2016年4月2日(土)「見えない目撃者」

THE WITNESS 我是証人・2015・中・1時間52分

日本語字幕:縁付き丸ゴシック体下、伊東武司/シネスコ・サイズ(camera360)/ドルビー・デジタル

(レイティング不明、日本はG)

公式サイト
http://gaga.ne.jp/mokugekisha/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

大学をドロップアウトし、音楽活動に熱中する弟のリャン・ツォン(リウ・ルイリン)を、警察官候補生の姉ルー・シャオシン(ヤン・ミー)は強制的に連れ戻そうとして交通事故を起こし、ツォンを死なせてしまい、自らも視力を失ってしまう。3年後、雨の深夜、タクシーで帰宅途中、事故に巻き込まれる。シャオシンはタクシーが人をはねたと直感するが、運転手(チュー・ヤーウェン)は犬だと言ってごまかす。そこにほかの車が通りがかったため、タクシーは逃げてしまう。シャオシンが警察で証言すると、同じ時刻に女子大生が行方不明になっていることが判明。賞金付きで目撃情報を募ると、近くでローラースケートをやっていた若者のリン・チョン(ルハン)が出頭し、タクシーではなく2010年型のゴルフ6だったと証言する。そんな時、シャオシンのもとに不明の相手から無言電話がかかってくる。タクシーに手帳を忘れていたのだ。そしてチョンは何者かに襲われる。

74点

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 なかなか面白い。中国映画とは思えないような過激な展開。人々の暮らしぶりとかも、普通の都会という感じ。中国じゃないみたい。この映画だけで言えば、共産圏らしからぬ上流階級の話。主人公の伯父さんのものといことになっているが別荘があって、とても立派。主人公にしても、全盲となって仕事もしていないのに、小奇麗なマンションに住んで、小奇麗な服装で悠々と盲導犬と暮らしている。映画の狙いなのか、映画は「物語」ということなのか、中国へ行ったことはないが、リアリティがない気がする。

 そして、手法というか演出か、どこか古くさい感じも。ケータイを使っていたり、アイドルやインラインスケートを取り込んだりしているのに……。1つには中国伝統の音声アフレコというのもあるようだ。声の人がうますぎて、アニメのアフレコ的な部分もあり、生さがない。声のイメージが合わない部分もある。そして、絵に描いたようなベテラン刑事のキャラクター。オヤジで、つまらない冗談(オヤジ・ギャグ)を言ったりしてダメな感じを出しつつ、実は出来る人で、人情派みたいなコテコテのパターン。

 そして、どこかで聞いたような話。盲目の目撃者。古くはオードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」(Wait Until Dark・1967・米)もそういうサスペンスだった。調べてみれば、韓国映画「ブラインド(未)」(Blibd・2011・韓)の中国リメイクだという。ただ日本劇場未公開で、2014年7月開催の<夏のホラー秘宝まつり>で上映されたのみだとか。<夏のホラー秘宝まつり>は行っていないけど、見たような記憶があるんだけどなあ……。

 美しいヒロイン、ルー・シャオシンはヤン・ミー。ボクは初めて見たが、公式サイトによると4歳で子役デビューし、日本のファッション雑誌でもモデルをやっていたらしい。驚いたことに香港の俳優と結婚して、1児のママでもあるらしい。

 リン・チョンはルハン。中国生まれで、韓国留学中にスカウトされてアイドル・グループと1インとしてデビューしたらしい。現在も歌手をやっているらしいが、マット・デイモン主演、チャン・イーモウ監督の「長城」に出ているんだとか。

 刑事がハイパワーっぽい銃を持っていたが、中国撮影なのでノリンコのNP38とかNP42あたりだろうか。

 監督はオリジナル韓国版「ブラインド(未)」の監督・脚本のアン・サンフン。最近は韓国映画がパッとしない感じなので、ほとんど見ていない。本作の前に脚本を書いた「リターン・トゥ・ベース」(R2B・2012・韓)だが、これも限定公開だった感じ。うーむ。

 脚本はオリジナル韓国版「ブラインド(未)」の脚本を手がけたチェ・ミンスク。ほかに本作が初めての脚本らしいアンディ・ユンとグ・シャオバイ。監督のアン・サンフンも書いているが、多すぎないのか。よくまとまったなあ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで金曜に確保。当日は12〜13分前に開場。最初、観客が4人(オバサン1人)なのに、関係者らしい一団が7〜8人も。多いって。最終的には122席に20人くらいの入り。韓流ファンのオバさんたちもいなかった。まあ中国映画だけど。で、アイドル・ファンもいないようで、ほとんど中高年男性。オバサンが3〜4人。若い女性が1人といったところ。中国映画は人気なしか。

 気になった予告編は…… ほとんど古い見慣れた予告ばかりで…… 後半になって、左右マスクの「更年奇的な彼女」は日本語吹替の新予告。「彼女シリーズ」って、強引だなあ。確かに監督は「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)と「ボクの彼女はサイボーグ」(2008・日)の監督なので、期待は出来そうだが…… どうだろう。4/8公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、フル・スクリーンなって本編へ。


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