2016年12月17日(土)「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

ROGUE ONE: A STAR WARS STORY・2016・米・2時間13分(IMDbでは134分)

日本語字幕:手描き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、デジタル、Arri ALEXA65)/ドルビーAtmos(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、12トラック・デジタル・サウンド(IMAX)も)

(米PG-13指定)(3D上映、4D上映、IMAX 3D版もあり)

公式サイト
http://starwars.disney.co.jp/movie/r1.html
(全国の劇場リストもあり)

優秀な科学者のゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)は帝国軍のオーソン・クレニック将軍(ベン・メンデルソーン)によって、惑星さえも破壊できる究極の兵器デス・スターを完成させるため連れ去られる。そのとき護衛隊のデス・トルーパーによって妻のライラ・アーソ(ヴァレン・ケーン)が殺害され、1人娘のジン・アーソ(ビュー・ガドソン)はからくも逃げ延び、ゲイレンの友人の反乱軍の戦士ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)に助けられる。月日が流れ、すっかりの成長し大人になったジン・アーソ(フェシリティ・ジョーンズ)は、一匹狼のアウトローとして捕らえられ、ウェバニ労働収容所に収容されていた。そこをキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)率いる反乱軍が襲撃、ジンは救出される。そのころ、ゲイレンのメッセージを託された1人の帝国軍パイロット、ボーディー・ルック(リズ・アーメッド)が帝国軍を脱走し、反乱軍にそのメッセージを伝えるが、その真偽をソウ・ゲレラに元老院で証言してもらわなければならなかった。しかし過激なゲリラ活動をしているソウ・ゲレラの居所は誰も知らず、ゲレインの娘であり、ソウ・ゲレラに育てられたジンに取り次いでもらうしかなかった。

85点

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 感動した。このほろ苦い感じはちょっと大人の「スター・ウォーズ」といったところか。あらためて「スター・ウォーズ」は、SFファンタジーだけれど、戦争映画なんだと認識させられた。敵も味方も死ぬ。多くの命が失われ、町が破壊される。仲間を助けるために犠牲になる。仲間を助けるために汚い仕事もやる。誰もやりたがらないことをやる。そして冷血きわまりない悪役がいて、絶対的な力を持つダース・ベイダーもいる。まったく歯が立たない。そういう映画。圧制と反乱。もちろんオリジナルを尊重しており、ベースはごっこ的なSFファンタジーだけれど。

 人によって見方は違うだろうが、ボクにとっては以前のエピソード1〜3よりはずっと、エピソード4につながる「スター・ウォーズ」らしい「スター・ウォーズ」だった。しかも直接、直前のところにつながる。エピソード4の中でも「多くの犠牲が払われた」とこうようなことを設計図を手に入れた反乱軍の最高司令官モン・モスマ(イメージそっくり)が言っていたと思うが、それがこれなのだと。片道切符の決死隊の話。無愛想なロボットのK-2SOが泣かせる!

 死を覚悟した時、すべてのローグ・ワンのメンバーが、ニヤリと笑う。自分の使命を果たし、運命を受け入れる。それがまた感動的。ただ、反乱軍のこういった抵抗戦はテロに近い部分もあり、現代と重なる。それが正義かどうかは、後になってみないとわからない。ここも怖い。

 また、驚かされるのは、反乱軍の女性の最高司令官モン・モスマもそうだが、帝国軍のモフ・ターキンも、CGだろうがピーター・カッシングそっくりで、R2D2とC3POも出てくるし、レイア姫もCGによって若い頃のキャリー・フィッシャーそのまま。そして、テクノロジーが進化しても自制した使用で後の話よりドロイドなどが進歩しているということもなくちゃんと古くさくなっている。だから時間の流れがちゃんと伝わってくる。1〜3は嬉々として3D-CGを使いまくっている感じだった。

 そして、3D版で見たが3Dはいるかなあと。「アバター」(Avatar・2009・米/英)のように、空中戦があっても鳥のような生物が飛ぶことで速度を抑えられていたから3Dの効果があったが、宇宙船やジェット機系の戦闘機が飛び交う空中戦は速すぎて3Dの認識が間に合わない。むしろじゃまに感じた。IMAXはいいかも。でも作品をじっくり見て楽しみたければ2Dがいのでは。

 でも3Dに奥に進んで行く「昔、昔、遠い銀河の果てで……」ととかいう文字は出ないんだ。本線じゃないからかなあ。ちょっと残念!

