2016年9月3日(土)「セルフ/レス 覚醒した記憶」

SELF/LESS・2015・米・1時間57分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、Sony、with Panavision)/表記なし(IMDbではドルビー・デジタル)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.selfless.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ニューヨークを作ったと言われるほどの著名な建築家のダミアン(ベン・キングズレー)は、ニューヨークの一等地の豪華マンションに住んでいたが、余命半年と宣告されていた。そこで、以前もらった名刺の中にあった謎の研究所「フェニックス」に相談する。「フェニックス」は遺伝子操作で作りだした人体に意識や記憶を移して別な人間として生まれ変わらせるという。ダミアンは2億4千万ドルで依頼、実行に移され、エドワード・キドナー(ライアン・レイノルズ)として目を覚ます。ダミアンは死亡記事が新聞に載り、葬儀も行われる。エドワードはニューオーリンズで生活を始めるが、1週間に1度、拒絶反応を押さえる薬をもらいに行かなければならなかった。薬は必ず1日に1錠飲み、1〜2年続けなければならないという。やがて近所のアントン(デレク・ルーク)と知り合うが、自分の腕にケロイドのようなものがあり、薬を飲み忘れた時、明確な幻覚を見て疑惑を持ち、幻覚の場所を調べてみることにする。

74点

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 説得力のある奇想天外な話で面白かった。そして感動した。たぶんハリウッドでは低予算の部類に入る小作品なのだろうが、充分に楽しめた。雰囲気はSFショート・ショートという感じ。まったく違う話だが、雰囲気は「アジャストメント」(The Adjustment Bureau・2011・米)のようでもあった。もっとたくさん広告して、もっとたくさんの劇場でやればいいのに。なんでこんなに小さな扱いなんだろ。まあIMDbでの評価は6.5点であまり高くないが。

 ターセム・シン監督にしては、映像が普通だった。地味。この話の内容なら、そうでなければならなかっただろうし、こういう風にも撮れる人なんだ。ちゃんとアクションにもなっているし、家族愛がメインの柱として描かれ、よく伝わってくる。最初に語られる富豪の話も結局は家族愛で、次に語られる帰還兵の話も家族愛だ。家族のためなら命も投げ出すと。そして後悔と償い。バッド・エンディングというわけではないが、悲しい。感動的。配役もバッチリはまっている。素晴らしい。

 エドワード・キドナーこと、マークを演じたのはライアン・レイノルズ。派手さはないが、誠実な感じで、もういい歳だが好青年という印象。美女と離婚を繰り返しているけど……。1991年頃から活躍していて、もうベテラン。さすがにうまい。本作で、最初はわけのわからない優男を完璧に演じ、徐々にそこにワンマンでやり手の経営者ダミアン雰囲気を取り込みながら、覚醒するに従って良く訓練された軍人としてのキリッとしまった印象と俊敏な動き、プロらしい殺しのテクニックを見せる。この変わりようは見事としか言いようがない。つい最近「デッドプール」(Deadpool・2016・米)に出ていたし、その前には「黄金のアデーレ 名画の帰還」(Woman in Gold・2015・英)で誠実そうな弁護士の役を、「白い沈黙」(The Captive・2014・加)で諦めずに娘を探し続ける父親を演じていた。みな、それぞれにはまっていて、巧いなあと。

 ダミアンはベン・キングズレー。金で問題を解決する嫌なオヤジの役を好演。アカデミー賞俳優だが、最近よくB級映画にも出ている。「アウトバーン」(Collide・2016・英/独)はなかなか悪い悪役で、残念だった話題作「ザ・ウォーク」(The Walk・2015・米)では主人公の綱渡りの先生。偏屈な役とか味の濃い悪役が多い感じ。「ジャングル・ブック」(The Jungle Book・2016・英/米)では恐ろしいトラ、バギーラの声をあてている。

 マークの妻、マデリーンはナタリー・マルティネス。エンド・オブ・ウォッチ」(・2012・)や「ブロークン・シティ」(Broken City・2012・米)に出ていた人。どちらもアクション作品。最近は話題のTVドラマ「CSI:ニューヨーク9 ザ・ファイナル」(CSI: NY・2012-2013・米)や「アンダー・ザ・ドーム」(Under the Dome・2013-2014・米)に出ていたらしい。

 「フェニックス」のボス、オルブライトはマシュー・グード。知的でクールな感じが良かった。イギリス生まれで、「ウォッチメン」(Watchmen・2009・米)などにも出ているが、比較的最近だと感動作「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(The Imitation Game・2014・英/米)に出ている。

 ダミアンのビジネス・パートナー、マーティンはヴィクター・ガーバー。「タイタニック」(Titanic・1997・米)で設計者を演じていた人。最近は麻薬戦争映画「ボーダーライン」(Sicario・2015・米)に出ていた。


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 公開3日目の初回、といってもなんと13時55分からだが、六本木の劇場は20分前くらいに開場。小さめのスクリーンで、ビスタで開いていた。観客層はおおむね30代以上という感じ。メインはやっぱり中高年。男女比は半々くらいで、最終的に105席に7.5割くらいの入り。なかなかの入りに見えたが、もともとキャパが小さかった。関係者らしい一団が4〜5人。

 気になった予告編は…… TOHOのハリウッド・ムービー・トピックスでマーチン・スコセッシ監督の新作「沈黙-サイレンス-」。監督のビデオ・メッセージとメイキングというところで、まだできていない感じ。原作は遠藤周作で、日本人俳優もたくさん出ている模様。2017年公開。公式サイトはまだないようだ。

 同じトピックスで、上下マスクの「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」は、エピソード4へと繋がる物語で、帝国軍のデス・スターの設計図を盗みだすチームの物語だと。ドニー・イェンがいなあ。日本人にも出て欲しかったが、ドニー・イェンはアジアの誇りだ。12/16公開。

 トピックスの上下マスク「ワンダーウーマン」は、インタビュー・ビデオ付き。重厚な映像で、なかなかカッコイイ。アクションもすごそう。2017年公開。

 トピックスの上下マスク「アサシンクリード」はUBIソフトの同名ゲームの実写映画化。主演がマイケル・ファスベンダーというのが驚き。映像もカッコ良い。2017年公開。

 半暗になってからの予告では…… 「ボクの妻と結婚してください」は、韓国映画のようなタイトルだが、久々の織田裕二主演の邦画作品。原作も日本の小説。TVのディレクターで、余命が6カ月と知って……という、ちょっとすでにつらい感じ。11/5公開。

 上下マスクの「グッドモーニングショー」は新予告に。うむむ、だんだん面白そうな気がしてきたが、どうかなあ。10/8公開。10/8公開。

 「インフェルノ」や「怒り」、「スタートレック」、「ジェイソン・ボーン」など従来と同じ予告が続き、上下マスクの「ザ・ビートルズ-EIGHT DAYS A WEEK」はロン・ハワード監督のドキュメンタリーだとか。ロン・ハワードはどこへ行くんだろう。9/22公開。

 「BFG」、「スーサイド……」、「……エジプト」の同じ予告の後、暗くなり、スクリーンが左右に広がって本編へ。


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