2016年9月10日(土)「キング・オブ・エジプト」

GODS OF EGYPT・2016・米/豪・2時間07分(IMDbでは126分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Red、with Panavision)/ドルビー・デジタル

(米PG-13指定)(3D上映、4D上映、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://gaga.ne.jp/egypt/top.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

神々が人間に交じって暮らしている時代、エジプトは2人の神、エジプトの王である兄のオシリウス(ブライアン・プラウン)と、砂漠の神である弟のセト(ジェラルド・バトラー)によって統治され繁栄していた。しかしオシリウスが王位を息子のホルス(ニコライ・コスター=ワルドー)に譲ることにしたため、それに納得できないセトは、戴冠式の当日、兄に対決を挑み倒すと、ホルスの両目を奪い、自分が王位に就く。ホルスは姿を消し、人間の多くが奴隷にされ、あちこちでセトを讃える巨大なモニュメントが作り始められたある日、コソ泥のベック(ブレイトン・スウェイツ)がピラミッドに侵入、中に祀られていたホルスの片目を盗み出して恋人のザヤ(コートニー・イートン)と共に逃げるが、追っ手の矢にザヤは命を落とす。ザヤを生き返らせるため、ベックはホルスを探しだし、片目を返すのだが……。

71点

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 エジプトの王の話には間違いないんだけど、内容的には「キング・オブ・エジプト」ではなく、原題どおり「ゴッド(ゴッズ)・オブ・エジプト」だなあ。つまり、歴史的に正しい世界での作り事かと思ったら、舞台設定だけエジプトで、お話はまったく荒唐無稽の神話的ファンタジーだった。それも劇画的な大冒険活劇。神々と人間が共存する世界のおとぎ話。神は変身してロボットみたいになるし。3D上映、4D上映となれば、まさにアトラクション・ムービーだろう。2Dで見たら、アクションだらけなのに、何回か気を失いそうになった。眠かったあ。

 予告から予想した内容とは違って、おバカなコソ泥の下らない話ではなかった。そこは良かった。ただもっとリアルな歴史物的物語かと思ったら、そこは完全はずれた。いわばエジプトが舞台でなくても成立するお話。たとえば「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)のようなもの。アスガルドが舞台でもまったく問題ない。しかも昔から描かれてきた神々の王位継承トラブルだ。ということは「ジュピター」(Jupiter Ascending・2015・米/豪)でもいい。どれもいまいちの内容、出来だった。当然本作もそんな印象になる。

 日本のビジュアルは二枚目のコソ泥のベックがメインになっているが、実際の主人公は神のホルスで、米英で人気のTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(Game of Thrones・2011〜・米/英)シリーズで人気のニコライ・コスター=ワルドー。ただ残念ながら、日本での人気はいまひとつ。それでこんなことになったのだろう。アメリカのビジュアルではニコライ・コスター=ワルドーと敵役のセト神を演じるジェラルド・バトラーがメインになっている。ジェラルド・バトラーはつい最近「エンド・オブ・キングダム」(London Has Fallen・2016・英/米/ブルガリア)に出ていたばかり。

 驚いたのは、ホルスのおじいちゃんである太陽神ラーが、名優ジェフリー・ラッシュだったこと。ボクが最近見たのは「鑑定士と顔のない依頼人」(La migliore offerta・2013・伊)の鑑定人。あれば良かったけどなあ。本作ではまったくジェフリー・ラッシュっである必要ないけど、有名俳優に出て欲しかったということか。

 人間の設計技師の悪党、ウルシュも悪役の名優ルーファス・シーウェル。最近だとドウェイン・ジョンソンの「ヘラクレス」(Hercules・2014・米)に出ていたが、「幻影師アイゼンハイム」(The Illusionist・2006・米/チェコ)などは特に素晴らしかった。最近、役に恵まれていない感じ。アレックス・プロヤス監督の「ダークシティ」(Dark City・1998・豪/米)で主演している。

 おとぎ話の脚本は、マット・サザマとバーク・シャープレスの2人。2人で組んで「ドラキュラZERO」(Dracula Untold・2014・米/日)の脚本を書き、それがサターン賞ベスト・ホラー賞を受賞したことで本作に繋がったらしい。「ドラキュラ……」はパッとしなかった気がするが……。

 監督は製作も兼ねるエジプト出身のアレックス・プロヤス。「クロウ/飛翔伝説」(The Crow・1994・米)や「ダークシティ」などの面白い作品を手がけ、その後ウィル・スミスの大作「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米/独)、そして「ノウィング」(Knowing・2009・米/英/豪)は前半は良かったけど……。

 エンド・クレジットは地面から文字が出てくるようなアニメーション。そしてロールになってからCGスタッフよりスタントマンが先に出てくる構成。より大きな功績があったということだろうか。見た目にはCGショーといった感じだったが。

 公開2日目の初回、2D字幕版を朝からやっているところは日本橋で、ちょっと遠征。金曜にムビチケカードで確保し、当日は15分前くらいに開場。ほとんど中高年で、高齢者が多いような印象。男女比は6対4くらいで男性が多かった。高齢者が多い割に、ケータイを付けている奴が多い。ロビーでやれ。そんなに忙しいなら来るなよ。最終的には128席に5.5割くらいの入り。やっぱりこの映画はアトラクション・ムービだから3Dで見たいということか。

 気になった予告編は…… 四角の枠付き「土竜の唄香港狂想曲」は「土竜の唄潜入捜査官REIJI」の続編。公式サイトはクッキーをオンにしないと見られない。12/23公開。前作ってヒットしたんだっけ?

 枠付き「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」は、なんか流行のタイトル・パターンの少女漫画かと思ったら、恋愛小説が原作らしい。福士蒼汰と小松菜奈の顔合わせ。12/17公開。

 枠付き「バイオハザード:ザ・ファイナル」は新予告か、ちょっと長いバージョン。12/23公開。

 枠付き「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」も、たぶん新予告。面白そう。12/16公開。

 枠付き「ジャック・リーチャーNever Go Back」も新予告に。トム・クルーズ、カッコいい。トム・クルーズならちゃんとトレーニングを受けているはずで、とにかく動きがプロっぽい。11/11公開。

 暗くなって、映写機のマスクが左右に広がってシネスコになって本編へ。


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