2016年10月1日(土)「真田十勇士」

2016・日本テレビ放送網/松竹/日活/D.N.ドリームパートナーズ/読売テレビ放送/電通/ポニーキャニオン/読売新聞社/ジェイアール東日本企画/オフィスクレッシェンド/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS・2時間15分

シネスコ・サイズ(デジタル、Arri Alexa、表記なし)/ドルビー・サラウンド7.1


公式サイト
http://sanada10braves.jp
(全国の劇場リストもあり)

関ヶ原の戦いから14年、天下統一を目前にした徳川家康(松平健)と豊臣家の対立が深まっていた。そんな時、名将と誉れの高い真田幸村(加藤雅也)は、抜け忍の猿飛佐助(中村勘九郎)と出会う。幸村は見た目の良さと、人の思い込みからここまでの名声を得たと打ち明けるが、何か面白いことを探していた佐助は、ダメ元で幸村を英雄にしようと決心する。そして親友の抜け忍、霧隠才蔵(松坂桃李)ら9人のつわ者を集め、十勇士として売り出し、凄い奴らだという噂を巷に流すと同時に、豊臣軍の軍議で幸村に強き気の発言をさせ、大坂城の守りの手薄な南に、幸村の手で出城を作る許可を得る。慶長19年11月19日、大阪城を包囲していた徳川軍20万の軍勢が一斉に襲いかかってくる。

73点

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 冒頭の30分くらい、観客引きまくり。そこから挽回して行くが、引いていた分、なかなか盛り上がって行かない。最後にはそこそこ感動させて痛快活劇ということにはなるのだが。だいたい冒頭の長いアニメは必要だったんだろうか。むしろない方が良かった気がする。そして、冒頭のくだらない空騒ぎ的なおふざけも。だれもノッてないのに、ひとりワル乗りという状態。後半のギャグはちゃんと面白くて笑えるのに、前半というか、前1/3くらいは別人が撮ったような滑り具合。思わず「何だこれ!?」「マンガか!?」(実際絵で、アニメだったけど)と口走ってしまうほど。ため息も出たし、眠かったし、長いよ。わざわざ字幕で「本作はアニメではありません。あと数分で実写になります」というような意味の注書きが出る。これもギャグの1つなのだろうが、滑っているよなあ。

 最初は軸があいまい。コメディに行くのか、シリアスに行くのか、フラフラと。後半シリアスが軸となり、そにこに味付け的にコメディが加わり、主に猿飛佐助がその役目を負っているわけだが、ここでちゃんと笑えるようになり、劇場にも笑い声が上がるようになって行った。もったいない。NHK的なナレーションもどうなんだろう。

 アクションは満載。ちょっとマンガ的で、ワイヤー・アクション使いまくりの不自然なアクロバティックな動きとか、デジタル使いまくりのムササビ的な忍者の飛びとか、やり過ぎはあったが、通常の範囲ではとても良かった。最近の傾向として、デジタルの血糊が飛びまくり。あれだけ血糊が飛んで、地面にはまったく落ちていないって。大砲の反動はないようだったが、火縄銃はちゃんと反動もつけていた感じ。

 とにかく、良かったのは猿飛佐助の中村勘九郎。前半はともかく、後半はあっけらかんとしたキャラクーが自然で、魅力的で、素晴らしかった。映画はあまり出ていないが、本作の前に三谷幸喜監督の「清州会議」(2013・日)にちょっと出ているくらい。ただ、スポーツ選手がよくやっている鼻腔拡張テープはどうなんだろうなあ。いい感じではあったけど。

 佐助の親友、霧隠才蔵は松坂桃李。最近は映画出まくり。ボクが注目したのは「麒麟の翼-劇場版・新参者-」(2011・日)だったなあ。わずか5年ほどでここまで売れっ子になるとは。つい最近「秘密 THE TOP SECRET」(2016・日)に出ていたばかり。

