2016年7月31日(日)「ターザン:REBORN」

THE LEGEND OF TARZAN・2016・米・1時間50分

日本語字幕:手描き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Red、by Panavision)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、Auro 11.1も)

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり。3D上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/tarzan/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1884年、アフリカのコンゴは植民地としてベルギーの領国となることが決まった。5年後、ベルギーは大変な負債を抱え、コンゴのオパールなどを採取するため軍とともにレオン・ロム(クリストフ・ヴァルツ)を派遣する。ところが白塗りの一族が行く手を遮り、レオン以外全員が惨殺されてしまう。族長のムボンガ(ジャイモン・フンスー)は、あの男ターザンを連れてくればダイヤモンドをやるという。そのころ、ロンドンでは、かつてターザンとしてアフリカで動物達と暮らしたグレイストーク卿ことジョン・クレイトン(アレクサンダー・スカルスガルド)が、ベルギー国王から一緒にコンゴへ行って調査をしてくれないかという招待状がきたことを政府から知らされる。ジョンは断るつもりだったが、アメリカ公使のウィリアム博士(サミュウル・L・ジャクソン)から、ベルギーの不正を暴きたいから協力してくれと説得され、自分を育ててくれたアフリカへ帰る決心をする。すると、妻のジェーン(マーゴット・ロビー)も一緒に行くと言い出す。しかし、そのアフリカ行きは罠だった。

74点

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 日本語のタイトルは変だが、有名な話を伝説としてかなりリアルに作ろうとしたファンタスティック・アドベンチャー。大冒険活劇。とはいえ、それでもあり得ない展開だし、どうなのかという部分はあるものの、なかなか良くできていると思う。結局は植民地支配した悪者白人を、良いもの白人が支援して、原住民が勝利するという形にはなっている。

 とくにかく悪役が良い。クリストフ・ヴァルツが演じるレオン・ロムはエキセントリックにならずに、じわーっと恐ろしい。それが効いているので、多少酷いことをやり返しても許される感じ。部下の傭兵たちも、ただただ悪い。こいつらは殺されても仕方がないかと。対照的にサミュエル・L・ジャクソン演じるアメリカ公使はターザンを助ける相棒的な位置づけで、1人だけコミカルな設定。このへんはわざとらしくもあるが、バランスは良い。こういう人がいないと、冒険活劇なのに息が詰まってしまう。

 猿達は3D-CGなのだろうが、ものすごく良くできている。確か「グレイストーク」(Greystoke: The Legend of Tarzan, Lord of the Apes・1984・英/米)の時はリック・ベイカーによる特殊メイクだった思うが、ものすごい進化。ただ、ゴリラとチンパンジーとの中間のような風貌に見えたけど……。

 ターザンと妻のジェニー、そしてウィリアム博士の3人が、最終目的地のひとつ前で船を降りてアフリカ大陸を歩いているシーンがある。3人とも軽装だ。今でさえ大きなスーツ・ケースがいるだろう。着替えは要らないとしても、食料はいるだろう。散歩に出かけるんじゃないんだから。それに、貴族なんだから、現地雇いの荷物持ちとか、専属の料理人とか、いろいろスタッフが必要だろう。絵にならないから端折ったのか。その辺が気になった。

 ちゃんと「あーあー!」の叫び声は採り入れられている。ただ動物達を集める声ではなく、慟哭の叫び。つまりホントの叫び声かい?!

 ターザンはスウェーデン出身のアレキサンダー・スカルスガルド。どこかで聞いた名前だなあと思ったら、父親は最近だと「シンデレラ」(Cinderella・2015・米/英)に企みを巡らす大公役で出ていた有名なステラン・スカルスガルド。アレキサンダー・スカルスガルドは主にTVの吸血鬼ドラマ「トゥルー・ブラッド」(True Blood・2008〜2014・米)で活躍していたようで、劇場映画はハリウッド・リメイクの「ロシアン・ルーレット」(13・2010・米)や、残念なSF大作「バトルシップ」(Battleship・2012・米)に出ていて、最近だと残念なSF小品「ギヴァー 記憶を注ぐ者」(The Giver・2014・南ア/加/米)にも出ていた。本作はアレキサンダー・スカルスガルドの代表作になるかもしれない。それにしてもすごい筋肉。

