2016年8月7日(日)「秘密 THE TOP SECRET」

THE TOP SECRET・2016・松竹/WOWOW/木下グループ/白泉社/GYAO!・2時間29分

シネスコ・サイズ(表記なし。デジタル?)/ドルビー・デジタル

(日PG12指定)(一部日本語字幕付き上映もあり)

公式サイト
http://himitsu-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

警察庁IT特別捜査機関「科学警察研究所法医第九研究室」、通称「第九」は、人間の脳の記憶パターンを解析し記憶を映像として読み取ることに成功。ついには5年前までの記憶にさかのぼることが可能になった。この技術を応用し、死者の脳の記憶を読み取ることで、捜査に役立てようとしていた。しかし、脳の記憶はきわめて主観的で、想像や心象風景なども含まれているため、証拠としては認められなかったが、捜査の手がかりになるとされていた。親友の鈴木克洋(すずきかつひろ、松坂桃李)とともに第九を立ち上げた創設メンバーで、室長の薪剛(まきつよし、生田斗真)は、他人の脳を見たことでメンバーに自殺者が出たため、新メンバーとして17歳で東大へ入学し、脳科学を学び、犯罪心理学にも精通するエリート捜査官、青木一行(あおきいっこう、岡田将生)を引き抜く。実は、薪は鈴木も28人殺しの貝沼清隆(かいぬまきよたか、吉川晃司)の脳を見て異常をきたし失っていた。そして第九は、正式機関として承認する最終テストとして、露口一家惨殺事件を担当することになる。犯人の露口浩一(つゆぐちこういち、椎名桔平)はすでに死刑が執行されており、青木が露口の脳をスキャンし、行方不明となっている長女・絹子(きぬこ、織田梨沙)を探しだすのが任務だったが、思わぬことが判明する。

78点

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 またまたコミックス原作の映画化。ただ先に「秘密(トップシークレット) The Revelation」(2008・日)でTVアニメ化されているらしい。2011年には第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。ずいぶん間を開けたなあと。ただ、原作通りのタイトルで、トップ・シークレットなら「極秘」じゃないのかと。そこに意味はあるのだろうか。

 とにかく、おどろおどろしい物語。脳の中の記憶を読み取るという最先端科学の部分と、連続殺人鬼の頭の中という最悪な部分を混ぜ合わせた物語は、近親相姦、冤罪事件、親友の発狂、まるでヤクザのような小悪党の刑事などが絡むことで、よりおぞましい映画となっている。恐ろしいなあ。

 そんな中「犯人は罪を問われることなく行方不明となってしまいました」とやりがちなところを、敢えてキッチリ決着をつけて見せ、ラストにはさわやかな希望を持たせる感動の映像で終わるという見事さ。あやうく泣きそうになった。良くも悪くも大きく感情を揺さぶられるものの、2人の男女の殺人鬼のインパクトが強烈すぎて、さすがにラストの映像だけではカバーし切れない。こういう感情が欠如したような生まれつきの殺人者がいるという恐ろしさ。昨今の実社会での凶悪事件も重なって見えてくる。たっぷり149分、事件は単純には解決せず、とても見ごたえがある。前後編にしないでくれて、ありがとう!

 ただ、最後の鈴木が命を懸けてまで隠したかった秘密というのが、いまひとつピンと来なかった。それほどの秘密かと。それまでの事件が衝撃的すぎて、ちょっとかすんでしまった感じ。そして、父が植物人間となってしまった青木の一家に起こった事件に関しては何も触れられないまま終わってしまう。

 しかし、28人殺しの貝沼を演じた吉川晃司が良いのはさすがの貫録としても、絹子を演じたモデル出身の織田梨沙がいい。自然体の演技は力みがなく、リアリティがあって、しかも怖い。すごいなあ、ほとんど新人なのに、実力のある監督と組めば大化けすると。ベテラン俳優に交じっても、堂々とまるで大女優のような雰囲気と存在感。ほぼオール・ヌードで体を張ってるが、そのかいはあったということだろう。

 第九の新メンバー青木一行は岡田将生。ボク的には「プリンセストヨトミ」(2011・日)の旭ゲンズブールが面白かったし、TVの「ヤング・ブラックジャック」(2011・日)がぴったりハマっている気がした。自然で、おかしくて、巧いなあと。最近だと「ストレイヤーズ・クロニクル」(2015・日)で見たが、食い足りない感じで、魅力は伝わってこなかった。

 室長の薪剛は生田斗真。「脳男」(2013・日)、「予告犯」(2015・日)、「グラスホッパー」(2015・日)と話題作に出まくり。「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」(2014・日)は見ていないが、かなりぶっ飛んだ作品だったらしい。こういうのもやるかと。

 特に素晴らしかったのは絹子の織田梨沙。17歳の時からモデルとして活躍しているらしい。WEBムービーやミュージック・ビデオには出ていたようだが、劇場作品は本作が初めての模様。それでこの体当たり演技か。良い監督と出会えば光り輝けるいい例。今後も期待したい。

 原作は清水玲子の同名コミックス。「花とゆめ」に連載されていたとすると少女漫画ということになるんだろうか。内容としてはかなりハードで、読んでいないのだが男性誌向きの感じもする。本作で第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞している。

 それを脚本にしたのは、


【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は15分前くらいに開場。スクリーンはシネスコで開いていて、入ったらもう四角の枠付き「歌声にのった少年」の予告が流れていた。パレスチナ映画で、いまだに紛争が続くガザ地区に暮らす少年が、病死した姉との約束を果たすため歌手を目指すという感動作。9/24公開。

 観客層は若い人から中高年まで幅広く、男女比もほぼ半々くらい。ドイツ語らしい言葉を話していた外国人の少女3人組もいたが、生田ファンか岡田ファンか。日本語がわかるように見えなかったが、最前列の真ん中で見ていた。衝撃の内容だったろうに大丈夫か? 最終的には580席の5割ほどが埋まった。朝一としてはなかなかだろう。

 気になった予告編は…… 少女漫画が原作らしい左右マスクの「一週間フレンズ」は1週間で記憶を失ってしまう女の子の恋愛ストーリーらしい。なんか韓国映画みたいな…… 2017年2/18公開。もう予告やる?

 左右マスクの「彼らが本気で編むときは、」は生田斗真主演。なんか、どこかで聞いたようなタイトルだが、大丈夫か。えっ、女装? 舟は編まないんだ…… 2/25公開。

 左右マスクの「いきなり先生になったボクが彼女に恋をした」も少女漫画っぽいラブ・ストーリーのようだが、韓国語を習いたい佐々木希と、韓国語を教える韓国のイケメン先生が恋をすると。タイトルも予告の感じも韓国映画みたい。11/3公開。

 左右マスクの「超高速!参勤交代リターンズ」は新予告に。うーん、前作とあまり変わらないような…… 9/10公開。

 暗くなって、映写機のマスクが左右に広がって、松竹120年の後、富士山が出て、WOWOW、25年で、本編へ。

 それにしても、遅れてきた若い女子、行きなり靴を脱いでひざを抱え、足を座面にあげるか?


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