2015年12月19日(土)「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」

STAR WARS: THE FORCE AWAKENS・2015・米/トルコ・2時間16分(IMDbでは135分)

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(一部IMAX、in Panavision)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタルも、IMAX版は12トラック)

(米PG-13指定)(IMAX上映、3D上映、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://starwars.disney.co.jp/movie/force/
(全国の劇場リストもあり)

帝国が撃破されておよそ30年。若いジェダイたちを指導していたルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が消えた。その居場所を記したとされる地図はドロイド「BB-8」に託され、レジスタンスの反乱軍のレイア・オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)に届けるように命じられる。一方、帝国に代わって銀河を支配しようとするファースト・オーダーは、すぐにBB-8の後を追う。そんな中、ストームトルーパーのフィン(ジョン・ボイエガ)は残虐なファースト・オーダーのやり方に耐え切れず脱走するも、攻撃を受けて砂漠の惑星に墜落する。同じ頃、砂漠の惑星で必ず迎えが来ると信じて1人で屑鉄拾いをしながら生計を立てているレイ(デイジー・リドリー)は、捕らえられていたBB-8を助けてやる。そして市場でフィンとレイは出会うが、ファースト・オーダーのストームトルーパーたちに見つかり、屑鉄屋のボスの宇宙船ミレニアム・ファルコン号に飛び乗って2人と1台で宇宙へと脱出する。

84点

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 いやあ、すごいなあ。伝説的作品の最新作という、失敗の許されないとんでもないプレッシャーの中、たぶんすべてのファンの期待を裏切らず、原点のテイストを生かして作り上げられた、痛快大冒険活劇。すばらしい! さすが名匠J.J.エイブラムス監督。見事ととしか言いようがない。

 面白いが、ストーリーの構成は、ほぼ最初に作られた「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)と同じ。あとで「エピソード4新たなる希望」と名付けられたが、要するに帝国に代わって台頭してきたファースト・オーダーの新しいデス・スターを破壊する話。そこに第2作の「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(The Empire Strikes Back・1980・米)と第3作「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(Return of the Jedi・1983・米)の要素も盛り込んだと、そんな印象。砂漠の惑星、氷の惑星、緑の惑星…… ああ、懐かしい。ボクにはリメイクに近いような印象だった。

 懐かしいキャラも総出演という感じ。もちろんメインは新しいキャラクターのレイとフィンとカイロ・レンだが、むしろ強く印象に残るのはハン・ソロとチューバッカ、そしてレイア姫ことオーガナ将軍。ちょっとだけだがC-3POもいるし、R2D2もいる。ラストにルークも出るし、魚顔のアクバー提督とか、へんてこなおちょぼ口のパイロット、ニエン・ナンもいる。酒場のエイリアン・バンドも出てくるし、レイの住んでいるところは、壊れたAT-ATだ。たぶん探せばもっといるはず。それに、エンド・クレジットで最初に名前が出てくるのはハン・ソロのハリソン・フォードなのだ。

 展開が速くて、内容が盛りだくさんなので、1回見ただけだと完全に把握することはできない感じ。これは、お金さえあれば、もう1回は見たいところ。ボク的には珍しいことだ。こんなこと、めったにない。

 3D上映で見たが、一部を除いてだいたい立体的な効果があった。一番飛び出ていたのはスター・デストロイヤーを前方斜めから見たカットだろう。パンフォーカスだった。前景がピンボケだったりすると立体感は薄れるが、実際のところそれが多かった。パンフォーカスで撮るのは光量が必要で難しいのだろう。音響の方は良く回っていた。とても立体的。ATMOS対応劇場ならもっと凄いことになるのだろう。

 特殊効果は第1作〜第3作の時代と比べると雲泥の差がある。いまや合成は自然でわからない。溶け込んでいて、実際に撮影したかのようだ。凄すぎ。

 銃はやはり第1作〜第3作を踏襲しているようで、ストーム・トルーパーはスターリングMK Vベースで、ちょっと進化している。でもハン・ソロはモーゼルC96ベースの同じもののように見えた。彼は簡単に愛銃を変えたりしないだろう。レイに渡したブラスターにはモーゼルC96のグリップが使われていた。

 そのハン・ソロはもちろんハリソン・フォード。本作シリーズの第1作でブレイクした人。出ないわけに行かないでしょ。つい最近「アデライン、100年目の恋」(The Age of Adaline・2015・米/加)に出ていたが、感じがまるで違う。もちろんうまい人だが、ボク的にはハン・ソロ役が一番ピッタリしている気がする。現在エピソード8を撮影中とか。

 レイア・オーガナ将軍はキャリー・フィッシャー。ハリソン・フォードもそうだが、さすがに歳を取ったなあと。第1作からは38年も経っている。ボクが最後に見たのは「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(Charlie's Angels: Full Throttle・2003・米)あたりだったか。最近はTVが多い模様。

 最後にちょっとだけ出てくるルーク・スカイウォーカーはマーク・ハミル。なんだかさわやかな青年だったのに、すっかり悪役面になってしまった感じ。やはり最近はTVがほんとんどのようだが、痛快スパイ・アクションの「キングスマン」(Kingsman: The Secret Service・2014・英)に出ていた。

 C-3PO、R2D2、チューバッカなんかは顔が見えないのに、ちゃんとオリジナル・キャストが演じているようだ。監督やプロデューサーのリスペクトということなんだろう。

