2016年3月5日(土)「オートマタ」

AUTOMATA・2014・ブルガリア/米/西/加・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、今泉恒子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA)/ドルビー・デジタル

(米R指定)

公式サイト
http://automata-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

2044年、太陽の巨大フレアの影響で地球は砂漠化し、人口は大幅に減少。大気の乱れから人類は技術的な後退を余儀なくされた。そこで、ROC社はピルグリム7000という人型ロボットを開発し、砂漠化防止の工事や、一般労働、家事など多方面に渡って投入した。そしてロボットには安全性を確保するため、2つのプロトコルが設定されていた。「生命体への危害禁止」と「自分を修理・改造することの禁止」だ。ところが、パトロール中の刑事ウォレス(ディラン・マクダーモット)が、自分を改造しているピルグリムを発見し、その場で射殺する。ROC社保険部の調査員ジャック・ヴォーカン(アントニオ・バンデラス)は、上司からこの問題を調査して解決するように命じられ、射殺されたロボットに建築現場で使われているピルグリムのパーツが組み込まれていたことを突き止め、建設現場に向かうと、その溶接工ロボットは自らにオイルを掛けて焼身自殺してしまう。

74点

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 たぶんSF好きにはたまらない映画。いかにもSFらしい作りと雰囲気。重要なポイントとなるロボットのピルグリム7000がよくできている。そして、やはり名作「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香/英)のような世界観。ちょっと荒廃した雰囲気と、和洋折衷のような町並み、あふれる町中の広告、雨……などなど。ある意味、ピルグリム7000はレプリカントに置き換えることができるかもしれない。さらには、ロボット映画「チャッピー」(Chappie・2015・米/メ/南ア)のようでもあるし、「オブリビオン」(Oblivion・2013・米)の要素もある気がする。

 たぶん低予算なのではないかという気はする。メインの舞台は荒野だ。そして、ベースの話(原作?)はSFショート・ショートのような印象。なんだか、B級SFの典型的なパターン。1つのネタで一気に最後まで見せる。テーマは、よくある「人工知能が知性も持ったら」という感じ。ここでは人間を危険視はしないが、子孫を残そうとしているように思える。

 うまいのは、ピルグリム7000が魅力的で、機械というより、1つの人格のように見えてくること。悪党に銃で撃たれるシーンでは。血が吹き出るわけでもないのに、残酷でかわいそうに思え、撃つ男に敵意を抱いてしまう。どんな乱暴な言葉にも丁寧に応答し、人間を守ろうとする。実にけなげ。最近、映像公開されたBoston Dynamicsのヒューマノイド型ロボットAtlasの妨害実験に、かわいそうという声が寄せられたということからも、人間は人型ロボットに感情移入してしまう傾向があるようだ。特に娼婦型のクリオが表情もないのに魅力的。でも、ロボット三原則じゃなくて、オートマタ2プロトコルか。

 解像度は低くないのに、絵は彩度が低く、なんだかカラー・フィルムをウォッショ・アウトしたみたいに、モノトーンな感じ。アリフレックスのデジタル・カメラALEXAを使っているようだから、カメラのせいではないとすると、あえて狙った絵か。でもなあ……。どうなんだろう。

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ポイントでオンライン予約した。久々の前売り券の無い作品でどうしようかと思ったが、ポイントが使えたので見ることに。当日は10分前くらいに開場。観客層はほぼ中高年というかオヤジばかり。

 のちに女性と若い人も来たが、それぞれ5〜6人と3〜4人くらい。最終的には157席に3.5割くらいの入り。やっぱり前売り券がないとダメなんじゃないかなあ。そんなに悪くない作品なのに。それでいて、関係者が5〜6人も来るなんてどうかしている。

 スクリーンはシネスコで開いており、気になった予告編は…… 四角の枠付き「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」は、生きる目的を失った億万長者が、人生を終わらせる代理店に申し込むが、その直後に素敵な女性と出あい……というお話らしい。オランダ映画というのも興味が湧くが、なかなか面白そう。5/28公開。

 枠付きの「秘密 THE TOP SECRET」は「るろうに剣心」(2012・日)シリーズの大友啓史監督の新作。死者の記憶をのぞいて事件を解決して行くというミステリーらしい。面白そう。生田斗真, 岡田将生、栗山千明、松坂桃李らの顔合わせ。面白そう。8/6公開。

 枠付き「フィフス・ウェイブ」は、これまでと同じ予告ながら、やはり作りがうまいので、実に面白そうで興味を引く。4/23公開。

 左右マスクの「あやしい彼女」は、韓国映画のリメイクらしく、ちょっと面白そうだが、コテコテな邦画コメディ的雰囲気もあり、どうなんだろう。見た目二十歳、中身73歳かあ。多部未華子はきれいなんだけど。4/1公開。

 あとは見た予告ばかりで……。暗くなって、映画泥棒のあと本編へ。


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