日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(デジタル、Red)/ドルビーATMOS
(米PG-13指定)(3D、4D上映もあり)
紀元前3600年、エジプトで人類初のミュータント、エン・サバ・ヌール(アポカリプス、オスカー・アイザック)は神のように君臨していたが、ニセの神と気付いた者たちの裏切りによりピラミッドの中に閉じこめられてしまう。しかし1983年、蘇ったアポカリプスは世の中の状況を把握すると、人間の作ったものをすべて破壊し、世界を浄化すると決心し、まず伝説どおり従者となる四騎士のミュータントを集める。
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うーむ、すごい映画だ。スケールが大きく、戦いも徹底していて、なかなか壮絶。SFXはすばらしいというか、スゴイ。ただ、話が荒唐無稽過ぎて、たぶん、どんなにリアルに作っても説得力は出ないのではないだろうか。神のように絶大なパワーを持ちながら、世界を一度ぶち壊して作り替えようと、独善的に振る舞う敵のボスは、どうにもセコイ奴にしか見えない。やることなすこと小悪党レベルという印象。ちょっとキャラクターが良くなかったか。 キャストの多くが違う人が演じているので、どうにも違和感があった。それがまた映画へののめり込み具合のじゃまをする。だから感動も薄い。すごい映画なのに……。 そして3部作の完結編だと、後で知った。えっ、3部作なのにキャストが途中で代わるの? 時代が違うのか…… 話も複雑で、2011年の「ファースト・ジェネレーション」は1960年代の話で、最初のミュータント世代を描いていた。次の2014年の「フューチャー&パスト」で2023年に地球が滅亡しそうになって、ウルヴァリンをそのきっかけとなる1973年の過去へ送り込む。そして本作がその中間くらいの1983年という設定。続けてみないとちょっと分かりにくい。しかし、各作品だけ見てもちゃんと成立しており、その点はさすが。逆に言うと、あまり関連性を感じなかった。それぞれ別の話という感じ。 ジーンは最初からすごいし、憎たらしい悪役のストライカーもこの時から憎たらしいし、ウルヴァリンは閉じこめられていたのをここで開放されるし、エグゼビアの髪が抜けるし、色々つながってくるけど……。人類史上初のミュータントがアポカリブスなのか? ニセの神とか。エジプトの神のような存在が、魂を他人に移して、現代で蘇る…… これは、良く聞くパターンのエジプト物そのままではないか。X-MENという感じがあまりしないなあ。戦いはミュータントのすごい技だけど。ちょっと「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)っぽい感じもしたし。 例によってスタン・リーは不安げな老夫婦で出ていた。そして、タイトルのところはトンネルを抜けるようなCGで、内容にはあまり関係ないが3D上映の効果を出すためにわざと入れたような印象。どうなんだろう。 プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアは3部作の第1作から演じているジェームズ・マカヴォイ。違和感なし。髪がなくなってスキンヘッドになった理由が明かされる。そういうことだったのか。本シリーズ以外で最近見たのは、「トランス」(Trans・2013・英)だったか。ヴァイオレンス系、そして悪人役が多いような印象。 マグニートことエリック・ンシャーはマイケル・ファスベンダー。さすがにうまいなあと。本作でも涙を誘う。日本ではほとんど話題にならなかった「スティーブ・ジョブス」(Steve Jobs・2015・英/米)でスティーブ・ジョブスを演じていたらしい。遺族から反対され、2013年のアシュトン・カッチャー版もあっての公開はどうだったのだろう。「悪の法則」(The Counselor・2013・米/英)は特に強烈だったが。3作引き続きの出演。 ミスティークことレイブンも3作引き続きの出演のジェニファー・ローレンス。最初に演じたレベッカ・ローミン=ステイモスのようなエロっぽさはないが、立場が変わって良い方のメンバーとしては向いている気がする。ただ本作の前の「ハンガー・ゲーム」(The Hunger Games・2012・米)シリーズのイメージがよくなくて……。 