2016年3月12日(土)「インサイダーズ/内部者たち」

INSIDE MEN・2015・韓・2時間10分(拡張版は180分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、小寺由香/ビスタ・サイズ(デジタル、Red)/音声表記無し(サラウンド)

(韓18指定、日R15+指定)

公式サイト
http://inside-men.com
(全国の劇場リストもあり)

小さなヤクザ組織のボス、アン・サング(イ・ビョンホン)は、新聞社の主幹で政界を裏から操るイ・ガンヒ(ペク・ユンシク)に雇われ、さまざまな悪事に手を染めていた。そんなある日、サングは大財閥のミライ自動車のオ会長(キム・ホンファ)から大統領候補のチャン・ピル議員(イ・ギョンヨン)へ3,000億ウォンの裏金が渡されていた証拠を手に入れ、ガンヒに渡す。ところが、オ会長の腹心の部下にそれがバレ、拷問の末、右腕を切り落とされてしまう。実はガンヒとオ会長、チャン議員は裏でつながっていたのだ。サングは復讐を誓う。一方、検事局の若手検事ウ・ジャンフン(チョ・スンウ)は、裏金事件を捜査していたが、証拠をサングに奪われたため、捜査を打ち切られてしまう。コネも後ろ盾もないジャンフンは左遷され、サングを追うが……。

80点

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 てっきり証券会社などの金融機関系の話か、大企業の不正の内部告発者の話かと思ったら、そうではなかった。悪徳な政治家と企業、マスコミ、暴力団の癒着、そして内部抗争を描いたものだった。

 しかも、銃は出てこないが、素手と刃物による暴力満載。血まみれだ。金ノコで切るなんて…… 銃より数倍は怖い。エロもすごいがHというより、強制的な暴力的なもの。こういう映画に、ハリウッド映画にも出ている大スターの二枚目俳優、イ・ビョンホンが出るというのがまたスゴイ。

 暴力団は自分が経営する芸能事務所のアイドルを政治家にあてがったりして、機嫌を取る。韓国の実際の事件報道で見かけた、ナッツ・リターン事件のような経営者の横暴とか、芸能界の事件とか、実業界のドタバタなんかのようなものも描かれていて、なんだか実話の映画化のように思えてくる。大げさな気もするが、充分あり得る話でもあるような気もする。

 主演のイ・ビョンホンは、つい最近ハリウッド映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(Terminator Genisys・2015・米)にT-1000役で出ていたばかり。振り返ってみれば、ボクが見た中では「甘い人生」(Dalkomhan insaeng・2005・韓)や「悪魔を見た」(Ang-ma-reul bo-at-da・2010・韓)など、壮絶な映画に出ているし、悪役も結構多い。チャレンジ精神なんだろうか。スゴイ人だ。

 若手検事ウ・ジャンフンはチョ・スンウ。ボクは見た記憶がない。アクション系にはあまり出ていないのかも。新聞社の主幹イ・ガンヒはペク・ユンシク。このことはよく見る気がする。こんな怖い人だったんだ。

 チャン・ピル議員はイ・ギョンヨン、この人も韓国映画でよく見る。ボクが見たのはスパイ・アクションの「ベルリンファイル」(Bereullin・2013・韓)だったか。日本映画「外事警察 その男に騙されるな」(2012・日)にも出ている。

 原作はユン・テホの漫画らしい。この人の作品は過去にも「黒く濁る村」(Moss・2010・韓)が映画化されている。かなり恐ろしい映画だったと思う。

 監督・脚本はウ・ミンホ。これまで「破壊された男(未)」(Pa-gwi-dwin Sa-na-i・2010・韓)や「スパイな奴ら(未)」(Spy・2012・韓)を監督・脚本しているが、いずれも日本劇場未公開。これだけのものが撮れる人なのに、なぜだろう。徐々に腕を上げてきて、ついにということか。今後も期待できそう。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は中高年の、それもオバさんがメイン。ということは、「韓流ファン」の方々か? コアなファンの人たちは、できが良くても悪くても大受けするのでほかの観客が引いてしまう。今回も、残酷なシーンの中にちょっと滑稽なシーンがあって、大笑いしていた。いやいや、この残酷な状況の中、笑えないでしょ。しかもオバサンは始まる直前までぺちゃくちゃとうるさい。

 最終的には、若い人は数人で、男女比は3.5対6.5くらいで女性の方が多く、122席ほぼ満席の入り。韓国との関係が冷え込んでいるので、このキャパでもこの入りはさすが。

 気になった予告編は…… 左右マスクの「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」はキャストのビデオ・メッセージ付き。確かに母船はでかい。どうなんだろう。7/9公開。

 「ゴーストバスターズ」は古い映画のクリップと写真での予告。今回はメンバー全員が女性だと。ほお、面白そう。公式サイトはまだない模様。8/19公開。

 左右マスクの「高台家の人々」(クッキーをONにしないと見られない)は、また漫画原作らしい。最近多いなあ。ヴァンパイア・セレブ・コメディらしい。6/4公開。

 枠付きの「見えない目撃者」はアイドル映画かと思ったら、予告を見る限り、かなりの本格的なミステリーらしい。ノー・チェックだった。劇場にもよるなあと思ったら、TOHOシネマズ新宿でもやるではないの。ファンで混むのかなあ。ヒロインもめちゃ美人。4/1公開。

 左右マスクの「スポットライト 世紀のスクープ」はアカデミー賞受賞で注目の作品。実話の映画化で、教会による幼児への性的虐待事件を描いたものらしい。4/15公開。

 左右マスクの「更年奇な彼女」は、タイトルからしても韓国映画。なんでも「彼女」シリーズ3部作(!)の最後、完結編になるらしい。前2部作とは、クァク・ジェヨン監督の「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)、「僕の彼女はサイボーグ」(2008・日)。「僕の彼女を紹介します」(Windstruck・2004・韓)とかは関係ないのか。同じ監督だけど。チョン・ジヒョン、良かったけどなあ。無理やり3部作にしてんじゃないの? とにかく面白い作品を作る監督なので、注目ではあるけど、脚本を書いていないし、製作国が韓国ではなく中国だからなあ……。4/8公開。

 暗くなって、左右マスクで本編へ。


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