日本語字幕:丸ゴシック体下、吉川美奈子/ビスタ・サイズ(デジタル、Arri、IMDbでは1.78)/表記なし
(独12指定)
ドイツのテレビ局「マイTV」では新しい局長に女性のベリーニ(カッチャ・リーマン)が指名され、その席を狙っていた副局長のゼンゼンブリンク(クリストフ・マリア・ヘルプスト)は副局長のままとされた。そこでゼンゼンブリンクは経費節減の成績を上げるためフリー社員のディレクター、サヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)をクビにする。あせったサヴァツキは、没にされたサッカー少年のインタビュー・ビデオを見直し、そこに奇妙な男が写っているのをママから指摘され、探し出すと、その男はアドルフ・ヒトラーと名乗り、まるで本人のような主張を展開する。サヴァツキは彼を連れてドイツ全国でいろんな人々にインタビューして回るという企画をゼンゼンブリンクに提案し復帰を計るが……。
|
うーむ、ちっとも笑えない。コメディかと思ったら、どうもそうではないようだ。むしろ政治的な風刺映画。たぶんドイツTVのニュース・ショーやワイド・ショーを知っていると、もう少し楽しめるのかもしれない。笑っていたのは、30人くらいいたうちの、ボクの隣に座っていた白髪の男性のみ。劇場で観るべきか、ギリギリかなあ。 ようするに、この映画が言いたかったのは、安易な気持ちで選挙に投票すると、とんでもないことになることがあるぞということか。それは、まさにイギリスのEU離脱で起こったことと同じではないか(しかも本作は1年前の作品だ!)。そして、今、中東からの難民問題などで、状況が1930年代のヒトラーが台頭してきた時代背景と似てきていると。ただ、その部分が強すぎて、娯楽作品ではなくなってしまっている気がした。お金を払って、ちっとも楽しめない感じ。 予告などでは、現代にタイム・トラベルしたヒトラーが、お笑い芸人として人気を得て、やがて牙をあらわにしてドイツを誤った方向へ導いていく、的なことが書かれているが、この映画のヒトラー自身は一貫して全然ブレていない。まったくふざけてもいないし、媚びてもいない。人気得えてそれを利用しようともしていない。最初から自信に満ちていて信念のままに突っ走る。回り(民衆)が勝手に、コメディアンだと判断し、どんな方向から質問されようとも、主張は首尾一貫していてほころびがない。だから主張は説得力があり、力強い。よく伝わる。あたかも真理で、正しいことのように響く。この辺は巧い。うまいというか、怖いほど。なんだかアメリカのトランプ氏に似ているような(映画のキャラがですよ)……。 アバンのような、タイトル前のビデオ画質のレストランのエピソードは必要だっただろうか。酷い色で画質が悪い上にカメラが揺れ動き、シロート撮りのPOVのようでイメージがあまりにも悪すぎ。これでまず見ようという気を失う。不要。タイトル後の本編は高画質。ただ冒頭から、ヒトラーの出現場面や、クリーニングのくだりや、うだつの上がらないマザコンのテレビ局のディレクターなど、あざといというか冗談っぽい作りなのに、このバッド・エンディングだけお涙ちょうだい的オチはいかがなものかと。途中は、本当に街に出て人々にヒトラーが直接インタビューしたようなフェイク・ドキュメンタリー調(本物?)を取り込むなど、バランスも悪いし、映画としてどうなのか。 原作は 【ただいま執筆中。少々お待ちください】 公開5週目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に貯まったポイントで確保。当日は15分前くらいに開場。ほとんどモーニング・ショーのような時間だが、若い人から中高年までいたが、若い人のほうが多く2/3くらい。女性は少なく、最初12〜13人中、1人か2人。最終的には86席に30人くらいの入り。5週目で、早朝で、これはスゴイのではないだろうか。ボクにはいまひとつ良さがわからなかったが。 気になった予告編は…… だいたいほとんど同じ予告ばかりで、四角の枠付き「グッドモーニングショー」が新しくなっていただろうか。うーむ、笑えるのか、イタイのか。10/8公開。 枠付き「キング・オブ・エジプト」もだんだんヤバイ雰囲気が。主人公はコソ泥? おちゃらけコメディの様相が…… 9/9公開。 暗くなって、左右マスクで本編へ。 |