ビーストことハンク・マッコイも3作引き続きの出演のニコラス・ホルト。大ヒット作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(Mad Max: Fury Road・2015・豪/米)は強烈だったが、主演作の「アウトバーン」(Collide・2016・英/独)はいまひとつか。 アポカリプスことエン・サバ・ヌールはオスカー・アイザック。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(Star Wars: Episode VII - The Force Awakens・2015・米)でレジスタンスのエース・パイロットを演じていた人。悪役が多く、アカデミー賞作品「ドライヴ」(Drive・2011・米)ではヒロインのダメ亭主役だった。 脚本は製作も兼ねるサイモン・キンバーグ。アクション系の人で、痛快アクション「Mr.&Mrs. スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)や日本劇場未公開ながら面白かった「トリプルX ネクスト・レベル(未)」(xXx: State of the Union・2005・米)を書いているが、残念なSFアクション「ジャンパー」(Jumper・2008・米/加)やびっくりするほどの「Black & White/ブラック & ホワイト」(This Means War・2012・米)も書いている人。最近だと、これまた残念なリブート版の「ファンタスティック・フォー」(Fantastic Four・2015・米)を書いている。なぜ任せた? 1本前は書いているけど。 監督はもちろんブライアン・シンガー。なんだか最近は「X-MEN」専属という印象。ニコラス・ホルトが主演した「ジャックと天空の巨人」(Jack the Giant Slayer・2013・米)は酷かったなあ。ボク的には「ユージュアル・サスペクツ」(The Usual Suspects・1995・米/独)的な作品も撮って欲しい。 銃は、ナイトクローラーがエンジェルと戦うところで警備の男たちがカールグスタフのようなSMGやAKを持っていた。また刀女のサイロックがストームを誘うところで、シルバーのSAAがあり、クイックシルバーが登場した時はゴールドのバレルの1911オート、2011?も出ていた。ストライカーの部隊はMP5Kを装備。 IMDbによるとキー・アーマラーはリチャード・フーパー。「007スカイフォール」(Skyfall・2012・英/米)でアーマラーをやっていた人。「REDリターンズ」(RED 2・2013・米/仏/加)や「ミケランジェロ・プロジェクト」(The Monuments Men・2014・米/独)も手がけているが、以外に時代劇の「エクソダス:神と王」(Exodus: Gods and Kings・2014・英/米/西)もやっていて、銃専門というわけではないようだ。 ちなみに、アポカリプス復活のシーンで、怪しい女が、かつて流行ったミノックス風の小型スパイ・カメラを使っていた。もしかしたら珍しいものかも。 公開3日目の字幕2D版初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。どうしても3D上映が大きいスクリーンになり、2D版は小さいところになりがち。当日は15分前くらいに開場し、観客層は若い人から中高年まで幅広く、下は小学生くらいからいたが、多かったのは若から中年の層。男女比は、女性が1/4くらい。最終的には157席の7.5割くらいが埋まった。 スクリーンはシネスコで開いていて、気になった予告編は…… 四角の枠付き「スーサイド・スクワッド」は新予告に。とはいえ、とにかく良いのはマーゴット・ロビー。スタイル、髪形、奇抜な化粧、しゃべり方…… 何から何まで素敵。9/10公開。 枠付きの「グランド・イリュージョン見破られたトリック」は新予告に。「画面の一部が変化する」アハ・ムービーを使ったパターン。しかし、それより不思議な本編の映像の方が気にかかる。雨を止めるって! 9/1公開。 枠付きの「アサシン・グリード」はUBIソフトのゲームの実写映画化。なんと主演はマイケル・ファスベンダー。スペイン暗黒時代を描くらしい。なんだかすごそう。2017年、公開。 エンド・クレジットの後、最後の最後に映像があるので見逃さないようにしたい。 |