2017年3月19日(日)「SING/シング」

SING・2016・米・1時間48分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/ビスタ・サイズ(映写機の左右マスク)/dtsX、ドルビーATMOS、Auro 11.1(IMDbではDATASAT、ドルビー・デジタル、SDDSも)

(米PG指定)(3D上映、日本語吹き替え版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://sing-movie.jp
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

6歳の時、父に連れられて劇場でヒツジの歌姫、ナナ・ヌードルマン(歌:ジェニファー・ハドソン)のステージを観たコアラのバスター・ムーン(声:マシュー・マコノヒー)は、ショー・ビジネスの世界を目指す決心をする。やがて大人になって劇場のオーナーとなったバスターだったが、倒産寸前で銀行から支払いが滞れば差し押さえると迫られていた。建物はボロボロで、いまにも崩れかねない状態。電気代の支払いも遅れていた。そこでバスターは起死回生をはかるため、全財産にプラスαして1,000ドルの優勝賞金を懸けたタレント発掘の「歌のコンテスト」を開催することを決心する。ところが、チラシの作製を200歳の高齢とも言われるトカゲ秘書のミス・クローリー(声:ガース・ジェニングス)がミスして、賞金が100,000ドルになり、確認する前に風で飛ばされて街中に配られてしまう。オーディション当日、劇場の前には参加希望者の長蛇の列が出来る。

80点

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 面白い! 予想よりずっと良かった。多くの人が出て行く時「面白かったね」と言っていた。これは満足度が高い。とても前向きになれるし、元気が出て、楽しくなる。デート・ムービーとしても最適では。ヒット曲が60曲以上!? すばらしい。

 絵もきれいだし、音響効果も抜群、動きもスムースで、まったく違和感がない。ヒット曲の数々は気分を上げてくれるし、思わず体が動き出しそうになる。そして字幕で見ると、オリジナル曲の意味が良くわかり、それがベストの状況とタイミングで使われ、感動的。落ち込んでいる人を支えるような曲など、涙が出そうになる。テイラー・スウィフトの「シェイク・イット・オフ」って、そうだったのかあ。

 ただ、キャラクターがイマイチ。カワイイんだけれど、どちらかというと、どの登場人物もエキストラのようで、主役級ではない感じ。個性が足りないというか。それがとても残念。同じ動物の国の話なら、せめて「ズートピア」(Zootopia・2016・米)並みだったら。口の動きとダンスは奇跡のように、完璧にシンクロしていたけれど。

 ストーリーとしては、昔の映画のパターン。落ちぶれた(しかし決して悲惨さはない)男が再起をかけてというか、かつての栄光を取り戻そうと奮闘する物語。そこに周りの人たちまで巻き込んで、大騒動を巻き起こすと。つまり新しいというより、古くさいお話。でも、鉄板ものだけに面白くて、感動的。描き方が巧いと。リメイクもされた「プロデュサーズ」(The Producers・1967・米)とつながる部分もあるような。

 歌は、最初、細切れにしか聞かせない。たくさん断片で聞いてもっと聞きたいとストレスがたまってきたところで、ラストにコンサートでフルに聞かせるという演出。しかも違う曲という……憎いなあ。これはブルーレイが欲しいかも。しからもラストに衝撃の発表。「早くも続編製作決定」と。このクォリティを落とさなければ大歓迎!

 劇場支配人のバスター・ムーンの声は、マシュー・マコノヒー。「ダラス・バイヤーズクラブ」(Dallas Buyers Club・2013・米)でアカデミー主演男優賞を獲得した人。最近見たのは渡辺謙と共演した「追憶の森」(The Sea of Trees・2015・米)。

 ヤマアラシのロックな少女アッショの声は、スカーレット・ヨハンソン。映画出まくりの印象。つい最近、実写版の「ジャングル・ブック」(The Jungle Book・2016・英/米)で人を誘惑する大蛇の声をやっていた。近々期待作「ゴースト・イン・ザ・シェル」(Ghost in the Shell・2017・米)が公開される。

 25引きの子豚のお母さんロジータの声は、リース・ウィザースプーン。最近あまり見かけなくなった気がするが、製作に回っていたりする。ミステリー「ゴーン・ガール」(Gone Girl・2014・米)もそう。やはり有名なのはブレイクのきっかけとなった「キューティー・ブロンド」(Cutie Blonde・2001・米)か。

 自己中なジャズ。ミュージシャンのネズミ、マイクの声は、監督もやるセス・マクファーレン。当たったのは自身で声も務めた「テッド」(Ted・2012・米)だけという話もあるが、イメージ的にピッタリか。

 冒頭に登場する若き日の歌姫ナナ・ニードルマンの声は、ジェニファー・ハドソン。6歳のバスター・ムーンを感動させなければならないので、「ドリームガールズ」(Dreamgirls・2006・米)でアカデミー助演女優賞を獲得した本物の歌姫。

 日本のガールズ・グループらしいアライグマかタヌキのようなキャラには、きゃりーぱみゅぱみゅの曲が使われている。笑わせてくれだが、不合格なのにしつこく戻ってくるウザキャラだったのは残念。

 トカゲの秘書、200歳のミス・クローリーの声はガース・ジェニングス。本作の監督でもあり、脚本も書いている。なんと、あの面白かったコメディSFの「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)を監督した人。男性だ。話題になった「リトル・ランボーズ」(Son of Rambow・2007・英/仏/独/米)も監督・脚本を手がけている。

 公開3日目の初回、2D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は22〜23分前くらいに開場。字幕版だが、下は家族に連れられた小学校低学年の少女から、中高年まで幅広かった。意外と高齢者は少なく、若い人と中年層くらいが多かった。男女比は4対6で女性が多い感じ。ファミリー層も目立っていた。外国人ファミリーも1家族。最終的には407席ほぼすべてが埋まった。18席あるプレミアム席も13席くらいが埋まった。すごいなあ。そのプレミアム席でストロボ使って写真を取ってるカップルがいたけど……。

 気になった予告編は…… 左右マスクのアニメ「メアリと魔女の花」は新予告に。雰囲気は面白そうだが、どうなんだろう。7/8公開。

 四角の枠付き「カーズ/クロスロード」の日本語予告は、片山右京と福沢朗の実況風音声だった。絵は実写のようですごかったが、ストーリーはどうなんだろう。「2」がなあ……。7/15公開。

 枠付き「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」の予告がいよいよ開始。アライグマと木の妖精みたいなちっちゃいヤツとの掛け合いが愉快。前作は曲も良かったから、リミックスなのか。5/12公開。

 枠付き「美女と野獣」は新パターンか。ちょっと長い版。期待してしまうが、はたして。4/21公開。

 枠付き「ムーンライト」も新予告に。見るごとに辛い映画の気がしてくる。名作なんだろうけど。3/31公開。

 映画泥棒のあと「怪盗グルーのミニオン大脱走」の笑福亭鶴瓶による関西弁の吹替版予告(?)があって、映写機の左右マスクで本編へ。

 しかし、遅れて来て、暗いからって携帯を懐中電灯代わりに煌々と照らして入って来るかなあ。


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