申し出ており、誘いを断ることが出来ずデートに応じてしまう。

75点

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 ハリウッドらしいさわやかな後味のラブ・ストーリー。でも底辺にはずっと、悲しさではなく切なさのようなものが流れていて、主人公のアデラインは何度も泣くことになるが、決して暗くはなく、とんでもないトラブルだらけだが、泣いてばかりではなく行動を起こし進んで行くところが良い。普通に描いたらドロドロの愛憎劇になるところ、そうはしないところがさすが。

 印象としては「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)に似ている気がした。奇想天外なストーリーと美しい絵。美男(美女)とナレーション。大人のファンタジーとラブ・ストーリー。

 もちろん主人公は良い人なので、感情移入しやすい。容姿はもちろん、性格もチャーミングで魅力的。ただ逃げなければならない理由があると。このキャラクターを、配役と合わせて、きちんと成立させ説得力を持たせたとこに成功にポイントがあるのでは。でも日本人的にはひげ面の男性がいまひとつピンと来ない。しかも不可抗力とは言え、「親子丼」的なシチュエーションというのも、バレてないけどいかがなものかと。

 でも後味は悪くない。彗星がもどってくると。ファンタジーだなあ。

 アデラインはブレイク・ライヴリー。衝撃的な犯罪ドラマ「ザ・タウン」(The Town・2010・米)に出ていたようだが、ヒロイン役のレベッカ・ホールが光っていてかすんでしまった。その後これまた強烈な犯罪ドラマ「野蛮なやつら SAVEGES」(Savages・2012・米)で主要キャストを演じ、存在感を見せた。芸能一家の末っ子として生まれたそうで、本作はそれらとはまったく違ったソフトな役どころだが、完璧に演じている。

 かつての恋人ウイリアムズに「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(Star Wars: Episode VII - The Force Awakens・2015・米)のハリソン・フォード。その妻キャシーに「ウォルト・ディズニーの約束」(Saving Mr. Banks・2013・英/豪/米)のキャシー・ベイカー。アデラインの娘にフレミングに「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)のエレン・バースティンという豪華な顔合わせ。

 原案・脚本はJ・ミルズ・グッドローとサルヴァドール・パスコヴィッツの2人。J・ミルズ・グッドローは役者でもあり、人気アクション・シリーズ「リーサル・ウェポン3」(Lethal Weapon 3・1992・米)ではリチャード・ドナー監督のアシスタントを務めている。本作の前にラブ・ストーリーの「かけがえのない人」(The Best of Me・2014・米)を書いている。

 サルヴァドール・パスコヴィッツは、本作の前に日本劇場未公開の「Nic & Tristan Go Mega Dega」(2010・米)を書いていて、脚本は本作で2本目。うむむ。

 監督はリー・トランド・クリーガー。本作の前に劇場作品はラブ・ストーリーの「セレステ∞ジェシー」(Celeste & Jesse Forever・2012・米)を撮っている。その成功で本作の依頼が来たらしい。

 字幕にちょっとジャギーが出ていたが、どうしたんだろう。

 公開初日の2回目、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保しておいて、7〜8分前に到着したら、すでに開場済み。観客層は若い人から中高年まで幅広い感じ。割とまんべんなくいる感じ。若い女性が目立っていて、男女比は4.5対5.5くらいでわずかに女性が多かった。最終的には301席に7割くらいの入りだっただろうか。遅れて入ってくるやつが多いのでわかりにくい。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は…… 左右マスクの「99分、世界美食めぐり」はスウェーデンのドキュメインタリー。東京国際映画祭で上映された後、恵比寿ガーデンシネマで公開されるらしい。1/30公開。

 左右マスクの「植物図鑑」は普通のラブ・ストーリーという感じだったがタイトルは面白い。6/4公開。

 左右マスクの「母と暮らせば」は新予告に。吉永小百合と二宮和也以外見どころはあるのか不明。なんだか古い映画のようで、また戦争がテーマかと。12/12公開。

 左右マスクの「グラスホッパー」も新予告に。奈々緒も銃を撃つんだ。11/7公開。

 左右マスクの「サヨナラの代わりに」はALSにより車いすの生活になってしまったピアニストと介助係としてやとわれた女子大生の話らしい。とても感動的な感じだが、これって「最強のふたり」(Intouchables・2011・仏)みたい……。ヒロインがアカデミー賞女優ヒラリー・スワンクで。女子大生が「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・英/米)のエミー・ロッサム。11/7公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、本編へ。


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