 レイはデイジー・リドリー。ロンドン生まれのイギリス人女優。主にTVに出ていた人で、2015年はイギリス映画に1本出ているが、ほぼ本作が映画デビュー作に近い。美人でアクションも行ける雰囲気。次作は今撮影中で、期待できそう。本作でずっと持っていて抜かなかった長い剣を使うのだろうか。

 脱走兵のフィンはジョン・ボイエガ。やはりロンドン生まれ。人気TVシリーズ「24 TWENTY FOUR リブ・アナザー・デイ」(24: Live Another Day・2014・米)にも出ていて、TVが多い。

 ダース・ベイダーに憧れるダーク・サイドのフォースの使い手カイロ・レンはアダム・ドライバー。過去のシーンで出てくる時は、まるで時代劇の忍者のよう。最近はほとんど日本劇場未公開だが「J・エドガー」(J. Edgar・2011・米)や「リンカーン」(Lincoln・2012・米/印)にも出ている。

 冒頭、ちょっとだけ出ているのはマックス・フォン・シドー。最近出ていたのは「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(Extremely Loud & Incredibly Close・2011・米)あたり。ボク的にはどうしても「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)や「コンドル」(Three Days of the Condor・1975・米)の印象が強い。

 最高指導者のスノークはたぶんCGで、もとを演じたのはアンディ・サーキス。よくパフォーマーというかCGの元になる演技をやっている。最近だと「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(Dawn of the Planet of the Apes・2014・米)でサルのリーダー、シーザーを演じていた。

 ほかに「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(Mission: Impossible - Rogue Nation・2015・米)のサイモン・ペッグがジャンクの買い取りをやっているアンカー・プラットで、「007スペクター」(Spectre・2015・英/米)のダニエル・クレイグもストームトルーパー役で、クレジット無しで出ているらしい。

 脚本は本作の第2作と第3作を書いているローレンス・カスダンと、監督でもあるJ・J・エイブラムス、そして「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine・2006・米)を書いてアカデミー脚本賞を受賞したマイケル・アーントの3人。なるほどなあという陣容。

 その監督J・J・エイブラムスといえば、プロデューサー業が一番多いが、脚本も書いて監督もする人。TVドラマの「LOST」(Lost・2004-2010・米)や「エイリアス」(Alias・2001-2006・米)を手がけ、映画ではトム・クルーズの「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)を成功させ、「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)ではずっと低迷していたシリーズを完全に復活させてみせた。プロデュースするTVシリーズもだいたいどれもおもしろい。素晴らしい才能。

 公開2日目、時間の関係で、3D字幕版の初回をチョイス。ダメかと思ったらかなり朝が早いので席が取れた。ムビチケコンビニ券は味も素っ気もないチケットで、しかも2D券だったのでオンラインで追加の支払いをして3D券にして座席を確保。当日は15分前くらいに開場。ほとんど中高年で、しかも9割ほどが男。間際になって若い男性や女性も少し増えたが、たぶんコアなファンの若い人たちは、特製パンフレットなどがある特別上映の方を予約したのだろう。小学生くらいの男の子を連れたお母さんもいたが、字幕版で大丈夫なのか。最終的に287席の9割くらいが埋まったのはさすが。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、気になった予告編は…… 四角の枠付き「シン・ゴジラ」は、樋口真嗣監督と庵野秀明監督と尾上克郎監督の3人監督だとか。逃げ惑う人々の映像だけのティーザーだが、ヤバそうな気が……。7/29公開。

 左右マスクの「白鯨との闘い」は新予告に。面白そうだが、なぜシネスコじゃないんだろう。3Dっぽい感じはしたけど。1/16公開。

 四角の枠付き「X-ミッション」はFBIエージェントがエクストリーム・スポーツに潜入するというもので、キアヌ・リーヴスの「ハートブルー」(Point Break・1991・米/日)のリメイクか。同じ原題なのに、予告でまったくそれに触れないのが気にかかる。関係ないのか、言いたくないのか。2/20公開。

 枠付き3D-CGアニメの「ズートピア」は、絵の感じやタイトルの印象とは違って、若い女性の見習い警察官(ウサギ)が、詐欺師の男(キツネ)と組んで事件を解決するというアクション・ミステリーらしい。これは面白そうかも。4/23公開。

 枠付き「シビル・ウォー」は新予告。キャプテン・アメリカとアイアンマンがなぜ戦うことになるのかが何となく匂わされる。スゴイ絵。4/29公開。

 枠付き「ザ・ブリザード」は実話の映画化。小さな船で定員以上の遭難者を救わなければならなくなるらしい。一体どうするんだ? 2/27公開。

 左右マスクの「エージェト・ウルトラ」は、さえない田舎のコンビニ店員が、ある言葉で覚醒して、やり手のスパイになっちゃうアクション・コメディらしい。文字で書くとダメそうだが、予告を見た限りは面白そう。1/23公開。

 3Dメガネを掛けるように指示があってからの枠付き「ザ・ウォーク」は、さすがにCGを駆使しているだけあって立体感はなかなかのもの。ただゼメキスだからなあ……。

 映写機のマスクが左右に広がって暗くなり、映画泥棒のあと、本編へ。ルーカス・フィルム・マークで始まり、ルーカス・フィルム・マークで終わる。


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