2016年11月5日(土)「デスノート Light up the NEW world」

DEATH NOTE Light up the NEW world・2016・日本テレビ放送網/集英社/ホリプロ/ワーナー・ブラザース映画/松竹/讀売テレビ放送/バップ/日活/電通/Hulu/D.N.ドリームパートナーズ/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS/日本テレビ系全国21社・2時間15分

日本語字幕:手描き風書体下/シネスコ・サイズ(表記なし、デジタル、ARRI)/ドルビー・デジタル(表記なし)

(一部日本語字幕上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote2016/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

前回の事件から10年後、大量殺戮を気に入った死神大王は、キラ(藤原竜也)の後継者を見つけるために新たに6冊のデスノートを人間界に落とす。ロシアやアメリカで不審死が増加する中、日本の渋谷で大量無差別殺人が発生、デスノート対策本部の三島(みしま、東出昌大)のチームは現場へ急行すると、フードを被った怪しい少女も青井さくら(川栄李奈)を発見して追跡する。しかし確保する前にデスノートによって殺され、ほかにもデスノートがあることが判明する。さらに回収したデスノートの所有者である死神のベポ(声:松坂桃李)から、6冊のデスノートがあることがわかる。しかも人間界には6冊までしか存在できないという。そこで、6冊をすべて回収し保管すれば、これ以上デスノート事件は起こらないと、戦略を立てる。そんなとき世界中のパソコンやスマホがキラの映像が配信されるウイルスに感染、個人情報が抜き取られるという事件が発生する。

74点

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 実に面白い設定。つまりは原作の面白さなのだろうが、デスノートにはその使い方を制限するルールがありながら、巧妙にそのルールを利用しながら、考えもしなかった方向に物語を転がして行き、鮮やかに解決して見せる。演出も適切で、ハラハラドキドキ、先を読ませず、120分を超える長丁場をまったくダレさせることもなく、最後まで緊張感を持って見せる。しかもラストには感動まで。続編とは思えない、タイトな作り。ただその展開がご都合主義というか、行き当たりばったりで、前作のような天才の頭脳戦という感じはしない。偉ぶっているばかりで、成り行き任せという感じなのはどうなんだろう。

 前作(前後編)ではデスノートが英語表記なのが引っかかったが、本作を見ると、最初は不明の言語(クレジットでは死神文字デザイナーがいた)で書かれているが、拾った者に合わせて変わるようなことがほのめかされている。原作ではそうなのだろう。ただ前作では描かれていなかった。逆に「死神の目」の説明はない。「自分の寿命の半分と引き替えに、顔を見た相手の寿命と本名が見えるようになる」のだが、何となくはわかる。だから偽名の捜査員達たちは、マスクとサングラスで顔を隠している。また、デスノートに触れると、それを所有している死神が見えるようになるとか、人間に対しその寿命を延ばすためにデスノートを使用すると死神は死ぬ、デスノートは6冊までで7冊目は効力を持たない、などといったルール設定が興味深く、面白い。

 そして、6冊のデスノートが人間界に落とされ、それぞれに死神がいるわけだが、新たに2人(?、柱)が登場する。黒いリュークのほかに、金色のベポ、真っ白なアーマだ。どれも不気味なのに魅力的。その造形の面白さがまた見事なのだ。しかも3D-CGで作られたそれらはリアルで、存在感があり、画面にまったく違和感がない。実際にそこにいるかのよう。動きも自然で、作り物っぽくない。すごいなあ。セリフと口の動きはあまり合っていなかったようだけど。

 デスノート対策本部の三島は東出昌大。最近TVはもちろん、良く映画にも出ている。「寄生獣」(2014・日)に出ていたなと思ったら、つい最近「クリーピー偽りの隣人」(2016・日)に若手刑事役で出ていた。

 Lの後継者、竜崎は池松壮亮。なんとデビューはハリウッド映画の「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米/ニュージーランド/日)らしい。トム・クルーズに父を殺されながら慕うことになる少年を演じていた。その後多くの作品に出ているが、ボクがみたのは、ちょっと残念な「バンクーバーの朝日」(2014・日)あたり。強く印象に残ったのは「劇場版MOZU」(2015・日)。