 相棒となるちょっとコミカルな存在のウィリアム博士はサミュウル・L・ジャクソン。この人が出るだけで大作っぽくなる。映画に出まくりで、つい最近クエンティン・タランティーノの西部劇「ヘイトフル・エイト」(The Hateful Eight・2015・米)に出ていたばかり。本作ではどうやらガン・マニア的な設定らしく、出てくる銃の名前をいちいち指摘していた。ハンドガンはたくさん持っていたようで、ショルダーにはシルバーの中型リボルバーが入っていたようだが、アフリカで抜いたのはコルトM1851ネービーの2挺拳銃。長物は超高級な水平二連のダブル・ライフル。傭兵たちの銃をシュミット&ルービン(M1889)と指摘し、マシンガンを1886マキシム(ホント? imfdbでは年代が合わないが1895としている)と呼んでいる。しかもコルトより上等だとまで言っている。

 奥さんのジェーンはマーゴット・ロビー。オーストラリア出身の美女で、マーティン・スコセッシの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(The Wolf of Wall Street・2013・米)でレオナルド・ディカプリオのエロいお遊び相手を、ウィル・スミスの詐欺師映画「フォーカス」(Focus・2015・米/アルゼンチン)でも、ウィル・スミスのエロい弟子を演じていた。まあ、とにかく美人でエロい。でもこれから公開される「スーサイド・スクワッド」(Suicide Squad・2016・米)のほうが、もっとずっとエロくてサイコー。印象もまるで違う。予告しか見ていないが、ハマリ役かも。本作はまあ普通かなと。

 特に素晴らしいのが敵役のレオン・ロムを演じたクリストフ・ヴァルツ。やはり悪役が徹底的に悪いと、アクションものは面白くなる。クリストフ・ヴァルツはエキセントリックではなく、自然体で怖くて悪いヤツをさらりと演じていた。うまいなあ。アカデミー賞助演男優賞を獲得した「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds・2009・米/独)のドイツ将校役のイメージが強烈すぎてドイツ人かと思ったら、オーストリアだった。同じタランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者」(Django Unchained・2012・米)で再びオスカー助演男優賞に輝いている。本作の前に超大作「007スペクター」(Spectre・2015・英/米)で007の敵役を見事に演じていた。

 族長ムボンガはジャイモン・フンスー。


【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層はほぼ中高年で、若い人は少なかった。ターザンを知っている世代ということか。女性は1/3くらい。最終的には287席に3.5割くらいの入り。朝、早めだし、まあまあというところか。

 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は…… だいたい古い予告が多いなか、左右マスクのアニメ「ひるね姫」は、絵がきれいで驚かされたが、この時点での予告だと普通のドラマのよう。これだとアニメじゃなくて実写で良いような。でも監督が「攻殻機動隊」も手がけた人なので、そんなことはないだろうけど。2017年公開。

 四角の枠付き「ミュージアム」はカエル男がなかなか不気味で怖い。「るろうに剣心」の大友啓史監督と小栗旬の顔合わせらしい。予告だけだと、ちょっと「セブン」(Se7en・1995・米)っぽい気もするが…… 11/12公開。

 枠付き「デスノート」はどうなんだろう。前作を越えられるのだろうか。10/29公開。

 枠付き「ハドソン川の奇跡」は新予告に。どうも予想とは違う展開。乗客を救ったヒーロー機長の話かと思ったら、判断が誤っていたのではないかと、逆に容疑者になってしまう話のよう。デンゼル・ワシントンの「フライト」(Flight・2012・米)のようにならなければいいが。でもイーストウッド監督だし……。9/24公開。

 シネスコ・フルサイズで「スーサイド・スクワッド」は新予告に。とにかくマーゴット・ロビーのハーレイ・クインが良い! このキャラに尽きる感じ。9/10公開。

 そのまま暗くなって、本編へ。


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