2016年3月6日(日)「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

THE BIG SHORT・2015・米・2時間10分

日本語字幕:手描き風書体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(フィルムとデジタル、Super 35、with Pabavision、Arri ALEXA)/ドルビー・デジタル(IMDbではDATASATも)

(米R指定)

公式サイト
http://www.moneyshort.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1970年代後半に住宅ローンを証券化するMBS(サブプライム・ローン)が考え出され、低所得者にも家が買えるようになり、住宅バブルへと発展する。2005年、金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、低所得者がサブプライム・ローンを払えなくなり、破綻すると予測するが、誰も信じてくれない。同じ頃、銀行に不信感を募らせていたモルガン・スタンレー傘下のヘッジファンド・マネージャーのマーク・バウム(カティーブ・カレル)は、ドイツ銀行のジャレッド・ベネット(ライアン・ゴスリング)がMBSを空売りしたいという申し出を受け、会社に呼んで説明を聞く。すると、サブプライム・ローンは破綻しCDOは価値がゼロになるという持論を展開。マークは裏付けを取るため調査を開始する。

74点

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 実話の映画化。詐欺のような行為がまかり通る金融業界で、いかにしてリーマン・ショックが起き、それを早くから予見して、損をせずもうけた男たちがいたかを描いた映画。ウォール・ストリート、金融業界の話だから、MBSだ、格付けだ、空売りだ、デフォルトだ、CDOだ、CDSだと、わからない用語が飛び交う。まったくチンプンカンプン。

 そこで、わざとそういうことを知らないだろうような、ストーリーとは関係のないシェフとか入浴中の女性とかにわかりやすく説明させているのだが、それが余計に分かりにくい。たぶん頭の良い人がよくやる、分かりにくいたとえ話。ボクら凡人にはちっともわからない。多くの観客は置き去りのまま。きっと脚本家も監督も頭の良い人たちなのだろう。

 IMDbでは7.9点の高評価。投票した人たちも頭の良い人たちなのだろう。わかったのは、金融業界には嘘や欺瞞があふれていて、この大事件でそれらが一掃されるはずが、悪人は刑務所に入らず、名前を変えて同じものが売られているということ。邦題のサブ・タイトルはだいぶ映画の内容とは違う。カタルシスなんてどこにもない。主人公達が語るように、我々が勝つということは、これによって職を失い、家を失う人がたくさんいる、ということだ。だから、バルブで浮かれていた人たちのビフォー・アフターはほとんどない。もうけた主人公達のその後が、字幕でさらりと語られるだけ。大逆転を描いた映画ではない。腐ったシステムで事件は起こり、今もシステムは腐ったままだと、そういう映画。広告などで使っている「4人のアウトローがいた」ではなく、スポットの当てられる人物はもっと数が多い。少なくとも、ガレージからスタートしたヘッジファンド2人もいる。しかも、アウトロー(無法者)じゃないし。アウトローは銀行やこういう商品をつくり出しあおった男たちの方だ。映画の宣伝もウォール・ストリート並か?

 しかもシネスコでカメラ動かしまくり。良くわからない上に目も回る。一部画質の良くないところはフィルムか。それにしても、ライアン・ゴスリングのメイクには驚かされる。まつたくの別人みたい。そしてコメディアンのスティーブ・カレルは「フォックスキャッチャー」(Foxcatcher・2014・米)の時のように怖い。

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで座席を確保。当日は17〜18分前に開場。広いプレミアム・シートの後ろにしたら人が来ないかと思ったら、人が来て、しかも座高の高い男で、背もたれから頭が完全に出るくらいで、スクリーンの下辺に掛かる。字幕が読みにくい。なんて運が悪いんだ。左右1席どちらかにずれればちゃんと見えたのに。TCXという東宝の大きなスクリーンということだったが、あまりそれは感じなかった。

 観客層は若い人から中高年まで、割と幅広い。アカデミー賞の影響だろうか。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。最終的に499席に6割くらいの入り。プレミアム席には6人。今後増えるだろうか。ちょっと疑問。

 気になった予告編は…… 四角の枠付き「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」は、キャストのビデオ・メッセージ付き予告。とにかく絵がスゴイ。7月公開。

 左右マスクの「ジャングル・ブック」は、映像無しで、実写版で8月公開と。公式サイトはまだない模様。

 枠付きの「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」はJ.K.ローリンズの原作で、主演がエディ・レッドメイン。鞄に魔法動物を入れていて、数匹が逃げ出したという導入。どうなんだろう。11/23公開。

 枠付き「マネー・モンスター」は、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの顔合わせらしい。映像無しなので、どんな内容かも不明。公式サイトもまだない模様。6/10公開?

 枠付き「追憶の森」は日本の富士山の樹海が舞台。マシュー・マコノヒーと渡辺謙共演。監督はガス・ヴァン・サントで、ナオミ・ワッツも出ている。これはすごそう。4/29公開。

 アカデミー賞で注目の、枠付き「ルーム」は、文芸作品的なものかと思ったら、なんとミステリー的で、なんだかファンター的なものも。母と幼い娘が小さな小屋に閉じこめられていて、そこから脱出すると。なんだか凄そうな映画。4/8公開。


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