 ジンはフェシリティ・ジョーンズ。つい最近「インフェルノ」(Inferno・2016・米/ハンガリー)に出ていたばかり。その前にはB級アクションの「アウトバーン」(Collide・2016・英/独)に出ていて、「博士と彼女のセオリー」(The Theory of Everything・2014・英/日)ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたという。一見かよわそうな美人なのに、意志の強そうな感じが良いのかもしれない。

 キャシアン・アンドーはディエゴ・ルナ。どこかで見たことある、という感じ。調べてみるとマーク・ウォールバーグのアクション「ハード・ラッシュ」(Contraband・2012・米/英/仏)や、マット・デーモンのSFアクション「エリジウム」(Elysium・2013・米)に出ている。

 盲目の戦士、チアルート・イムウェはドニー・イェン。香港映画時代は出演作がよく日本でも公開されていたが、中国映画となってからは限定公開が多くほとんど見ていない。ボクが最後に見たのは金城武と共演した「捜査官X」(武侠・2011・香/中)あたり。映画好きの、良い人なんだと思う。アクション監督を務めることも多い。これから公開される「トリプルX:再起動」(xXx: Return of Xander Cage・2017・米)にも出ている。ちょっと楽しみ。

 チアルート・イムウェの相棒という感じのベイズ・マルバスは中国のチアン・ウェン。監督も脚本もやる人で、過去に文化大革命に翻弄される大傑作青春映画「太陽の少年」(陽光燦爛的日子・1994・中/香)を撮り、香川照之が出た「鬼が来た!」(鬼子來了・2000・中)も製作している。いい味を出しているなあ。

 いまやアメリカの劇場数を上回ったという巨大な中国映画市場で、上映を許可される外国映画枠内に食い込むには、中国が出資しているとか、中国人が出ているとか、いくつかの条件が合って、ハリウッド映画に中国人俳優が良く出てくるようになっているらしい。うむむ……。「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)シリーズの原型は日本の黒澤明監督に大傑作「隠し砦の三悪人」(1958・日)であり、ハリウッドもそれを認めていながら、日本人俳優を使わないというのは……。

 どこか人間っぽいロボット(ドロイド)のK-2SOの声は、アラン・テュディック。傑作リメイク西部劇「3時10分、決断のとき」(3:10 to Yuma・2007・米)に出ていた人で、ちょっと悪役が多いかなと。アニメの声もよくやっている。最近だと「ベイマックス」(Big Hero 6・2014・米)や「ズートピア」(Zootopia・2016・米)をやっている。実写では「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(Trumbo・2015・米)が日本での最新のようだが、見ていない。

 ジンの育ての親となるソウ・ゲレラにフォレスト・ウィテカー。この人も名優で、もはや大ベテランの域。最後に見たのは残念な続編「96時間/レクイエム」(Taken 3・2014・仏)だったろうか。怖い役はかなり怖いが、いい味を持っている人。

 帝国軍のオーソン・クレニック将軍はベン・メンデルソーン。味方をも陥れかねない見事な悪役。傑作バットマン映画「ダークナイトライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)に出ていて、「エクソダス:神と王」(Exodus: Gods and Kings・2014・英/米/西)にも出ていた。

 父の科学者ゲイレン・アーソはマッツ・ミケルセン。デンマーク出身の人で、「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royale・2006・英/チェコほか)では敵のボス、ル・シッフルを演じていた。またポール・W・S・アンダーソン監督の「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行」(The Three Musketeers・2011・独/仏/英)ではロシュフォールを演じていた。

 もちろんダース・ベイダーの声はジェームズ・アール・ジョーンズ。ちょっと声が変わった気はしたが、素晴らしい低音。1931年生まれというから、今年85歳!

