2016年10月8日(土)「ジェイソン・ボーン」

JASON BOURNE・2016・英/中/米・2時間03分

日本語字幕:手描き風書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(by Panavision)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビーAtmos、DATASAT、12トラック・デジタル・サウンド、Auro 11.1〈中国のみ〉も)

(英12A指定、米PG-13指定)(IMAX上映、4D上映もあり)

公式サイト
http://bourne.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

姿を消した、かつての殺人マシーン、ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、ギリシャで賭けストリート・ファイトに明け暮れていた。そのころアイスランドのレイクキャビクのCIAの施設に、かつてジェイソンのハンドラーだったニッキー・パーソン(ジュリア・スタイルズ)が侵入してハッキング、ジェイソン・ボーンに関する機密ファイルをダウンロードする。そこにはジェイソンの父親に関するファイルも含まれていたことから、ニッキーはジェイソンにファイルを渡そうとするが、CIAはすぐに察知。これから実行される予定の「アイアンハンド計画」のファイルも含まれていたことから、ロバート・デューイ長官(トミー・リー・ジョーンズ)は2人の射殺許可を出す。作戦を担当するのは野心あふれる新人の女性エージェント、ヘザー・リー(アリシア・ヴィカンダー)。襲撃チームにはジェイソンに個人的な恨みを持つアセット(ヴァンサン・カッセル)もいた。

72点

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 うーむ、これは…… 内容うんぬんの前に、シネスコなのにカメラ動かし過ぎ。目が回って、映画の間中ずっと軽い車酔い状態。気持ち悪い。IMAXとか4Dとかで見たらどうなるんだろ。

 とにかく一瞬たりとも(1、2カットはフィックスがあったようだが)カメラが止まらない。基本揺れ続ける。手持ち撮りした感覚なのだろうか。加えてズーム、パン…… とにかくじっとしていない。落ち着かない子供のよう。カンに障る。これはよく新人監督が陥る罠。ところが、ベテラン監督がやるとはねえ。

 せっかくの体を張った格闘技も、緊迫の銃撃戦も、目を見張るようなカー・アクションも、すべて動きまくるカメラで台無し。何が起きているのか、さっぱりわからない。これではストーリーが入ってこない。公式サイトに「ストーリー」のページがないのはそういうことか。

 CIAスタッフの中に目立つ中国人がいて不自然だなあと思ったら、製作国に中国が入っている。これまたそういうことか。

 ボクにとっては「ジェイソン・ボーン」シリーズは第1作目のみかなあ。

 ジェイソン・ボーンはもちろんマット・デイモンで製作も兼ねる。ボク的には久々の残念な作品という感じがするが、本作の前には本格的SFの「オデッセイ」(The Martian・2015・米/英)に出ていた。良い作品に恵まれているというか、見る目があるというか。

 今回のヒロイン的存在、新人の女性エージェント、ヘザー・リーはアリシア・ヴィカンダー。スウェーデン出身で、「コードネーム U.N.C.L.E.」(The Man from U.N.C.L.E.・2015・米/英)に重要なロケット学者の娘役で出ていたはずだが、ほとんど印象に残っていない。しかもその時はアリシア・ヴィキャンデルと表記していた。また話題作「リリーのすべて」(The Danish Girl・2015・英/米ほか)にも出ていて、さらにマイナー公開だったが見たかったSF「エクス・マキナ」(Ex Machina・2015・英)にも出ているなど、最近出まくり。公開を待っている作品も目白押し。すごいなあ。

 ボーンを敵とつけ狙う工作員アセットはヴァンサン・カッセル。怖い感じがいい。やっぱり悪役が多いようで、ボクが最近見たのはショッキングなミステリー「チャイルド44 森に消えた子供たち」(Child 44・2015・チェコ/英ほか)だったかと。その前の実写版「美女と野獣」(La belle et la bete・2014・仏/独)の野獣も良かったなあ。

 CIAのボスもロバート・デューイ長官はトミー・リー・ジョーンズ、日本ではもうすっかりCMの宇宙人ジョーンズとして定着した感じで、良いオジサンという感じだけれど、やっぱり悪役をやらせると怖い。つい最近「メカニック:ワールドミッション」(Mechanic: Resurrection・2016・仏/米)にちょっとだけ武器商人役で出ていたばかり。

 製作・監督・脚本はポール・グリーングラス。ドキュメンタリー出身の人なので、ドキュメンタリー・タッチをだそうとカメラを動かすことが多い人。実話の9.11のテロを描いた「ユナイテッド93」(United 93・2006・米/英/仏)などは、それが効いている。アクション物が多いが、カメラを動かさないでくれると良いんだけどなあ。本作の前に、これまた実話の「キャプテン・フィリップス」(Captain Phillips・2013・米)を撮っている。

 もう1人の脚本は、編集も兼ねるクリストファー・ラウズ。シリーズ第2作の「ボーン・スプレマシー」(The Bourne Supremacy・2004・米/独)あたりからずっとポール・グリーングラス作品の編集を手がけてきた人。脚本としては初めてのクレジット。

 銃は…… ボーンが隠している銃にグロックやP226Rがあったが、ボーンはP226Rを選ぶ。工作員のアセットはFN SCARをスナイパー・ライフルとして使う。USPもちらりと出てくるが、IMDbによると実銃プロップではなく、投げたりアクション・シーンで使うレジンでキャストしたものらしい。CAIのチームは、銃はわからなかったが、サウンド・サプレッサーも使っていた。ベガスではSWATがM4カービンを使っていた。

 武器係りはロケ地ごとにいるようだが、キー・アーマラーはデヴィッド・フェンクルとあったと思うが…… そしてロケ地ごとのアーマラーの1人に、セル・リードもいた。

 公開2日目の通常字幕版、初回、新宿の劇場は20分ちょっと前くらいに開場。観客層はほぼ中高年で、若い人は1割ほど。男女比は半々くらい。15分前で30〜35人くらいだったが、最終的には200席がほぼすべて埋まった。だいたいムビチケカードで金曜に座席を確保した時点で8〜9割くらいは埋まっていた。当日朝は残席わずかの表示。前人気は高いんだなあ。ボクも期待していたけど。でも、これからクチコミで増えることはないだろう。IMAXやMX4Dは酔うんじゃないかなあ。

 気になった予告編は…… 四角の枠付き「本能寺ホテル」はエレベーターが繋がっている凄いホテルが舞台。雰囲気としては「プリンセストヨトミ」(2011・日)にソックリだなあと思ったら、綾瀬はるか、堤真一、鈴木雅之監督という同じ顔合わせのよう。ティーザーなので内容はまったくわからなかったが。1/14公開。

 枠付き「バイオハザード ザ・ファィナル」は新予告なのか、ちょっと長いのか、微妙に新しいカットがあったような。どんな話になるんだろう。面白そうだが、ヤバい予感も少し。12/23公開。

 「ローグ・ワン」「ファンタスティック・ビースト」「ジャック・リーチャー」「インフェルノ」「スター・トレック」などこれまでの予告の繰り返し。

 枠付きの「ザ・ギフト」は怖そうで面白そうなのに、前売りの発売なし。多くの人に見て欲しくないのか、出来が悪いのか。10/28公開。


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