2016年9月17日(土)「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」

THE BFG・2016・英/加/米・1時間58分(IMDbでは117分)

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、Panavision)/ドルビーATMOS(IMDbでは、ドルビー・デジタルも)

(英米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/bfg.html
(全国の劇場リストもあり)

ロンドンのある孤児収容施設に、10歳の少女ソフィー(ルビー・バーンヒル)がいた。彼女は不眠症だったので、夜中でも起きており、その日も化け物が出るといわれる夜中の3時でもベッドで本を読んでいた。すると街に巨人(マーク・ライアンス)が現れ、目が合ってしまう。姿を見られたことから、巨人はソフィーをさらって巨人の国へ連れて行く。しかし巨人の国にはもっと大きな巨人達が9人おり、彼はいじめられていた。しかも、チビと呼ばれる巨人以外は、人間が大好物で、ときどき人間の子供をさらって来ては食べていた。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ、まるでロバート・ゼメキス監督作品のような感じ。レベルはずいぶん上がったが「ベオウルフ/呪われし勇者」(Beowulf・2007・米)的なCGで作った感たっぷり。実写は主人公の少女だけではないかと思えるほど。ファンタジーだから、作り事を作り事で作って、あからさまに作り事になってしまったような。しかも、CGっぽさを無くそうとしたのか、それが逆にグロテスクで、お下劣満載になってしまった。やっぱり残念だった3D-CGアニメ「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(The Adventures of Tintin・2011・米/ニュージーランド)の延長にあるということだろうか。IMDbでは6.7点。

 CGによって絵作りや演出の自由度が増したため、やりたい放題で、このベテラン大御所監督にしてカメラ動かし過ぎ。必要のない動きが多すぎる。そのためか、クレジットでは立体化のスタッフが多数いるようなのに、日本では3D上映なし。たぶんこれは酔う。

 CGだからできるカメラの現実を超越した動き。かつてはヒッチコックなどが、そういうことが出来なかったのにやっていて、驚いたものだったが、いまはCGだから何でも出来る。すると、それが鼻に付く。かつてはスピルバーグもヒッチコック張りのカメラワークで名を馳せたが、いまでは誰でも出来るし、ここまで落ちたかと。楽しいおもちゃで、大金をかけて遊んでしまっちゃった?!  コンセプトは同じでも「ジャングル・ブック」(The Jungle Book・2016・英/米)と大きな違いがあるなあと。

 たぶんモーション・キャプチャーした動きは自然。しかし、大きなジャンプとか、人間離れした動きが不自然。漫画的扱いなのかもしれないが、マンガ・キャラがそれをやるなら良いが、ここまでフォトリアルなキャラがやると途端に不自然になる。つまりその辺が中途半端だったのかなあと。

 BFGのモーション・キャプチャーによる演技と声を担当したのは、マーク・ライアンス。スピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」(Bridge of Spies・2015・米/独/印)でクールなソ連のスパイを演じた人。「ザ・ガンマン」(The Gunman・2015・米/西/英/仏)ではショーン・ペンの元同僚殺し屋を怖く演じていた人。本作では好々爺という感じだ。CGの顔も本人に良く似ている。

 少女ソフィーを演じたのはイギリス生まれ、10歳のルビー・バーンヒル。これまでTVに出たことはあったようだが、劇場映画、それも長編の主役は初めての模様。幼くして天才的な演技を見せた多くの子役のようにつぶれてしまうことなくがんばって欲しい。

 原作は「ジャイアント・ピーチ」や「チャーリーとチョコレート工場」のロアルド・ダール。日本版し「オ・ヤサシ巨人BFG」(評論社刊)というらしい。脚本にしたのは、かつてのハリソン・フォードの奥さん、メリッサ・マシスン。「マジック・ボーイ」(The Escape Artist・1982・米)や大ヒット作「E.T.」(E.T. the Extra-Terrestrial・1982・米)の脚本を書いている。マーティン・スコセッシがダライ・ラマ14世の半生を描いた「クンドゥン」(Kundun・1997・米)を書いて以降、脚本は書いていなかった模様。なぜいま?

 監督は製作も兼ねるスティーヴン・スピルバーグ。監督より製作総指揮の方が多く、本作の前に監督したのは「ブリッジ・オブ・スパイ」。本作は3D-CG映画だからか、スピルバーグらしくなく、ロバート・ゼメキス化した感じ。それともほぼ3D-CGで撮ると、みんなこうなってしまうのか。「ジャングル・ブック」は違ったけど。

 銃は、英国王室の衛兵がFN FALを使用。

 公開初日の字幕版初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は12〜13分前に開場。ほぼ中高年で、最初は12〜13人中、女性は4〜5人。その後、若い人も少しきて、下は小学生くらいの女子になったがメインは中高年のまま。最終的に男女比は半々くらいで、157席の3割くらいがどうにか埋まった。初日でこれとは残念。これから増えるとも思えない。

 スクリーンはシネスコで開いており、気になった予告編は…… 四角の枠付き「聖(さとし)の青春」は夭逝した伝説の棋士を描く実話の映画化だそうで、主演は松山ケンイチ。11/19公開。

 左右マスクの「一週間フレンズ」はまたまた人気漫画ラブ・ストーリーの映画化。うーむ。はやくタイトルを出してくれないと……。2/18公開。

 左右マスクの「マギーズ・プラン」は、ジュリアン・ムーアとイーサン・ホークという顔合わせ。ハートフル・コメディらしいが、予告からはまったくわからなかった。むしろ重そうな感じが……。いつからか出なかった気がするが、調べたら1/21公開。

 左右マスクの「ハンズ・オブ・ラヴ」もジュリアン・ムーアで、共演はエレン・ペイジ。レズビアン・カップルの話らしい。ジュリアン・ムーアが刑事だとか。実話? コメディアンのスティーヴンカ・カレルも出ている。これもいつ公開かわからず調べたら、11/26だった。

 左右マスクの「ジュリエッタ」は母と娘の絆を描くスペイン映画らしい。なかなか重そう。11/5公開。

 枠付き「歌声にのった少年」はもう何度も流れているが、パレスチナの少年がTVショー「アラブ・アイドル」に出場して優勝、スターになった実話を映画化したもの。9/24公開。

 枠付き「ハドソン川の奇跡」はさすがに公開目前で新予告に。9/24公開。

 枠付き「モアナと伝説の海」はいかにもという感じのディズニー・アニメ作品。キャラクターがかわいい。ハワイっぽい歌と、モーゼのように海が割れる不思議さと優しさにあふれた雰囲気。この子が大きくなって冒険するのか。いつからか出なかった気がするが、調べたら3/10公開だった。

 映写機のマスクが左右に広がり、シネスコサイズになって「ドクター・ストレンジ」の予告。やはり大きくなると凄い迫力。本編並み。しかも新予告。すごそう。1/27公開。

 暗くなってディズニーの夜の城から本編へ。


1つ前へ一覧へ次へ