2016年5月28日(土)「スノーホワイト/氷の王国」

THE HUNTSMAN: WINTER'S WAR・2016・米・1時間54分

日本語字幕:手書き風書体下、古田由紀子/シネスコ・サイズ(表記なし。IMDbではデジタル、Arri ALEXA)/ドルビー・デジタル(IMDbではDATASAT、ドルビー・サラウンド7.1も)

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)
公式サイト
http://snow-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

前作「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)よりも前の話。邪悪なラヴェンナ女王(シャーリーズ・セロン)は黄金の鏡を手に入れ、無敵の力を手に入れる。そんなラヴェンナには妹、フレイア女王(エミリー・ブラント)がいた。しかしフレイアは婚約者のいる男と恋に落ち、身ごもり出産。そこで駆け落ちの約束をするが、その夜に男が赤ちゃんを殺してしまったことから、半狂乱となって飛び出し、北で自分の王国を作った。そして、次々と近隣の国を襲っては子供たちをさらってくると、戦士として育て、また近隣の国々を襲って領土を広げていった。そんな誘拐された子供たちの中で、最強の戦士となったのが、エリック(クリス・ヘムズワース)とサラ(ジェシカ・チャステイン)だった。

71点

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 前作よりは良いが、どうなんだろう。わざわざ作る意味はあったのだろうか。ほとんどパターンで作られたような印象。しかもアクションになると、演出力のなさをカメラでごまかしたようで、突然カメラが動きまくり2D上映なのに目が回り、何がどうなっているのか理解できなくなる。3D上映がなくて良かった。あったら酔うぞ!。

 そもそも前作が酷い出来だったのに、なぜ続編を作ったのだろう。なにか最初から続編を作るという約束でもあったのだろうか。2本分の契約を主演のクリス・ヘムズワースと交わしていたとか…… そんな邪推をしたくなる。監督と脚本家を替えてもP(プロデューサー)が一緒だと、変わらないということかも。SFXというか3D-CGの技術は凄いと思うが、ちょっとあざといというか、やりすぎの感も。

 クリス・ヘムズワース、シャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、ジェシカ・チャスティンという豪華な出演者に騙されてしまった。前作で懲りているはずなのに。とにかく眠かった。あやうく何度も気を失いそうになった。

 そして、ドワーフ族のイギリス訛りの英語(たぶん)が、どうにも尖りすぎていて、気になった。アメリカ映画だが、アメリカ英語では中世のお城のイメージに合わないから、イギリス英語を足したとか……。これまた余計な邪推。

 ラヴェンナ女王はシャーリーズ・セロン。前作より怖い存在になっているような。ただゲスト的な感じはした。本作の前に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(Mad Max: Fury Road・2015・豪/米)で髪を坊主にして、主役を食うほどの大活躍で存在感を示していた。この人は凄い。

 エリックも前作から引き続きの出演のクリス・ヘムズワース。オーストラリアのイケメン。本作の前に海洋サバイバルの「白鯨との闘い」(In the Heart of the Sea・2015・米/豪ほか)に出ていた。ボク的には「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)シリーズより、IMDbでは評価の低いマイケル・マンのアクション「ブラックハット」(Blackhat・2015・米)が良かったなあ。

 驚いたのは新たに参加した2人の女優、エミリー・ブラントとジェシカ・チャステイン。この2人が出ていなければ見なかったのだが…… 結局、実力派の豪華キャストでも、どうにもならないものはあると。

 エミリー・ブラントは「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米/仏)でブレイクした人。ボクはSFロマンス「アジャストメント」(The Adjustment Bureau・2011・米)が好きだが、最近出た「ボーダーライン」(Sicario・2015・米)ではアクションも行けることを証明して見せてくれた。

 ジェシカ・チャステインも演技派で、TVから、テレンス・マリック監督のアート系作品「ツリー・オブ・ライフ」(The Tree of Life・201・米)で注目されるようになり、実話の映画化「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2013・米)はなかなか強烈だった。つい最近ドロドロのホラー・ドラマ「クリムゾン・ピーク」(Crimson Peak・2015・米/加)に出ていて、なかなか怖かった。ちょっとイメージがジェニファー・ガーナーに似ている気もする。

 脚本は、エヴァン・スピリオトポウロスとクレイグ・メイジンの2人。エヴァン・スピリオトポウロスはビデオ作品やアニメの脚本を手がけていた人で、劇場映画は、なかなか楽しめたドウェイン・ジョンソンが主演した「ヘラクレス」(Hercules・2014・米)を書いている。一方、クレイグ・メイジンはおバカホラーの「最‘狂’絶叫計画」(Scary Movie 3・2003・米/加)を書いた人で、最近はおバカドタバタお下劣コメディの続編「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」(The Hangover Part II・2011・米)を書いている。この人でコメディの要素を加えたかったのだろうか。

 監督はセドリック・ニコラス=トロイアン。フランスの人で、これまで視覚効果をやっていた。前作「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)では視覚効果の他に第2班の監督も担当し、それが評価されて本作で劇場長編監督デビューすることになったらしい。確かに視覚効果は良かった。でもなあ……。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。当日は20分前くらいに開場。客席数は多くないが、プレミアム席のあるスクリーンでの上映。ファンタジー、おとぎ話なのに観客層はほとんど中高年。最初は10人くらいいて女性が3人ほど。それでも女性には化粧品の試供品が配られていたようだ。後半に女性も増えて、男女比は5.5対4.5くらいに。夫婦が多かった印象。

 やっぱり若い人が見に来るのは、アニメ、漫画原作、TVの劇場版あたりのみか。若い男性は気付いたところで1人、若い女性は2人しか見当たらなかった。しかも事前に評判が広まっていたのか、前作を見てがっかりした人が多かったのか、最終的に127席に30〜40人くらいの入り。プレミアムはゼロ。まあ、この出来では当然か。でも公開2日目でこれではヤバイだろう。夫婦で靴を脱いでいるヤツらがいたが、自宅か!

 スクリーンはシネスコのむき出しで、半暗で始まった予告編で気になったのは…… 左右マスクの「ペット」は3D-CGアニメで、吹替を担当するバナナマンが登場する新バージョン。日本語吹き替えで、ペットはご主人様が留守の間何をしているんだと。8/11公開。

 左右マスクの「アリス・イン・ワンダーランド〜時間の旅〜」は新バージョンに。マッドハッターを救えと。それにしても頭のでかい赤の女王を演じるヘレナ・ボナム=カーターが笑える。7/1公開。

 四角の枠付き「ウォークラフト」は、絵の感じが「ジャックと天空の巨人」(Jack the Giant Slayer・2013・米)みたいでちょっと心配になるが、どうなんだろう…… 赤ちゃんをカゴに入れて川に流すなんて、聖書か。公式サイトは重すぎるのか、クッキーをオンにしてもうまく表示されなかった。7/1公開。

 枠付き「10クローバーフィールド・レーン」も新予告に。こんどはエイリアン、出てくるんだろうなあ、J.J.エイブラムスさんよ。監督を替えたみたいだけど、前作が酷かったからなあ。6/17公開。

 暗くなって本編へ。


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