2016年6月5日(日)「デッドプール」

DEADPOOL・2016・米・1時間48分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(with Panavision。IMDbではデジタル、Arri ALEXA)/ドルビーAtmos(IMDbではドルビー、ドルビー・サラウンド7.1も)

(米R指定、日R15+指定)(IMAX版、MX4D上映もあり)
公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

2年前、元特殊部隊の傭兵ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、自分より悪いヤツを懲らしめて金を稼いでいた。それが、ある日、傭兵が集まるバーで娼婦のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と知り合い、意気投合。結婚を決意するが、突然倒れ、末期ガンだと宣言される。そこへ謎の男エージェント・スミス(ジェド・リース)が現れ、我々なら治せるという。他に手段がなく、ウェイドがスミスのところに行くと、エイジャックス(エド・スクライン)が現れ、ここは人体実験をやっている民間機関だと説明する。ミュータント血清を注射し、ミュータントにしてうまくいけば売り飛ばすという。自分もそれにより無敵の体を得たと。ウェイドは不死身の体を手に入れるが、全身が醜いケロイドで覆われてしまう。必死の思いでそこを脱出したウェイドは、スーツとマスクで全身を隠し、復讐するためエイジャックスを探し始める。

80点

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 下ネタ、汚い言葉、強烈な暴力満載の、型破りなお下劣痛快アクション。笑えるし、驚きの映像の数々と強烈な主人公のキャラクターに圧倒され、最後まで目が離せない。すごいなあ。普通だったら、こんな主人公は観客に嫌われて引かれてしまうのだが、バランス加減が絶妙で、むしろ愛嬌があって、応援したくなる。このキャラクターを成立させたことがこの映画成功の最大の要因だろう。X-MENに入るとか入らないとか、もめているところがまたおもしろい。マーベル・コミックや映画をネタにしたギャグが多く、それも笑える。挿入歌、挿入曲もいい。ワム!かあ。

 つい最近公開された「エンド・オブ・キングダム」(London Has Fallen・2016・英/米)と同じで、映画だから許される過剰な暴力。情け容赦なく、悪党を叩きのめす。必要なくてもとどめを刺す。血が飛び、手首が飛び、首も飛ぶが、映画だから。

 最初に「おバカ映画の始まり」と出る。オープニングのスタッフ、キャストのクレジットも役立たずとかおふざけだらけ。主人公はカメラというか観客に話しかけるし。これは映画でも禁じ手なわけだが、それを堂々と使っておふざけ映画であることを強調しておいて、いきなり強烈な血が飛ぶバイオレンスから始める演出手法。ただし、話は単純で、自分を全身ケロイドにしたヤツに復讐するというもの。それだけ。何のひねりもないし、ヒーローとして活躍することもない。マスクなのに目が細くなるのは良かった。

 デッドプールはライアン・レイノルズ。前半の1/3くらいは素顔だが、後半はマスクかケロイドで素顔がわからない状態。よく出たなあ。二枚目だけに私生活はいろいろあるよう。「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Smokin' Aces・2006・英/仏/米)では本作に通じるような殺し屋だったが、最近では、誘拐された娘を必死に探し続ける父親を演じた「白い沈黙」(The Captive・2014・加)や、弁護士を演じた「黄金のアデーレ 名画の帰還」(Woman in Gold・2015・英)など、まじめなアート系作品が多かった。まったく印象が異なる。良い人ばかり演じていると、たまにしっちゃかめっちゃかなものもやりたくなるのだろうか。そうか酷い出来だったらしいが、SFコメディ「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」(R.I.P.D.・2013・米)にも出ていたとか。

 主人公が惚れるヒロイン、娼婦のヴァネッサは、ブラジル生まれの美女モリーナ・バッカリン。TVの出演が多いようで、たとかリメイク版の「V」(V・2009-2011・米)で侵略者のボスをやっていたような。最近だとバットマンのゴッサム・シティの物語を描いたTVシリーズ「GOTHAM/ゴッサム」(Gotham・2014-・米)にも出ている。見ていると自然に腹が立ってくるドラマ「HOMELAND」(Homeland・2011-2013・米)でも、疑惑の的になる帰還兵の妻を演じていた。

 悪役のゴツイ女性、怪力でいつもマッチをくわえているエンジェル・ダストはジーナ・カラーノ。美人の総合格闘家。映画出演2作目の「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・アイルランド/米)で主演。大作「ワイルド・スピード EURO MISSION」(Furious 6・2013・米)にも出ている。最近はIMDbで3.9点というブルース・ウィリスの「エクストラクション」(Extraction・2015・加)に出ているようだが、限定的な公開で…… もうちょっと良い作品と役に恵まれたら。

 原作はマーベル・コミックの同名漫画。数々のヒーロー・コミックの原作を手がけたマーベル・コミックの重鎮、スタン・リーは、ストリップ・バーのDJで出演している。

 脚本は、製作総指揮も兼ねるレット・リースとポール・ワーニックの2人。残念な「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)も書いているものの、傑作「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)の脚本と製作総指揮をやっている。たしかに「ゾンビランド」は本作に通じる。

 監督はティム・ミラー。広告分野から映画のVFXに関わるようになり、短編が評価され、タイトル・シークエンスやオープニングを撮るようになり、なんと本作で劇場長編映画監督デビューだという。スゴイ才能かも。すでに本作の続編を任されているよう。楽しみ。

 銃は、




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 公開5日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客は若い人から中高年まで幅広かったが、若い人が多かった印象。下は中学生くらいから。男女比は、女性が1/4くらい。最終的には301席の5割くらいが埋まった。

 気になった予告編は…… なんと「スター・レック」シリーズの新作が作られるという。四角の枠付き「スター・トレック ビヨンド」はティーザーなので内容は良くわからないが、前作のキャストがほぼそのまま出演するらしい。なんだかすごそうな感じはした。秋公開。公式サイトはまだない模様。

 枠付き「ターザンREBORN」は、たぶん新しい予告。良い感じ。サミュエル・L・ジャクソンがコルトM1851ネービーのような銃を2挺持っている。7/30公開。

 枠付き「X-MEN:アポカリプス」も新予告に。より内容がわかるものに。ただ、気になるのは、同じ役なのにキャストの多くが変わってしまっていること。継続して演じている人もいるが、かなり違和感。8/11公開。

 ラストに枠付き「インデペンデンス・デイ」は「特別予告」と出た。「SOSだったんだ」とか「彼女が来た」などのキー・ワードらしきものが含まれていた。前夜祭をやるんだとか。7/9公開。

 マスクが左右に広がって、本編へ。


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