2016年9月24日(土)「メカニック:ワールドミッション」

MECHANIC: RESURRECTION・2016・仏/米・1時間39分(IMNDbでは98分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、種市譲二/シネスコ・サイズ(デジタル、Red、表記なし)/ドルビー・デジタル(表記なし)

(米R指定)

公式サイト
http://mechanic-movie.com
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

元殺し屋のビショップ(ジェイソン・ステイサム)は、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで名前を変え、ボートで暮らしていたが、ある日、怪しげな一団が現れて、ボスのクレイン(サム・ヘイゼルダイン)から仕事の依頼があるという。襲いかかってきた男たちを叩きのめし、リーダーの女の写真を撮ると、姿を消す。そしてタイのリペ島に現れると、師匠の娘メイ(ミシェル・ヨー)のもとを訪れる。メイが経営しているコテージの1つで女の写真を調べていると、痣だらけの女ジーナ・ソーン(ジェシカ・アルバ)がメイのところに現れ、薬をもらって行く。その夜、沖の船でジーナが男と喧嘩を始め、メイの要請で助けに向かうが、ジーナの携帯にビショップの写真が入っていることが判明。問いただすと、クレインに脅されて送り込まれたという。ビショップはジーナと親しくなった演技をしてジーナを脱出させようとするが、クレインの手下のジェレミー(ジョン・セナティエンポ)が部下とともに現れ、ジーナを連れ去ってしまう。クレイトンは3人の男を殺せばジーナを解放するというが……。

74点

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 面白かった。コテコテのB級という感じはものすごくするが、ほぼアクションのみで、最後まで一気に見せるところは見事というほかはない。ちっとも飽きさせない。ただIMDbではわずか5.9点の低評価。確かに全体のストーリーは甘いかなと。

 まあ、タイトルは邦題でもサブ・タイトルが「ワールドミッション」って「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」(The Expendables 3・2014・米/仏/ブルガリア)か。原題でもリザレクション(復活)って、「エイリアン4」(Alien: Resurrection・1997・米)とか「ハロウィン レザレクション」(Halloween: Resurrection・2002・米)もあった。最初に付けた方が大ヒットでない場合もあるが、ダメ映画はだいたいパロディのタイトルを付けるわけで、ヤバいパターン。しかし、本作はそんなことはなかった。ちゃんと、よく考ええて、もっとオリジナルなタイトルを付ければいいのに。もったいない。

 とにかく、アクション映画を撮るのは大変だ。細かくカットに割って、同じシーンをアングルを変えて、何回も撮らなければならない。しかも段取りを間違えたりすると大けがにもつながりかねないから、何回もリハーサルを繰り返さなければならない。とにかく手間がかかる。銃が不発になっても取り直しだ。普通のドラマの何倍も大変なことをやっている。しかも本作はほぼ全編アクション・シーンなのだ。そして、最後は素手の格闘技へ。

 アイディアも満載。完璧な防御を固めている悪党のボスを、どうやって男1人で乗り込んで暗殺するのか。警備の眼をかいくぐって、いかに武器を持ち込むか。そして、どうやって脱出するのか。必ずしも「事故に見せかけて」ではないような気はするが、映画的で見た目が派手な、驚くようなアイディアの数々。

 とにかくジェイソン・スイテイサムが素晴らしい。まだまだ体のキレも素晴らしいし、筋骨隆々。基本殺し屋なので悪党だが、世界を股にかけて奔走するさまは、まるで007ばり。しかも死んだと思われていた主人公のビショップが生きていたということで復活させたにしても、すでにオリジナルの「メカニック」(The Mechanic・1972・米)の雰囲気は消えているような。どちらかといえば「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)だ。まあ、リュック・ベッソンが絡んでなくて良かったなと。本作の前に「ワイルド・スピードSKY MISSION」(Furious Seven・2015・米/日)に出ていた。

 ヒロインのジーナ・ソーンはジェシカ・アルバ。すっかりB級映画のイメージが固まってしまった感じ。ヒットしたTVドラマの「ダーク・エンジェル」(Dark Angel・2000-2002・米)以降、ヒット作が無いような……。ボクが最近劇場で見たのは「シン・シティ 復讐の女神」(Sin City: A Dame to Kill For・2014・米)だったような。「キラー・インサイド・ミー」(The Killer Inside Me・2010・米/スウェーデンほか)は良かった気がするが、ダークな内容で、一般受けする作品じゃなかった。

 師匠の娘メイはミシェル・ヨー。アクションを見せてくれるかと思ったら、そういう役ではなかった。「The Ladyアウンサンスーチー ひき裂かれた愛」(The Lady・2011・仏/英)ではアクションなしで主演していた。そういえば「SAYURI」(Memoirs of a Geisha・2005・米)でもアクションなしだった。ハリウッド・デビュー作「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(Tomorrow Never Dies・1997・英/米)なんかは凄かったのに。もったいない。1962年生まれというから、ギリギリか?

