2016年10月2日(日)「ラスト・ウィッチ・ハンター」

THE LAST WITCH HUNTER・2016・米/中/加・1時間46分

日本語字幕:丸ゴシック体下、長澤達也/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、in Panavision)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビー・サラウンド7.1、Auro 11.1、dts)

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://lwh-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

中世、ヨーロッパでは黒死病(ペスト)が大流行したが、それをばらまいたのは魔女の女王(ジュリー・エンゲルブレヒト)だった。選ばれた男たちが女王の元に送り込まれ、コールダー(ヴィン・ディーゼル)が女王を倒すが、女王の絶命寸前、呪いをかけられ不死身の体になってしまう。現在、コールダーはニューヨークで魔女ハンターとして戦い続けていた。魔女を見つけると捕まえて、教会の魔女評議会に突き出し、評議の結果、悪い魔女と判定されると教会の地下に投獄されるのだった。そんなある日、かつてコールダーと一緒に女王の元に送り込まれたドーランという神父の36代目ドーラン(マイケル・ケイン)が惨殺される。ドーランはずっとコールダーの活躍を見守り、記録を付けるのが仕事だった。代わりに新たな37代目ドーラン(イライジャ・ウッド)が任命されるが、コールダーは36代目ドーランの遺体を調べ、死んだのではなく呪いをかけられたことをに気付く。助けるには2日以内に呪いをかけた相手を殺さなければならなかった。

74点

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 まさに「とんでも」なストーリー。完全なおとぎ話の世界。リアリティなんてこれっぽちもないファンタジーだが、まじめに、ていねいに、情熱を持ってちゃんと作っている感じが伝わってきて、楽しめる。何より、魔女がまがまがしくてホラー的に怖い。しかも、こんな「とんでも」話なのに、ヴィン・ディーゼル、マイケル・ケイン、イライジャ・ウッドといった名優が出ている。ここがまた、すごい。脚本を読んで、また監督の手腕を信じて、出演を決めたということか。これも見どころ。

 とにかくていねいに撮っている。派手なSFX、3D-CGは使われているが、これ見よがしでもなく、エフェクトだけが立っているわけでもなく、実に自然にストーリーに溶け込んでいる。怖がらせるのも、派手なエフェクトや驚かすような突然の大きな音でもなく、正当な方法でやっている。そこに好感が持てる。そして本当に不気味で怖い。雰囲気作り、世界観がしっかりとできている。

 加えて、ヴァンパイア・ハンターとかヴァンパイア・キラーじゃなくて、ウィッチ・ハンターなのがいい。もうヴァンパイアは聞き飽きて、見飽きた。ウィッチ・ハンターが不死身になったのもちゃんと説明され、それがどう繋がってくるのかもハッキリ説明され、納得が行く。それそれのキャラクターもしっかり描かれていて魅力的、それぞれの関係性も良くできている。

 コールダーは「ワイルド・スピード」(Fast & Furious・2001〜・米)シリーズのヴィン・ディーゼル。本作でプロデューサーも務めている。SFアクション「ピッチプラック」(Pitch Black・2000〜・米)もシリーズ化されたが、良かったのは第1作。もう1つ人気シリーズがあって、スパイ・アクション「トリプルX」(xXx・2002〜・米)は、第2作で主役が代わったためか劇場公開されなかったものの結構面白かったし、第3作で復帰して今ポスト・プロダクション中。「ワイルド……」では暗に

 36代目ドーランはマイケル・ケイン。アカデミー賞受賞の名優がこんなB級に? とはいえ、昔から大作に出る傍ら、低予算のB級にも良く出ていた。最近だと「バットマン ビギンズ」(Batman Begins・2005〜・米/英)シリーズの執事アルフレッド役が有名だが、「グランド・イルージョン」(Now You See Me・2013・米/仏)シリーズでも同じ役を演じている。ボク的には「ウォルター少年と、夏の休日」(Secondhand Lions・2003・米)のおじいちゃん役なんか良かったなあ。また「デンジャラス・ビューティー」(Miss Congeniality・2001・米)は笑わせてくれたし、「サイダーハウス・ルール」(The Cider House Rules・1999・米)は実に感動的で泣かせてくれた。

 37代目ドーランはイライジャ・ウッド。「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001〜2003・ニュージーランド/米)シリーズのフロド役で世界的に有名になったが、最近はB級が多い感じ。ボク的にはSFホラーの「パラサイト」(The Faculty・1998・米)や、もっとさかのぼると感動ファンタジー「ラジオ・フライヤー」(Radio Flyer・1992・米)が良かったなあ。最近は「ゾンビスクール!」(Cooties・2014・米)に出ていたらしいが見ていない。

 脚本はコリー・グッドマン、マット・サザマ、バーク・シャープレスの3人。コリー・グッドマンはB級ながらなかなか面白かったポール・ベタニーの「プリースト」(Priest・2011・米)を書いていて、本作は2本目とか。マット・サザマとバーク・シャープレスは一緒に本作の前に「ドラキュラZERO」(Dracula Zero・2014・米/日)を書いていて、本作の後に残念な「キング・オブ・エジプト」(Gods of Egyp・2016・米/豪)を書いている。そして2018年にはTVで「宇宙家族ロビンソン」(Lost in Space)をリメイクするらしい。うむむ。本作の場合はコリー・グッドマンが最初にクレジットされているから、最終的にまとめたのはこの人かも。それで形になったとか。

 監督はブレック・アイズナー。TVの仕事が多いようだが、痛快活劇「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(Sahara・2005・英/西ほか)を監督した人。批評家の批評が良くなかったのかIMDbでは6.0点。面白かったけどなあ。このあと「13日の金曜日」をリメイクするらしい。

 銃はラストの方でレミントンM870のソードオフ・タイプ・ショットガン、モデルまでわからなかったがシルバー・スライドのオートマチックが登場。

 公開3日目の初回、といっても午後だが、六本木の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は10分ちょっと前くらいに開場。意外なことに、割と若い人も多かった。たぶん1/4くらい。メインはもちろん中高年。男女比は6対4くらいで、これも意外と女性が多かった。なぜなんだろう。最終的には101席の9割くらいが埋まった。キャパが小さいけど、映画の日の翌日は反動で少なくなることが多い中、立派なのかも。

 スクリーンは1.66くらいのビスタで開いており、ちょっと古いためか場内が明るい時はよく見えなかったが、んな中、気になった予告編は…… 「東京国際映画祭」かあ。昔は新宿ミラノとかでもやっていたような気がするけど、もはや劇場がないとは。おいおい、ケータイ点けるなよ。まぶしい!!

 「恋妻家宮本」は阿部寛は天海祐希の顔合わせによる映画オリジナル作品。脚本・監督は「家政婦のミタ」や「女王の教室」を書いた遊川和彦だとか。浅い色だったが…… 1/28公開。

 「永い言い訳」はなんだか重い話っぽかったが、ラブ・ストーリーなんだとか。うーん、10/14公開。

 暗くなって、スクリーンが左右に広がって本編へ。


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