 脚本はクリス・ワイツとトニー・ギルロイの2人。クリス・ワイツはプロデューサーとしてのクレジットが最も多いが、監督でもあり、残念な「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(The Golden Compass・2007・米/英)の脚本も担当し、IMDbで4.6点という体評価の「ニュームーン/トワイライト・サーガ」(The Twilight Saga: New Moon・2009・米)を撮っている人。なぜ脚本を任せた?! たぶんつい最近書いた「シンデレラ」(Cinderella・2015・米/英)が堂々たる正統派のおとぎ話で大変良くできていたからだろうなあ。

 トニー・ギルロイは、面白かったミステリー・アクション「ボディ・バンク」(Extreme Measures・1996・米)や誘拐ビジネス・アクション「プルーフ・オブ・ライフ」(Proof of Life・2000・米)を書いた人。人気の「ボーン・アイデンティティー」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)シリーズもずっと書いている。アクション系が巧い人のようだ。

 監督はギャレス・エドワーズ。特殊効果出身で、小劇場公開で見ていないが低予算ながら高い評価を得たSF「モンスターズ/地球外生命体」(Monsters・2010・英)の監督・脚本・撮影で注目された人。その後、渡辺謙が出た「GODZILLA ゴジラ」(Godzilla・2014・米/日)を撮っている。それをプロデューサーのキャスリーン・ケネディが高く評価したらしい。

 銃は基本SFブラスターだが、ベースには実銃が使われている。基本、帝国軍の兵士、ストーム・トルーパー(白)やデス・トルーパー(黒)はスターリングSMGとMG34マシンガン・ベース。反乱軍サイドはM16/M4ベース。ジンはルガーP08ベースのハンドガンと特殊警棒のようなものを使っていた。

 タイトルはプロローグとカイル・クーパー。

 公開2日目の3D字幕版ATMOSでの初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケ券で確保。当日は15分前くらいに開場。若い人から中高年まで、年齢層は幅広かったが、やはりメインは中高年。男女比は8対2くらいで圧倒的に男性が多かった。まあ戦争映画だからなあ。最終的には499席に8割くらいの入り。プレミアム席はすべて埋まった。さすが話題作。IMAX版や4D版、および2D字幕版は満席が続出していた。

 気になった予告編は…… 左右マスクのアニメ「メアリと魔女の花」はジブリで「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を手がけた米林宏昌監督作品。宮崎アニメっぽいが果たして……夏公開。

 左右マスクのアニメ「名探偵コナンから紅の恋歌」はTVでも人気で、最新劇場版。やっぱり劇場でもアニメは人が入るということなのだろう。4/15公開。

 四角の枠付き「美女と野獣」は新予告に。やっぱディズニー版はポットやティー・カップがしゃべるんだ。アニメ版をそのまま実写にした感じなのだろうか。とにかく豪華で凄そう。4/21公開。ムビチケカードの販売はあるのか?

 枠付き「トリプルX:再起動」も新予告に。凄いアクションの連続。やっぱりドニー・イェンはいいなあ。2/24公開。

 枠付き「アリアンヌ」はブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの顔合わせで、二重スパイを描くものらしい。不安材料は、3D-CGの世界へ行ってしまったロバート・ゼメキスが監督ということ。2/10公開。

 枠付き「ドクター・ストレンジ」も新予告に。ムビチケカードの前売りは、たった1日限定でとっくに終了していると。ああ、ディズニー。1/27公開。

 枠付き「アサシンクリード」も新予告に。だんだん内容がわかってきた。面白そう。3/3公開。

 枠付き「パッセンジャー」も新予告。宇宙船で120年間眠っているはずが、90年早く目覚めてしまった男女。このままでは目的地に到着する前に死んでしまうと。まだ公式サイトはない模様。3/24公開。

 めがねを付けてくださいの文字の後、代スクリーンTCXのデモと、ドルビー・アトモスのデモの後、本編へ。

 下の4D劇場の振動だろうか、イスに伝わって来て時々振動し、不快だった。一瞬地震かとドキッとする。


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