 ちょっとだけ出てくる武器商人のマックスはトミー・リー・ジョーンズ。最近はBOSSのCMで宇宙人ジョーンズとしてすっかり定着してしまったが、さすがに名優、こうこう怖い役もお手の物。本作の前はリュック・ベッソンのアクション・コメディ「マラヴィータ」(The Family・2013・米/仏)でFBIの捜査官を演じていた。

 脚本はフィリップ・シェルビーとトニー・モジャーの2人。フィリップ・シェルビーはサスペンス・アクションの「サバイバー」(Survivor・2015・米/英)を書いた人。ボクは小劇場での公開だったので見なかったが、結構面白かったらしい。トニー・モジャーは短編とTVアニメは手がけているが、長編劇場作品は初めて。うむむ。

 監督はドイツ生まれのデニス・ガンゼル。ドイツで少女の青春コメディ「GIRLS★GIRLS」(Machen Machen!・2001・独)を撮って大ヒットさせ、高校での危険な実験授業の実話を描いた「THE WAVE ザ・ウェイヴ」(Die Welle・2008・独)でさらに評価を高めた。「ブラッディ・パーティ」(Wir sind die Nacht・2010・独)ではヴァンパイアを描いているが、どれも見ていない。その後、日本では劇場未公開となった作品を撮り、本作でハリウッド・デビュー。すでに新作が3本進行中らしい。はたして。

 銃は…… 最初のメッセンジャーの女が持っていたのはP230/232っぽいオート。ギャング達の中にはUSP P2000っぽいものもあった。ビショップがタイに行くと、コテージの床下からはM92。そこをPOLICEのマークをつけて襲って来る奴らはMP5を使用。ボスのクレインのボートではビショップはM92にサウンド・サプレッサーを装着して使用。なかなかマガジン・チェッンジしないなと思っていたら、オープン・ストップさせていた。武器商人マックスのブルガリア共産党ビルの狙撃では、ビショップはアキュラシー・インターナショナルの折りたたみストック付きボルト・アクション・ライフルを使用。サウンド・サプレッサーを使っていないのに、銃声が小さかった。設定では使う予定だったのかも。ギャング達はAKで武装。罠としてM60マシンガンを三脚で据え付け、自分はM4カービンと、グロックも使用。襲撃部隊はMP5やM4を装備。

 武器係りは撮影国ごとにいたようで、ボクがエンド・クレジットから見つけられたのはギデオン・マーシャルという名前だったが、IMDbではケヴィン・ゴドキンとなっていた。ニコラス・ケイジの「バンコック・デンジャラス」(Bangkok Dangerous・2008・米)でも武器係りを務めていたらしい。

 公開初日の初回、新宿の劇場は独自システムで、ムビチケは使えるものの予約に対応しておらず、本作は従来の前売り券で、金曜に往復の電車賃をかけて窓口まで行って座席を確保。ただ、ついに10/26からムビチケに対応するらしい。ということは、KINEZOに登録しないといけないのか。

 当日は10分前くらいに開場。ほぼ中高年で、若い人は1割ほど。アクション映画らしく男女比は7対3くらいで、男性が多かった。関係者らしい一団が6人ほど。最終的には251席の9割ほどが埋まった。これは見事。もっと多くの劇場でやればいいのに。

 スクリーンはビスタで開いており、気になった予告編は…… 上下マスクの「ぼくのおじさん」は松田龍平がぐうたらなオジサンを演じるドラマらしいが、内容は良くわからなかった。11/3公開。

 アンジャッシュの児島がインタビューで登場する「少女」は、湊かなえ原作のミステリーらしい。人が死ぬとこ見たいって、実際にあったような事件のようで、怖い。本田翼と山本美月の顔合わせ。もちろんアンジャッシュの児島も出ていて、演技がうまいので期待できそう。10/8公開。

 宮沢りえがビデオ・メッセージで登場する「湯を沸かすほどの熱い愛」は、また余命がらみの内容らしい。なぜか似た時期に、似た内容の作品が重なるものだ。泣きたい人向けのようで、重いなあ。10/29公開。

 アニメ「LUPIN THE THIRD血煙の石川五ェ門」はティーザーで、どういう内容なのかまったくわからなかったが、9月に「LUPIN THE THIRD次元大介の墓標」の劇場公開があり、DVDとブルーレイはすでに発売されているらしい。2/4公開で、すでにムビチケの販売が始まっている。

 上下マスクの「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は新予告か、長い版か、日本語ナレーション。なかなか面白そう。11/23公開。

 スクリーンのカーテンが左右に広がってシネスコ・サイズになって、映画泥棒のあと、暗くなって本編へ。


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