 キラの後継者、紫苑優輝(しえんゆうき)は菅田将暉。今やTVやCMに映画にと、引っ張りだこ。仮面ライダーでデビューしたそうで、ボク的には松坂桃李も注目された「麒麟の翼 劇場版・新参者」(2012・日)のリアルな学生4人組の1人が印象に残っている。最近だと「映画暗殺教室」(2015・日)が良かった。今年はほかに「暗殺教室〜卒業編〜」(2016・日)、「セトウツミ」(2016・日)、「何者」(2016・日)に「溺れるナイフ」(2016・日)など出まくり。

 死神の声は、リュークが前作から引き続き中村獅童、ベポが松坂桃李、女性のアーマがアニメ声優の沢城みゆきという配役。

 原作はコミック累計発行部数3,000万部という大ヒット作。元は2003年に週刊少年ジャンプ(集英社)に掲載された小幡健・作画、大場つぐみ・原作の読み切り漫画なんだとか。その後、3年間連載された。

 脚本は真野勝成。TVの「相棒Season 12」(2013-2014・日)シリーズ以降を書き、ほかに「ST 赤と白の捜査ファイル」(2014・日)や「刑事七人」(2015・日)など、TVの警察ものが多い印象。なるほど。

 監督は自主映画出身の佐藤信介。素晴らしい痛快SFアクションの「修羅雪姫」(2001・日)の監督・脚本をやった人。その後「県庁の星」(2006・日)の脚本、「GANTZ」(2010・日)の監督などを務める。最近では「図書館戦争」(2013・日)やちょっと残念な「万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-」(2014・日)、「アイアムアヒーロー」(2015・日)を手がける。いずれもアクションが巧い印象。

 銃は、デスノート対策チームがP226R、竜崎がなぜかコンペンセーターとちょい長いマガジンが付いたフルオートも可能な1911ガバメント、特殊部隊のSATがM4。冒頭の渋谷のシーンではガバメントのハンマーはダウンしていたが、後半はちゃんとコックされていた。M4はトレーサーを使っているという設定か、銃撃戦では弾道がわかるようになっていた。銃器特殊効果はビッグショット。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は原作が漫画ということでか、下は中学生くらいから、上は中高年まで幅広かった。メインは20代から40代くらいの感じ。男女比は半々くらい。若手俳優が出てるしなあ。最終的にはプレミアム席ありの407席に3割くらいの入り。あれれ、意外。プレミアム席には2人。うむむ。

 気になった予告編は…… シネマ・チャンネルのハリウッド・トピックスでは、四角の枠付き「キングコング:髑髏島の巨神」ついに。映像付きで、島の崖に巨大な手の跡が……。いずれはゴジラと戦うなんて噂も。キャストのインタビュー付き。3/25公開。

 枠付きの「パッセンジャー」は、ジェニファー・ローレンスとクリフ・パットのSF。宇宙船で航行中、120年眠るはずが、2人だけが30年で目覚めてしまい…… というお話らしい。面白そう。3/24公開。日本の公式サイトはまだない模様。

 枠付きの「美女と野獣」はエマ・ワトソンが美女を演じる実写版。すでにフランスの実写版「美女と野獣」(La belle et la bete・2014・仏/独)があるけど、ハリウッドは認めないの? 4/21公開。

 左右マスクの「ワイルド・スピード8」は、ヴィン・ディーゼルのインタビューとメイキング映像での予告。でも、撮影が終わった後、ドゥエイン・ジョンソンが「プロじゃないヤツがいた」とかなんとか言って物議を醸していたけど…… 2017年GW公開。公式サイトはまだない模様。

 通常の予告では…… 枠先の「土竜の唄 香港狂騒曲」は新予告。まさか続編があるとは思わなかったが、お下劣度はさらにエスカレートした感じ。12/23公開。公式サイトはクッキーをオンにしないと見られない。

 枠付き「バイオハザード:ザ・ファイナル」も新予告に。うむむ、早く見たい。12/23公開。

 枠付き「ミュージアム」も新予告に。これも楽しみだが、初日は新宿と丸の内のピカデリーで舞台挨拶があるそうで、混むんだろうなあ。何とチケットは完売とか。11/12公開。

 暗くなって、シネスコのフル・スクリーンで本編へ。


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