 その恋人、くの一の火垂(ほたる)は大島優子。堤幸彦作品だと「劇場版 SPEC-結(クローズ)-」(2013・日)に出ている。TVも良く出ているし、劇場映画デビューは「伝染歌」(2007・日)あたりか。ボク的にはTV深夜の「霊能力者 小田霧響子の嘘」(2010・日)が良かったかな。堤幸彦監督の「ヤメゴク-ヤクザやめて頂きます-」(2015・日)にも出ている。

 真田幸村は加藤雅也。「帝都大戦」(1989・日)は記憶に残っているが、良かったのは大川俊道監督の「NOBODY」(1994・日)。実にサラリーマンっぽかった。「クライング・フリーマン」(1996・日/仏)でも強烈な印象を残し、一時期ハリウッドで活動していたようだが、TVドラマと続く劇場版の「アンフェア」(2006-2015・日)は10年も作り続けられることになる。最近見たのは「テラフォーマーズ」(2016・日)たが、あれは作品自体がかなり残念だった。本作はいい味を出している。

 淀殿は大竹しのぶ。さすがベテラン、うまいなあと。舞台が多いような印象だが、映画にもガンガン出ている。最近「後妻業の女」(2016・日)に出ている。その前は三谷幸喜の残念なSFコメイディ「ギャラクシー街道」(2015・日)に出ていた。意外とジブリ・アニメの声優もやっている。本作はなかなか怖い役。なんでもできるんだ。

 徳川家康は特別出演の松平健、忍者くぐつのお頭は伊武雅刀。

 本作はどうやら舞台の映画化らしい。舞台の演出を手がけているのも堤幸彦監督なんだとか。脚本はマキノノゾミと鈴木哲也の2人。マキノノゾミはNHKのTV小説「まんてん満天」(2002〜2003・日)を書いた人。鈴木哲也は、どうも本作が初めての模様。舞台の脚本などを手がけているのだろうか。

 監督は、監督しまくりの堤幸彦。面白い作品もあるが、酷い作品もある。特に最近は。「ケイゾク」(1999〜2000・日)とか「トリック」(2000〜2014・日)の初期は良かったのに。本作のような痛快アクション時代劇というのなら阿部寛の「大帝の剣」(2006・日)のほうが良かった。最近見た劇場作品はちょっと?だった「天空の蜂」(2015・日)。次の劇場作品はTV放送でコケたのになぜとネットで話題になっている「RANMARU神の舌を持つ男」(2016・日)。

 公開10日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は10分ちょっと前くらいに開場。下は小学生くらいからいたが、1人か2人で、やはりメインは中高年。時代劇と言うことでか、NHKで「真田丸」をやっていても、若い世代は少なかった。男女比は7対3くらいで男性が多く、最終的には157席がほぼ埋まった。これは悪くはないと思うが、良いのか微妙。映画の日で、全作品1,100円だから、だいたいどの作品もいっぱいになっていたけど。

 スクリーンは1.66くらいのビスタで開いており、気になった予告編は…… ムービー・セレクションは中村歌昇(だったかな?)に交代。上下マスクの「RAMMARU神の舌を持つ男」は堤幸彦監督の、いろいろネットなどで騒がしい作品。なんか「トリック」みたいだったけど、どうなんだろう。12/3公開。

 上下マスクの「破門」は直木賞受賞の小説の映画化。ヤクザの話のようで、バイオレンス・コメディか。佐々木内蔵助と横山裕の顔合わせ。1/28公開。

 「PとJK」は少女漫画原作のラブコメらしい。PはポリスのPで、JKは女子高生。うむむ。3/25公開。

 佐々木希主演の「いきなり先生になったボクが彼女に恋をした」は、なんだかタイトルからして韓国映画のような雰囲気。佐々木が就職のため韓国語を学ぶらしい。11/3公開。

 上下マスクの「聖の青春」は将棋の棋士の実話。羽生名人がソックリで驚いたが、ちょっと地味なような……11/29公開。

 上下マスクの「デスノート」は新予告に。面白そうだが、果たして。10/29公開。

 驚いたことに、映写機の上下マスクでシネスコにして小さいスクリーンのまま本編へ。

 来場者プレゼントで「真田十勇士×戦国炎舞 限定コラボカード」をもらった。


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