2016年1月16日(土)「白鯨との闘い」

IN THE HEART OF THE SEA・2015・米/豪/西/英/加・2時間02分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/ビスタ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA)/ドルビーATMOS、DATASAT新マーク(IMDbではドルビー・デジタル、Auro 11.1も)

(米PG+13指定、豪12指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/hakugeimovie/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1850年、小説家のハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー)が、エセックス号遭難事件の唯一の生き残り、トム・ニカーソン(ブレンダン・グリーン)の話を聞くためやってくる。事件のことで心を痛め、いまもそれを引きずっているトムは酒浸りの日々。妻の説得もあり、どうにか重い口を開くと…… それはオーウェン・チェイス(クリム・ヘムズワース)とジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)の2人の物語だという。チェイスは一等航海士だが、船長に昇格できるというので、身重の妻がいるにもかかわらず、当時の花形だった捕鯨船の仕事を受ける。ところが、エセックス号の船主達は地元の名家の息子のポラードを船長に、チェイスを一等航海士として付けて出港させるという。しぶしぶ承諾したチェイスだったが、そこに新米船員として14歳のニカーソン(トム・ホランド)が乗り込んでくる。経験の浅いポラードの命令で苦労しながら南大西洋で鯨の群れを追うが、すでに乱獲のためほとんど姿を見かけることはできず、たった1頭捕獲したのみ。そこで、スペインの船乗り(ジョルディ・モリャ)から聞いた30mクラスの巨大鯨の話を基に、太平洋側に向かう。

72点

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 これはタイトルに問題ありかなあ。メルビルの小説「白鯨」のヒントとなった実話のエセックス号遭難事件を描いたもの。実際には白鯨はアルビノではなく、傷などで皮膚がはがれ白い部分が多くなった体長30メートルほどの巨大マッコウ・クジラ。その鯨との闘いはごく一部で、メインはそれよりその航海で何が起きたのか。原題に鯨の文字はない。海はすべてを与えてくれ、すべてを奪い去る、まるで神のような存在。それが海の心なのかも。だからラスト、主人公はもり(字幕は「やす」)を打ち込めなくなるのでは。

 いろんなアップを多用し、独特の雰囲気を出している。19世紀の活気にあふれる港などもCGで描き、実にリアル。鯨との闘いは緊張感もあって良いのだが。テンポが一本調子なのか、途中眠くなって気を失いそうに。

 メインは船長と一等航海士とのいさかい、なのだろうが、描き方が中途半端であまり伝わってこない。結局、強烈な部分は「漂流」だ。水が尽き、食料が尽き、どうしたか。1人、また1人と減って行く。陸地は見えず方向も失い、ボートはまったく進まない。その焦燥感ばかりよく伝わってきた。それって白鯨との闘いじゃないじゃん。もともと白鯨は出てこないけど。白っぽいヤツというだけ。

 オーウェン・チェイスはクリム・ヘムズワース。ボクにはあまり作品に恵まれていない気がする。興行的には良かったらしい「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)はボクはまったく好きになれない。だから大ヒット作「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)の同じ役もピンときていない。マイケル・マン監督のアクション「ブラックハット」(Blackhat・2015・米)は良かった気がするが、本作の前にラジー賞にノミネートされた「お!バカんす家族」(Vacation・2015・米)に出ている。

 対立する船長のジョージ・ポラードはベンジャミン・ウォーカー。どこかで見たなあと思ったら、リンカーンがヴァンパイアだったというトんでもホラー「リンカーン/秘密の書」(Abraham Lincoln: Vampire Hunter・2012・米)でリンカーンを演じていた人だった。本作では、微妙な役どころを見事に演じていたと思うが、映画の本数も少なく、作品に恵まれてもいない。今後映画作品が増えそう。

 小説家のハーマン・メルヴィルはベン・ウィショー。エロティックなミステリー「パフューム ある人殺しの物語」(Perfume: The Story of a Murderer・2006・独/仏ほか)で主役を演じた人。似たような雰囲気で「クラウドアトラス」(Cloud Atlas・2012・独/米ほか)で何役もやっていたが、しかし「007スカイフォール」(Skyfall・2012・英/米)シリーズではまったく印象の違うQを演じている。本作もまた違った雰囲気だが、やはりちょっと暗い系か。

 原作はナサニエル・フィルブリックの小説『復讐する海-捕鯨船エセックス号の悲劇』"In the Heart of the Sea: The Tragedy of the Whaleship Essex"(集英社刊)。おいおい、どこにも「白鯨」とか「闘い」なんて出てこないではないか。

 脚本は

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開初日、2D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定でムビチケカードで確保。当日は12〜13分前に開場。観客層は、若い人もいたが、ほぼ中高年の高寄り。女性は2.5割ほど。最終的には301席の6割くらいが埋まった。まあ、こんなものだろう。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、気になった予告編は…… 四角の枠付きの「X-ミッション」は、またぞろ「ノーCG」とか言い出した。確かにCきを使ったスタントは多いが、過去の映画で「ノーCG」と使って良くなかったものが多いのでイメージが良くない。見どころはそこだけなのかと、嫌な予感がしてしまう。2/20公開。

 四角の枠付き「テラフォーマーズ」は、まるで「ブレードランナー」のような映像から始まる予告編。うむむ、嫌な予感。でも原作があって、「週刊ヤングジャンプ」の人気漫画だとか。15人の日本人かあ。4/29公開。

 枠付き「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」は新予告に。かなりスーパーマンが悪そうな感じで、バットマンのマスクはヨロイっぽいが、はたして。3/25公開。

 映写機の左右マスクで本編へ。


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