2016年10月23日(日)「スター・トレックBEYOND」

STAR TREK BEYOND・2016・米・2時間02分

日本語字幕:丸ゴシック体下/シネスコ・サイズ(ビスタに上下マスク上映、デジタル、with ARRI)/ドルビーATMOS

(米PG-13指定)(IMAX版、3D上映、4D上映もあり)

公式サイト
http://www.startrek-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

深宇宙探査に向かって航海を続けるUSSエンタープライズ号。艦長のジェームス・T・カーク(クリス・パイン)は自分の誕生日と父の命日を同時に迎え、このままでいいのか悩んでいた。そんな時、宇宙基地ヨークタウンで1人の女性宇宙人カラーラ(リディア・ウィルソン)から救助要請を受ける。探査船で未知の星雲を調査中、未知の宇宙人に襲われ、クルーが全員捕らえられ、自分だけ脱出ポッドでからくも逃れてきたという。カークは自分のクルーたちを危険にさらすことになるため迷うが、救出に向かうことを決断する。

74点

1つ前へ一覧へ次へ
 リブートしてからの劇場作品前2作とは、ちょっと雰囲気が変わった。監督が変わったからだろうが、ユーモアというよりギャグとファンタジーの要素が強くなった印象。これは、オリジナルのTVドラマ版に近づいたということかもしれないが、ファンの評価は分かれるかもしれない。ボクは前2作の方が面白かった派なので、本作はあまり楽しめなかった。1960年代の最初のTVシリーズのファンは本作の方が懐かしくて面白いかもしれない。また中国のネット企業「アリババ」が出資しているようで(ドバイの企業も出資しているようだが)、中国人らしい俳優がちょくちょくスクリーンに登場していた。カトーはヒカル・スールーとなって、ヒカルが消えて、ジョージ・タケイから完全に中国人になってしまったし……。本作ではかなり活躍する。

 冒頭、未知の宇宙人らしい相手との交渉のギャグは、ちょっとオチも見えてあまり笑えず、ここでノレなかったため、ずっとノレない感じだったが、ノレた人は多分OK。ただし、本作もカメラが動きまくりで、どうにも集中できなかった。カメラが止まっていたのは122分中2〜3秒あったかどうかという印象。落ち着いて話せよ、と。手持ちカメラのような不規則な揺れではないのだが、パン、ティルト、トラッキング、クレーン、ステディスムと、滑らかだが動きまくりシネスコだぞ! 軽く目が回り、催眠術に掛けられたように眠くなった。もっと動いていたら車酔いのようになっていたかも。3D上映や4D上映ではどうなるんだろうか。ボクはダメだ。

 それにしても、リアルな路線を狙っていないとしても、冒頭の宇宙人との交渉で、1回失敗しただけで諦めて、次のミッションに向かうというのはどうかなあ。普通は解決させてから次だろう。それもノレなかった理由のひとつ。また、最初にタイトルが出ず、テーマ曲も流れなかった。すべてラストに。それもなあ……全部アバンか?

 特殊効果やビジュアルは、2人乗りのバイクを追いかけるカットを除いて素晴らしく、見る価値のアルミの。スケールも大きい。合成は見事としか言いようがない。音もきれいで、聞きやすく、音楽も良い。ただノレなかった。

 ラスト、TVシリーズの写真が出てきて懐かしさがあふれた。そして字幕で2015年に亡くなったレナード・ニモイと、2016年6月に亡くなったチェコフ役のアントン(イェルチン)に捧ぐと出る。

 出演者は前作から皆続投。主演のジェームス・T・カークはクリス・パイン。つい最近「ザ・ブリザード」(The Finest Hours・2016・米)に出ていた。本作ではとにかくカッコいい。これから公開される「ワンダーウーマン」(Wonder Woman・2017・米)にも出ているらしい。

 新しいキャラクターとして登場する、白い顔に黒い線の入った女性戦士というかサバイバー、ジェイラーはソフィア・ブテラ。「キングスマン」(Kingsman: The Secret Service・2014・英/米)で悪の凄腕の美人殺し屋を演じていた人。なるほど、そういう配役か。本作でも見事な戦いを見せてくれる。

 敵のボスはイドリス・エルバ。宇宙人メイクで誰だかわからなかったが、人間の生気を吸い取って人間に戻ると顔が出る。アニメの声をやっていたりもするが、最近だとショーン・ペンのアクション「ザ・ガンマン」(The Gunman・2015・米/西ほか)に出ていた。

 脚本はスコッティを演じているサイモン・ペッグとダグ・ユングの2人。ダグ・ユングは中国系の人のようで、アメリカのTVドラマ「DARK BLUE/潜入捜査」(Dark Blue・2009-2010・米)シリーズなどの脚本を書いて高い評価を受けている。

 監督は台湾出身のジャスティン・リン。「ワイルド・スピード」シリーズを第3作から手がけている人で。最新作は「ワイルド・スピード EURO MISSION」(Furious 6・2013・米)。そのあとTVを手がけて本作へ至るらしい。カメラを動かさなければいいのに……。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで金曜に確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は、下は中学生くらいから、上は中高年まで、割と幅広かったがメインは高寄り。オリジナルは1960年代のTVだからなあ。男女比は6対4くらいで男のほうが多かった。まあ順当か。最終的には200席に6割くらいの入り。うむむ。ただ、真ん中当たりのプレミアム・ボックス・シートは8席だか9席がすべて埋まった。

 気になった予告編は…… だいたい見た予告ばかりだったが、四角の枠付き「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」は新予告になったというので期待していたら、上映されたのは古いものだった。あらら。公式サイトから見ることができる。父と娘の物語か。とにかく凄そう。そして「インフェルノ」(Inferno・2016・ハンガリー/米)の女優さんと一緒(フェリシティ・ジョーンズ)だと思うが、予告編の範囲では、こちらのほうが断然輝いていて、魅力的に見える。「アウトバーン」(Collide・2016・英/独)じゃあ、お馬鹿な留学生だったもんなあ。12/06公開。

 暗くなって、フル・スクリーンのシネスコで本編へ。


1つ前へ一覧へ次へ