2016年5月1日(日)「ズートピア」

ZOOTOPIA・2016・米・1時間49分(IMDbでは108分)

日本語字幕:手書き風書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、SDDS、DATASAT)

(米PG指定)(日本吹替版、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html
(全国の劇場リストもあり)

田舎の子だくさんの農家の家庭に生まれながら、幼いころから警察官になることを夢見ていたウサギのジュディ・ホップス(声:ジニファー・グッドウィン)は、警察学校に入学すると、体力的に落ちこぼれそうになりながらも、持ち前の諦めない心で頑張り主席で卒業する。そしてウサギの警察官第1号として、ズートピアの第1分署シティ・センターへ配属される。ところが、警察官はクマやゾウ、カバ、水牛など大きくて力のある動物ばかり。任務は駐車違反の切符を切ることだった。そしてそこで、ケチな詐欺を働いている憎み切れない小悪党のキツネ、ニック・ワイルド(声:ジェイソン・ベイトマン)と知りあう。そんなある日、ジュディは駐車禁止の現場をほったらかしにして、海賊版DVDを売っていたイタチを追跡、逮捕し、リトル・ローデシア街を大混乱にしてしまう。署長のボゴ(声:イドリス・エルバ)はジュディをクビにしようとするが、そこにカワウソのオッタートン夫人(声:オクタヴィア・スペンサー)が夫が失踪したと訴えてくる。ジュディは、ほかの警察官たちが14匹もの連続失踪事件にかかりきりだから自分が担当すると申し出て、ボゴ署長から48時間で解決できなければクビにすると言われる。ジュディは唯一の手がかりとなるカワウソの夫写真にニックが写っていたことから、税金をごまかしていることをネタに協力を要請、捜査を開始する。

87点

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 さすがディズニー映画。良く練られたストーリーで、ファンタジーで、成長の物語で、偏見の物語で、ミステリーで、ポリス・アクション。見終わった後、とても明るい気持ちになる。前向きな気持ちになって、なんだかハッピーな気分。得した感じ。休日に見るには最適の映画だろう。終わってすぐ、あちこちで「面白かったね」という声が。同感! キャラクターもみんなかわいい。魅力的。

 各キャラクターも厚みがあり、それぞれに良いところもあれば、悪いところもある。子供の頃のいじめっ子が、大人になって、とても素直になっていて、あの時はオレがどうしようもないヤツで馬鹿なことを言ってすまなかったとちゃんと謝るとか、憎い設定。一方、主人公のウサギのジュディは完全に前向きで、正義感にあふれ、問題なんてなさそうに見えるが、実は偏見を持っていたというころが、また面白い。それに気付くところが素晴らしいのだ。劇中歌でも歌っているように「私は諦めない。やり直すだけ。トライしよう。いろんなミスを繰り返すだろう。でもすべてにトライしよう」ということなのだ。たぶんこれがこの映画のメッセージかと。アメリカっぽいなあ。

 そして、かなり笑える。楽しい。動物達のヌーディスト・クラブって。みんなわざとらしい大股開きの大胆ポーズ。そしてカメラ・アングル。これは笑える。またシャキーラが声をやっているガゼルの色っぽいこと。ラストにはコンサートまであるんだから、驚く。カッコいい。そして、詐欺師のニックが言う笑い話、「3つこぶラクダのことをなんて呼ぶ? 妊娠だよ」。マフィアのボスMr.ビッグは、まるで「ゴッドファーザー」(The Godfather・1972・米)の、マーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネそっくり。これまた小悪党のイタチのキャラは「アイス・エイジ」(Ice Age・2002・米)のシドみたいで海賊版の怪しいDVD売ってるし、陸運局のニックのダチが、ナマケマノのフラッシュで長スロー・ペースというのも面白かった。

 ウサギのジュディ・ホップスの声はジニファー・グッドウィン。ジュリア・ロバーツが教師を演じた「モナリザ・スマイル」(Mona Lisa Smile・2003・米)や「そんな彼なら捨てちゃえば?」(He's Just Not That Into You・2009・米/独/蘭)に出ているらしい。最近はTVが多かったらしい。声がかわいらしく、それでいてしっかりした感じもするので、主人公のイメージにピッタリ。

 キツネのニック・ワイルドの声はジェイソン・ベイトマン。ラッセル・クロウの「消されたヘッドライン」(State of Play・2009・米/英/仏)や、ウィル・スミスの残念な「ハンコック」(Hancock・2008・米)などに出ている。また「寝取られ男のラブ♂バカンス」(Forgetting Sarah Marshall・2008・米)にもでていて、最近はそれ系が多く、いずれも日本劇場未公開。しかし、やはり声は、ちょっとヒネているが実は良いヤツという感じが良く出ていた。

 ライオンハート市長の声は「セッション」(Whiplash・2014・米)でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズ。セクシーな歌手のガゼルの声は歌姫シャキーラ。ラストのコンサートもカッコいい。もちろん「Try Everything」を歌うのもシャキーラ。

 ストーリーは7人もクレジットされているが、脚本は共同監督のジャレッド・ブッシュとフィル・ジョンソンの2人。ジャレッド・ブッシュはTVのドラマやアニメの脚本をメインにやっていた人。映画は本作が始めてのよう。

 フィル・ジョンソンはプロデューサーでもあって、TVや短編を手がけていて、劇場長編は「シュガー・ラッシュ」(Wreck-It Ralph・2012・米)の脚本が最初のよう。それが評価されて本作へ。

 監督も2人。バイロン・ハワードとリッチ・ムーア。バイロン・ハワードは「ボルト」(Bolt・2008・)や「塔の上のラプンツェル」(Tangled・2010・米)の監督を務めた人。リッチ・ムーアは「ザ・シンプソンズ」(The Simpsons・1990〜1993・米)などのTVを手がけた人で、劇場作品は「シュガー・ラッシュ」が初監督。

 製作総指揮にはジョン・ラセター。たしかディズニーの重役になったのでは。

 公開9日目の字幕通常版、初回、なんと5/1は映画の日で誰でも1,100円というのを忘れていた。ムビチケで座席を確保しようとしたら、新宿の劇場は金曜の時点でほぼすべて埋まっていた。ギリギリ滑り込んで確保。当日はもちろんスゴイ人でごった返していた。安ければ人は来るんだよなあ…… ボク的には迷惑だけど。10分前くらいに開場。観客層は若い人がメインで、老は少ない。ほとんど若〜中という感じ。男女比は最初は4対6くらだったが、最終的に女性が増えて3対7くらいに。まあ男社会で奮闘する若い女性の話だからなあ。ディズニーだし。

 気になった予告編は…… アニメ作品だからか、アニメの予告がほとんど。7/16公開の「ポケモン」、8/6公開の「ルドルフとイッパイアッテナ」、8/11公開のハリウッド作品「ペット」、7/16公開の話題作「ファインディング・ドリー」などなど。しかも、ハリウッド作品もすべて日本語吹き替え。ただ観客層は大人ばかりなので、どうなんだろう。ディズニーの場合はアニメ好きというより、作品が好きで見に来ているという感じだが。あきらかにアニメ好きの客層とは違っているが……。

 ラストにこれも左右マスクで実写版の「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」は新予告に。ちょっとキモイけど、面白そう。7/1公開。

 映写機のマスクが左右に広がって、本編へ。


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